あの街の素顔

本とワインを愛する人に提案したい信州のワインシティー東御市での過ごし方

長野県東御(とうみ)市といえば、ワイン好きの人ならばピンとくる方が多いのでは? そう、東御市は注目の国産ワインの生産地。飯綱町や高山村、小諸市など千曲川流域に広がる「千曲川ワインバレー」の中核都市として知られています。今回ご紹介するのは、この東御市にある民泊「清水さんの家」です。
(文・写真:こだまゆき、トップ写真は垣根仕立てのブドウ畑)

空き家を改修して生まれた民泊施設「清水さんの家」

東御市には近年、全国からワイン用ぶどうの生産者が次々と集まり、個性豊かなワイナリーが点在するようになりました。そんなワインシティーへのきっかけは1991年に、画家でエッセイストの玉村豊男さんが移住し、その後ワイン用ぶどうの苗木約500本をこの地に植えたことに始まります。玉村さんがオーナーをつとめる「ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー」は、自家栽培の野菜やハーブを使った料理とワインが楽しめ、年間4万人以上が訪れる観光スポットとなっています。

昨年9月上旬、そんな東御市で開催されたワインイベント「東御ワインフェスタ2019」に足を運んでみました。その日に泊まったのが民泊「清水さんの家」です。ここは地元有志による「田沢おらほ村」という地域活性化プロジェクトの一環で、空き家から民泊施設にリノベーションされた築90年のりっぱなお宅。全4室、最大で12人が泊まることができ、北アルプスの山小屋に勤務していた経験を持つ福田明日実さんが管理人を務めています。

看板

地元の特定郵便局長だった清水さんという方が住まれていたから「清水さんの家」なのだそう

そんな「清水さんの家」があるのは東御市の北西に位置する田沢という集落です。最寄りの上信越自動車道 東部湯の丸インターチェンジから約5km、車で10~15分ほどの距離。車で10分以内で行ける場所に、長野県民に愛されるスーパーマーケットTSURUYAがあるので、食材を買ってきて共有スペースのキッチンでお料理をするという過ごし方もおすすめです。トースターや電子レンジなどの用意もありますよ。

「清水さんの家」

2年前の2018年夏に民泊営業がスタートしました

玄関ホールからダイニングを見たところ

玄関ホールからダイニングを見たところ

「清水さんの家」のサロン

「清水さんの家」の1階は、サロンと呼ばれる共有スペース

お風呂はありますが家庭用でちょっと狭いので、近隣の公共温泉施設を利用するのもいいでしょう。こちらも車で10分ほどのところに、日帰り温泉「湯楽里館(ゆらりかん)」や、「大田区休養村とうぶ」、しなの鉄道の田中駅前には「ゆうふるtanaka」があります。

私が泊まったこの日は、ワインフェスタ当日の週末だったこともあって満室でした。ワイン好きのご夫婦、小さなお子さん連れのファミリー、一人旅の女性、そして私と、住んでいるところも世代もバラバラの旅人が、1階のサロンに集って、ワイン片手に夜におしゃべりしたのはいい思い出。

広間B

この日私が泊まった2階の広間B。お隣にもう一部屋、同じようにシングルベッド四つが置かれた広間があります

梁(はり)

天井を見上げると大工さんの銘と昭和2年建立という文字が書かれた見事な梁(はり)が。2階はかつて蚕室(さんしつ)として使われていたのだとか

ワイン

他のゲストの皆さんとおしゃべりしながらいただいたのはもちろん東御のワイン。清水さんの家にはワイングラスの用意もあります

「清水さんの家」で私が心を奪われてしまったのが、サロンにある大きな本棚です。見ると、調味料、郷土料理、アジアの料理、食べ物紀行など「食」にまつわる書籍がたくさん! しかもかなり年代物の本ばかり。実はこれらのほとんどは、玉村豊男さんの蔵書。本好きの方ならワクワク、いえソワソワしてしまうほど魅惑の本棚なのです。

本棚

サロンにある大きな本棚。地域活性化プロジェクト「田沢おらほ村」の主要メンバーとして活動された玉村豊男さんの蔵書が並びます

サロン

風通しのいいサロンで気の向くままに読書ざんまい、そして時々ワイン

翌朝は、管理人の福田さんが用意してくれた朝食にこれまた感動。採れたて夏野菜と、スープにパンにゆで卵、りんごジュースに長野名物おやきまで! 言い忘れていましたが、清水さんの家の宿泊料金は朝食付きで1泊4千円/人となっています。きゅうりにつけて食べたのは地元の方手作りの唐辛子みそ。ぽりぽりといくらでも食べられちゃいました。

朝ごはん

みずみずしい夏野菜が並ぶ朝ごはんの光景

清水さんの家から歩いて2分の「関酒店」

関酒店

クラウドファンディングなどで資金を集めて復活した「関酒店」

清水さんの家に泊まったら、ぜひ訪れて欲しいお店が同じ田沢集落にある「関酒店」です。こちらも前述した「田沢おらほ村」のプロジェクトで、しばらく使われていなかった村の酒屋を復活させたのだそう。店内には東御市のワインはもちろん、千曲川ワインバレーの代表銘柄や近隣酒蔵の日本酒などが並んでいます。清水さんの家からは歩いて2、3分の距離。散歩がてら立ち寄って、見晴らしのいいテラスで、まだ明るいうちからワイングラスを傾けるなんて、最高のぜいたくなのではないでしょうか。

店内

営業は土、日、祝日のみですが、お盆休みは連日営業するとのこと

テラス席

晴れた日には北アルプスまで見渡せるテラス席も

最後に今年の東御ワインフェスタですが、例年のように大勢が一堂に会するイベントは中止し、その代わりに「東御ワイナリーマルシェ2020」と題して、密にならないよう参加者がそれぞれのワイナリーを巡る開催方法を計画中とのことです(参加者は長野県在住者に限る)。最新情報は信州とうみ観光協会HPやSNSなどで告知予定ですので、チェックしてみてください。

2019年の東御ワインフェスタの様子

2019年の東御ワインフェスタの様子

おつまみなど

地元のカフェやレストランなども出店しているので、ワインに合うおつまみがいろいろありました

清水さんの家
https://tazawamura.co.jp/shimizu-san-house/

関酒店
https://tazawamura.co.jp/seki-sake-shop/

信州とうみ観光協会
http://tomikan.jp/

PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、高松平藏、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希

  • こだまゆき

    知らない土地での朝食がなによりも楽しみなフォト派のライター。iPhoneで撮るのも一眼レフで撮るのもどちらも好き。自由で気ままな女性ならではの目線で旅のレポートをお伝えしています。執筆業は旅関連の他、デジカメ、雑誌コラム、インタビューなど。趣味は顔ハメパネル。

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