トーキョーシティサウナボーイズ

トーキョーシティサウナボーイズ、大地に立つ

これまでどおりの夏だったら、休暇は、人気の観光地へ、家族で通う定番スポットへ、ふるさとへと足を運んでいたはず。でも、今年は状況が違います。終わりがなかなか見えない、withコロナ時代。もはや「旅」というものに求めること自体が変わってきた、という方もいるかもしれません。これからの旅って? &TRAVELが新しい旅のカタチを模索するプロジェクト「TRAVEL FUTURE」。第1弾は、サウナ好きが高じて「トーキョーシティサウナボーイズ」を結成した東京の会社員らによる連載コラムをお届けします。

The journey begins

7月のとある平日、僕らは神奈川県の箱根と小田原にほど近い、とあるキャンプ場に到着した。平日のキャンプ場のよさは、ほとんどお客さんがいないことだ。小中学校の夏休みが短縮されたこともあってか、その日の利用者は自分たちだけだった。

キャンプ場に来たのは、買ったばかりのテントサウナを試すため。誰もいない平日のキャンプ場だったら、誰にも気を使わずサウナを楽しめる。自粛期間の中、東京の人気サウナは入場制限もあり、並ぶところもあるという。みんな、癒やしを求めているんじゃないかと思う。

薄曇りで今にも雨が降りそうだったが、そんな天気は全く気にならなかった。サウナに入ってしまえば、雨も心地よく感じるはず。

今回は、キャンプ場の特別許可のもと、テントサウナをやらせてもらった。

キャンプ場の隣には川と滝があり、滝の真横にあるコテージに泊まった。サウナを出れば、すぐに天然の水風呂に入れるというベストポジションだ。

トーキョーシティサウナボーイズ、大地に立つ

コテージの真横には、川と滝がある

キャンプ場に着いて早々、雨が降り始める前に友人とテントを組み始めた。意外に簡単で、初めてなのに15分もかからずに張ることができた。薪(まき)ストーブも組み立てて、テントサウナの準備は30分程度で終了。

トーキョーシティサウナボーイズ、大地に立つ

テントサウナを組み立てる

次第に雨が降り出し、雨脚は強くなってきたけど、全く気にならなかった。テント内が十分に熱くなったところで、僕らはサウナに入った。

このテントサウナのよいところは、ロウリュ(熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させる入浴法)ができるところ。一回り小さいサイズだとロウリュができない。少し高価になるが、どうせならロウリュができるもののほうが、サウナをじっくり楽しめるだろうと思い、こっちにした。

ロウリュをしなくても、薪ストーブの熱でテント内はしっかり熱くなるが、ロウリュをすると、

「ジュ、ジュ、ジュ、ジュアアアあああァァァぁぁぁ」

という音とともに、熱い蒸気でテント内が満たされるのだ。すぐに汗が噴き出るほど熱くなり、サウナ施設のサウナの熱さと比べてもほとんど遜色(そんしょく)がない。

ゆっくりとサウナストーンにロウリュを回し入れると、なんとも心地よい音がサウナに響き渡る。

トーキョーシティサウナボーイズ、大地に立つ

ジュ、ジュ、ジュ、ジュアアアあああァァァぁぁぁ

トーキョーシティサウナボーイズ、大地に立つ

テントサウナの煙突から煙が出てきた

Massive Attackの『No Protection』をスピーカーから流す。イギリス・ブリストル出身のバンドのアルバムを、音楽プロデューサーのMad Professorがダブミックスをしたもの。25年前のアルバムだけど、いまだに全く色あせない。特に、こんなシトシトと雨が降る日にはピッタリな音楽だ。

サウナで汗をかきながら、ここ数カ月のことを思い出す。ほとんど遊びにも会社にも行かず、毎日家にこもり、行動範囲は家から半径2km。4月からの在宅ワーク。満員電車には乗らなくてすむが、家での仕事はやたらと肩凝る。デスクとイスが合ってないからと、オフィスチェアを買った。

そして、どうしても自分に向き合う時間が長くなった。なぜ自分はわざわざ東京に住んでいるのだろうか。数年後コロナが終息した後、自分はどんな生活や働き方をしているのか。もっとストレスやプレッシャーから解放された、よい暮らしがあるのではないか。そして、家にこもる生活の中、自然がとても恋しくなった。

そういえば、2月くらいまでは「たまったマイレージで夏にはどこ行こうかな」とか考えていた。

十分カラダを温め、テントサウナを出た。向かうは目の前の天然の水風呂だ。夏だが、山の水は冷たい。体感温度では13度くらいか。友人は滝に向かってダイブした。

トーキョーシティサウナボーイズ、大地に立つ

水が常に流れているので、通常の水風呂でできるカラダと水の間にできる「羽衣」ができない。温まったカラダを水で冷やし、コテージで休憩。自然の中で雨の音、滝の音を聞きながらの外気浴は格別だ。その後もテントサウナに出たり入ったりを繰り返す。

トーキョーシティサウナボーイズ、大地に立つ

薪ストーブは1回くべると20~30分間は熱い。外気浴をしていると、テントサウナ自体の温度は下がってしまうので、その後もう一度温める必要があるが、自然の中でのんびりと楽しんでいるので、そういう手間は全く気にならない。東京のサウナでは1時間や3時間コースで、「時間内に何度も入らないと!」と思うが、ここではそういうことにはならない。

トーキョーシティサウナボーイズ、大地に立つ

サウナに入り、外気浴をして…………を繰り返しているうちに、すっかり日が暮れた

withコロナ時代の旅のあり方を模索するこの企画。自然の中でテントサウナに入ることで内省し、自分自身のインナースペースへの旅をつづる連載としたい。様々な場所を巡り、なぜサウナに惹(ひ)かれるのか、今自分たちが求めている旅とは何かということを模索していきたいと考えている。絶景や秘境を紹介したりする企画ではなく、ひっそりとした企画になるかもしないが、是非、内省の旅にお付き合いいただけるとうれしい。

The journey continues

PROFILE

トーキョーシティサウナボーイズ、大地に立つ

元クラブDJ、2人によるサウナユニット。コロナ禍で自らが主催するフェスが中止になったことを機に、「コネクテッド時代のマインドフルネスと内省」をテーマに、テントサウナを始める。場所や季節、天候に左右されるテントサウナの体験は、一期一会。毎回違う環境でのサウナ体験を楽しみながら、自分たちの生き方を見つめ直していきたい。ユニット名はディスコバンドNew York Citi Peech Boysから。

新しい旅のアイデアを募集します
いま、旅に対してどのような思いをお持ちか、アンケートにご協力ください。新しい旅のアイデアも募集します。アイデアを記事として掲載させていただいた方には、プレゼント(「Amazonギフト券」5000円分を贈呈)も進呈します。応募はこちらから

一覧へ戻る

山とサウナとマインドフルネス

RECOMMENDおすすめの記事