あの街の素顔

どこもかしこもイカづくし イカした佐賀県唐津市呼子町

猛暑が続いています。夏バテ気味の方が多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人。疲れがとれず、食欲がすっかりなくなってきました。こんなときは、いつもとは違ったものを食べてリフレッシュしよう。そう考えて、イカを食べに行く旅を思い立ちました。行き先はイカの名産地として名高い、佐賀県唐津市の呼子町(よぶこちょう)。玄界灘に面していて、海のダイナミックな景観も楽しめます。三密回避に気配りしながら、福岡から呼子へ、イカと大自然を味わう1泊2日のミニ旅行に出発しました。
(文・写真、宮﨑健二)

激しく回転する一夜干しマシン

私の住む福岡市から約2時間、車を走らせて呼子に着きました。晴れ渡った空の下、呼子港にはイカ釣り船が停泊していました。

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イカ釣り船を見ると、呼子に来たことを実感します

港の近くにはこんなものがありました。何かわかりますか?

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イカがつるされた謎のマシン

これ、イカの一夜干しを作るマシンなのです。写真では静止しているように見えるかもしれませんが、実際には激しく回転しています。こうやってブンブン振り回すことで早く乾燥させることができるうえ、虫やカラスを寄せ付けない利点もあるそうです。

公共トイレに行くと、外壁にこんな陶板が埋め込まれていました。

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陶板にもイカ。さすがはイカの街です

遊覧船もイカづくし イカん妄想が……

せっかくなので、遊覧船に乗ることにしました。七ツ釜(ななつがま)という名所を間近に見ることができるそうですよ。遊覧船の名前は、「イカ丸」!

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船をイカに見立てたユーモラスなデザインです

出港すると、いきなりこんな大看板に出くわしました。

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呼子町の大看板。ここにもイカが

船の2階デッキに立ちました。強い日差しの下、イカ丸は波を力強くかき分けて進んで行きます。前方を見つめているうちに私はすっかり、海の若大将、加山雄三的気分になりました。「イカ丸に乗って、ボカァ、幸せだなあ」。傍らには星由里子がいて「イカすわ、若大将!」……イカん、イカん、いつもの妄想癖が出てしまいました。
10分ほどすると、七ツ釜が見えてきましたよ。

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七ツ釜に向かってじわじわと接近します

国の天然記念物 奇岩並ぶ「七ツ釜」

七ツ釜は断崖の玄武岩が玄界灘の荒波に長い年月をかけて浸食されてできた海食洞です。大小の洞窟が並んでいて、国の天然記念物に指定されています。

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断崖にいくつかの洞窟が見えてきました

洞窟の一つにイカ丸はゆっくりと入っていきました。内部の天井はこんな感じです。

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洞窟の天井の玄武岩。黒光りしています

10~20センチほどの黒い塊が密集しているように見えますね。そして、ここからポタポタ冷たい水滴が落ちてきます。
七ツ釜のある一帯にはこんな珍しい景色が広がっています。自然の造形はすごいですね。

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まるでモダンアート。見事な模様です

約40分間の遊覧を満喫しました。イカ丸は大人が税込み1800円です。

動いている透明なイカをいただく

さて、今回の宿は海沿いの高台に立つ「尾ノ上Ryokan」。1泊税込み1万1千円の「呼子名物イカの活(い)き造りプラン」を申し込みました。実際には、「Go To トラベル」の割引で税込み7150円でした。

ところで、なぜ今回私は呼子町を旅先に選んだのでしょうか。疑問をお持ちの読者の皆さんにここで白状したいと思います。

実は私、イカには目がないんです。イカの料理が目の前にあると、いなば「CIAOちゅ~る」のCMに出てくるネコたちのようにわき目もふらず、一心不乱に味わってしまうのです。私のイカ好きはそれだけではありません。愛唱歌はロシア民謡の「トロイカ」、カメラといえばライカ、雑誌なら「ユリイカ」、行きたい国はジャマイカ、果物はなんてったってスイカ、そして注目している俳優はファーストサマーウイカ……きりがないので、イカ略。

話を戻しましょう。宿の夕食でさっそくケンサキイカの活き造りをいただきました。

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ケンサキイカの活き造り。触るとクネクネ動いていました

なんという透明感。見ているだけで涼しさを感じます。口に運びました。新鮮なイカ特有のコリコリとした食感、そしてほのかに甘い味。たまりません。夏バテはどこへやら。食欲もりもりです。
刺し身を食べ終わると、ゲソを天ぷらにしてくれました。新鮮なイカだけに、天ぷらもまた最高の味です。

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イカの天ぷら。塩でいただきま~す

翌日の朝食には、呼子名物のイカしゅうまいも出てきました。

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イカしゅうまい。うまい!

イカざんまいで満足、満足。

呼子大橋と加部島の雄大な景観

呼子の北には加部島があり、呼子大橋で結ばれています。この橋の下、つまり呼子と加部島の間には弁天島という小さな島があり、呼子側からは遊歩道で行くことができます。その遊歩道から呼子大橋を見上げてみました。

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ダイナミックな景色です

この遊歩道からは間近に海を見ることができます。海水は透き通っていて、しばし見入ってしまいました。階段を下りて岩場を歩くこともでき、釣りを楽しんでいる人もいました。

遊歩道を引き返して呼子大橋を渡り、今度は加部島の高台にある「風の見える丘公園」から橋を見てみました。ここからの眺めもすばらしいです。


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呼子大橋の下を船が白波を立てて通り過ぎていきます

加部島の北部に行くと、牛が放牧されていました。炎天下でしたが、牛たちは尻尾を振りながらのんびり草を食べていました。


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杉ノ原放牧場。青い空、白い灯台、緑の草原。見事な夏景色です

この加部島は車なら1時間ほどで見て回ることのできる島ですが、ゆったりとした時間を楽しむことができました。

海面下7メートルで魚見物 玄海海中展望塔

いったん呼子に戻り、今度は呼子町の西に位置する唐津市鎮西町の波戸(はど)岬へ。ここには玄海海中展望塔があり、海面下7メートルの深さから魚が泳ぐ様子を見ることができます。入場料は大人が税込み560円。旅の締めくくりに入ってみました。

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桟橋の先、円柱状の建築物が玄海海中展望塔です

桟橋を歩き、建物に入りました。らせん階段を下りていくと、円形のフロアの壁じゅうに小窓がずらり。アジ、イシダイ、ハコフグ……。いろいろな魚が次々に現れては通り過ぎて行きます。すると、おおっ、来ましたよ、魚群が! イカを中心にした呼子の海物語、そうです、今回の旅は大当たりでした。

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窓から見えた魚群。待ってました!

おいしい料理と、絶景と。コロナ禍と猛暑に負けない元気をもらった旅でした。

マリンパル呼子
http://www.marinepal-yobuko.co.jp/

尾ノ上Ryokan
http://yobuko-onoue.com/

玄海海中展望塔
https://hadomisaki.jp/

PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、江澤香織、高松平藏、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希

  • 宮﨑健二

    旅ライター。1958年、福岡市生まれ。新聞社を退社後、主に九州の旅とアウエーでのサッカー観戦を楽しみに過ごす。共著書に「失われゆく仕事の図鑑」(グラフィック社)。

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