楽しいひとり温泉

温泉+在来種野菜 幻想の地獄散歩と野菜を味わう鉄板焼き 雲仙温泉「雲仙福田屋」

長崎県・島原半島は火山との共生により、肥沃(ひよく)な大地に恵まれて農業が盛んです。赤土、火山灰の黒土、粘土質の土など地域により異なる土壌は、それぞれの土にあった個性のある野菜が育つそうです。そんな島原のとびきりおいしい野菜を主役にした鉄板焼きが評判の温泉宿があると知り、雲仙温泉へと出かけました。

■連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

硫黄の温泉蒸気が激しく噴気する雲仙地獄

遊歩道

雲仙地獄の遊歩道は歩いているだけで温泉ミスト浴にもなる

雨上がりの雲仙温泉は霧が立ち込めていました。雲仙地獄を、雲仙ガイド「さるふぁ」の佐々木雅久さんの案内で歩きます。ガイドツアーは予約制で1人からお願いできて、1時間ほどの案内でも様々なコースがあり800円~1千円ほど。地獄から噴き出す温泉の湯けむりが霧の中に立ち込めて幻想的な世界です。

「雲仙は霧が出ることが多いんですよ。でもね。実は雲の中にいるとも言えます。雲が低くなって山から下りてきているんです」。雲の中の地獄を歩いていると思うと、ますます、現実から離れた別世界にいるような気分になります。雲仙地獄の遊歩道は、歩きやすく整備されていて、適度なアップダウンもあり、漂う温泉のミストを浴びながら、雲仙固有の植物や鉱物のことなどを教えてもらい楽しく散策。ちょうどいい運動になります。

ロビー

雲仙福田屋のロビー

今回のお宿、雲仙福田屋へチェックイン。民芸調のロビーでは、コーヒーのいい香り。イタリアのillyのエスプレッソコーヒーでちょっとブレーク。

露天風呂付きの山照別邸で誰にも気兼ねなく温泉を満喫

部屋「福」

山照別邸の温泉露天風呂テラス付きの部屋「福」

この宿は、ちょっと他では味わえない鉄板焼きを楽しめるプランがあるのです。このプランで泊まるのは、雲仙福田屋の中にある山照(やまてらす)別邸の部屋。低いベッドの寝室部分と和のリビングがワンルームになっています。

露天風呂

部屋専用の露天風呂でくつろぎ、プライベートな時間を過ごす

部屋のテラスには専用の露天風呂があり、硫黄たっぷりの雲仙温泉の源泉かけ流しです。露天風呂や内湯の大浴場も楽しいのですが、部屋で、誰にも気兼ねせずに温泉を楽しめるのはとてもぜいたく。ソーシャルディスタンスやマスクの日々から、ひと時だけ解放されて、のんびりと温泉につかりました。泉質は単純酸性硫黄鉄(Ⅱ)温泉(硫化水素系・硫酸鉄型)、pH2.13の酸性。硫黄の毛細血管拡張作用で血行が促進されて、鉄分も含有していて、体の芯まで温まり発汗も促進。酸性の温泉は殺菌作用も期待できます。

在来種野菜と島原の恵みを味わう鉄板焼き

鉄板焼き

美食の鉄板焼きディナーは1日4組限定

とても楽しみにしていた鉄板焼き。この時のディナーでは、一緒に泊まった友人たちと楽しんだのですが、鉄板焼きのプランはおひとり様でも予約できます。初めて見る在来種野菜が、こんなにたくさん鉄板で調理されている様子は、まさに絶景。

野菜

島原半島で採れた有機野菜や在来種野菜

切るとイスラエル国旗の星形のように見える大きなオクラ、八角オクラ、ビーツ、在来種野菜の黒田五寸人参(にんじん)、赤皮栗かぼちゃ。じゃがいもは種類豊富で、ながさき黄金、シャドークイーン、デストロイヤーを食べ比べ、格別にみずみずしい青ナスなど、初めて出合う野菜たちに心が躍ります。

在来種野菜って何? 作り手の農家を取材

竹田さん

竹田かたつむり農園の竹田さん

ところで在来種野菜って何? この宿ならではのごちそうの価値を知るために、希少な在来種野菜を守り育てる竹田かたつむり農園を取材しました。

作物

在来種を守るために種を採って繰り返し作物を育てる

たとえば、これはカブの種。「房の中から種を取り出して、食べてみてください」。小さな茶色の種粒をかんでみると、ちょっと苦い、でも、後からカブ特有の甘みも広がり「あ、種もやっぱりカブの味がします」。在来種野菜は種を採って、また、そこから作物を育てる種どり野菜です。普段考えたことがなかった、大根やニンジンなど野菜の種がどのようになっているのかを知りあらためて感激。

拍手喝采! 見事なヘラさばきの料理人

パフォーマンス

炎が上がるパフォーマンスに拍手喝采

鉄板焼きディナーの話に戻ります。目の前で繰り広げられる料理人たちの見事なヘラさばきは、島原を楽しむディナーショーの様相。料理人が語り部となり、島原の豊かな食材の話を聞きながら、出来立てを味わいます。

野菜とアワビ

個性あふれる野菜たちと、地元橘産アワビ

どっちが主役か決められない、おいしさの競演。地元橘湾のアワビは肉厚の食感とうまみがすごい。在来種野菜の青ナスのみずみずしさ、ジューシーな味わいが広がって、アワビに負けない野菜の存在感。

長崎和牛と野菜

やわらかジューシー長崎和牛と野菜の競演

長崎和牛のステーキと在来種野菜の競演。小浜の海水と温泉水から作られた「小浜の塩」で味わう長崎和牛は、あふれる肉汁と肉本来の甘みが引き出されて、わあ、おいしい。そして、「何、これ?!」と、感激してしまったのが、黒田五寸人参。白いかれんな花を咲かせ種を採り育てています。鉄板で焼くことで引き出されるニンジンの甘みは何も味付けしていないとは思えないほど濃い、そして、ニンジンらしいほろ苦の香りがふわりと鼻へ抜けて主張します。互いに譲らぬ味わいの競演は驚きの連続でした。

最後のひと粒までおいしい口福たまごチャーハン

たまごチャーハンを作る

目の前で作る様子も楽しい口福たまごチャーハン

興奮冷めやらぬ中、登場したのは地元島原市の「口福たまご」。島原半島を食で巡る鉄板焼きの最終章です。雲仙普賢岳をイメージした山型のごはんが、熱々の鉄板の上で、色鮮やかなたまごチャーハンに変身していきます。

たまごチャーハン

ハミハミとかみしめるごとに香ばしさが広がる

黄金に輝くような口福たまごチャーハンは、ふんわりと仕上がっていて芳しい味わい。最後のひと粒までおいしい幸せのフィナーレでした。

長崎県・雲仙温泉 民芸モダンの宿 雲仙福田屋
https://www.fukudaya.co.jp/
*鉄板焼きプランのひとり宿泊の予約は宿へ電話(0957-73-2151)で

雲仙ガイドさるふぁ(予約・問い合わせ)
https://www.nagasaki-tabinet.com/s/tour/65029/

「楽しいひとり温泉」ポイント
1.部屋の露天風呂でのんびり
2.ガイドと楽しく地獄散歩
3.野菜の奥深さを知る美食

BOOK

温泉+在来種野菜 幻想の地獄散歩と野菜を味わう鉄板焼き 雲仙温泉「雲仙福田屋」

全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!

石井宏子さんの著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)。温泉ビューティー研究家・旅行作家ならではの、旅してみつけた、女性がひとりで安心して楽しめる温泉宿を紹介するハンディーな一冊。公共交通機関で行ける、自分へのごほうびで泊まりたい、いい宿を全国から厳選し、あわせて、女性目線で選んだ周辺の立ち寄り先、ランチやスイーツも取り上げます。ひとりでも楽しい観光列車も登場します。税別1400円。

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)などのほか、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月に発売された。

温泉+海 天空から海を眺める絶景温泉「伊豆ホテル リゾート&スパ」

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