楽しいひとり温泉

温泉+天然エゾアワビ アワビを丸かじり! 北の海を味わう「いわない温泉 高島旅館」

札幌・新千歳空港に直結しているJRに乗って小樽駅へ。バスの時間まで小樽の街をぶらりと散策。「お昼ごはんは軽めに」と、高島旅館を教えてくれた友達に念を押されていました。今回のひとり温泉の最大の目的は宿の食事。「とにかく、すごいよ」との評判に胸躍らせて、高速バスいわない号に乗り込み、1時間半。日本海・積丹半島のたもと、岩内温泉に到着です。宿の迎えの車は、海を背にして山道を走ります。高台の森の中にたたずむロッジ風の宿は、北海道の魚介ざんまいの料理宿というイメージとは、ちょっと違って意外な驚き。薪ストーブを囲むロビーにはピアノ、その横にはクラフトビールのサーバーが備わっています。

(トップ写真:吹き抜けのロビーでクラフトビールやコーヒーを)

■連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

13室の部屋は、いつも予約でいっぱい

和室

ひとり宿泊できる和室。窓辺の緑に癒やされる

宿の予約は電話のみ。毎年元旦になった瞬間から、一年分の予約をスタートするそうです。ほとんどのリピーターは、年の初めに高島旅館の予約を入れて、その日に合わせて北海道へ旅を計画するという人気ぶりです。一番人気は「おまかせプラン」。1人から予約できて、料理もお部屋もおまかせです。和室の部屋は、コンパクトですが機能的。部屋で食事をするときには、このまま座椅子でもいいし、机の脚を換えると椅子で座れるダイニングテーブルに変身します。温泉の後は畳でごろごろしたいし、でも、食事は椅子とテーブルがいいし、という両方の望みがかないます。

熱めの温泉でいい汗流して疲れを放出

大浴場の内湯

温泉蒸気が立ち込める男女別大浴場の内湯

長旅の疲れを温泉で癒やします。「ふぅううう」。やや熱めの湯が気持ちいい。ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉、pH7.2の中性。源泉かけ流しの温泉は、やわらかな感触で肌になめらか、ずっと入っていたいほどですが、とてもよく温まり、あっという間に汗が噴き出してきます。

露天風呂

木漏れ日に癒やされる露天風呂

木漏れ日が降り注ぐ露天風呂。肌をなでる風は、ひんやりして、秋の気配がそこまで来ている気がします。木の香り漂うドライサウナもあって、ゆっくり滞在したくなります。湯上がりは、伝票で部屋付けにできるクラフトビールのサーバーが大人気です。ロビーやテラスでくつろぐゲストは、みんないい笑顔。

テーブルを埋め尽くすピチピチの魚介

お刺し身3点盛り

お刺し身3点盛り

お刺し身3点盛り。ツヤツヤの北寄貝は、甘みがあってぷりっぷり。とろんと甘いエビやカズノコも北海道ならではです。

ウニの食べ比べ

夏の名物は2種類のウニの食べ比べ

夏のお楽しみはウニの2種盛り。バフンウニとムラサキウニの食べ比べはぜいたく過ぎます。

左の黄色い方がムラサキウニ、濃厚な磯の香りとコクがたまりません。鮮やかなオレンジ色はバフンウニ、口に入れた瞬間にとろけて甘みがふわんと広がります。

アワビのお刺し身は「丸かじり」が高島旅館流

天然エゾアワビのお造り

天然エゾアワビのお造り

天然エゾアワビの証しは、赤みをおびた貝殻の色。高島旅館では年間を通じて天然エゾアワビが味わえます。「天然アワビの本当のおいしさを味わっていただきたくて、うちの宿では、アワビのお刺し身は丸かじりしていただいています」と、ご主人の高島将人さん。となれば、やってみるしかない。

手でつかんで豪快に丸かじり

手でつかんで豪快に丸かじり

こうやって手でもって、思い切ってガブリとかじりつく。むむ、手ごわいほどの弾力で押し返してくる。それでも負けずにかぶりつくと、海の味がする。コリコリとかみしめると、うわ~おいしい。アワビのうまみが脳天まで広がっていくようです。これこそが天然エゾアワビの醍醐(だいご)味というものでしょうか。ガブリ。コリコリコリ。ガブリ。コリコリコリ。すっかり、アワビ丸かじりの魅力にはまってしまいました。忘れられない味わいで、何度も何度も高島旅館に通ってしまう気持ちが分かります。どうしてもかめない時には、切って出してくれますのでご安心を。

お皿から逃げ出しそうな活(い)きアワビ

活きアワビの踊り焼き

炭火焼きは、活きアワビの踊り焼き

炭火の七輪で焼く、アワビの踊り焼き。ツブ貝はさっと、肉厚のしいたけはじっくり火を通します。炭火焼きのアワビは焼き過ぎないころ合いで火からおろすと、熱々のやわらかな身から磯の香りが立ちのぼります。ナイフで厚めにザクザクと切っていただきます。

浜鍋

三つ目の活きアワビは浜鍋で

三つ目のアワビは浜鍋で。わあ。鍋に入れる前にアワビがお皿から逃げ出しそうです。みそ仕立ての浜鍋はほっこり温まるお料理。最後にゆっくりと味わいます。

ヒラメの活き造り、ひとり旅でも丸ごと1匹

ヒラメの活き造り

前浜で取れるヒラメの活き造り

岩内の前浜はおいしい魚介の宝庫。ヒラメは年間通じて取れるそうで、ぴくぴくと動いている活き造りで登場します。つややかな薄造りの身は、箸で数枚とって豪快に味わいます。すりたてのワサビがツンと香り魚の甘さを引き出します。新鮮な歯ごたえとうまみは白ワインにぴったり。

地魚の塩焼き

岩内ならではの地魚の塩焼き

岩内でモンケと呼ばれる魚は、メバルのような風貌(ふうぼう)。岩内や積丹の深い海に生息する魚です。脂ののった塩焼きは、日本酒か、はたまた、ごはんの供にするか。自家栽培のお米は「はさかけ」で天日干ししたもの。破裂しそうにお腹いっぱいですが、ひと口いただいちゃおうかな。

朝湯に入っておなかをすかせて朝ごはん

テラス

爽やかな風を感じるテラスでくつろぐ

朝早くから、温泉へ。「あー、ゆうべは食べ過ぎた。温泉でおなかを減らさねば」と、考える人が多いようで、ゲストはこぞって朝湯を楽しんでいます。湯上がりはテラスでぼんやりと。不思議とおなかがすいてきます。

食事

じゃこの佃煮(つくだに)やイカの塩辛も全て自家製

庭を眺めるレストランで味わう朝食。朝取れのスルメイカのお刺し身は、まだ、身が透き通っています。パキパキとした歯ごたえに生きの良さを感じます。宿の近くのマルヤマヒーリングファームで育てられたニワトリの有精卵はベーコンエッグで。大きなホッケも焼きたてで運ばれます。

いわない温泉 高島旅館
http://www.iwanai-takashima.com/
※予約は電話のみ。取材したのは「おまかせプラン」の料理です。

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.天然エゾアワビを満喫
2.テーブルいっぱいの魚介料理
3.家族経営でほっとできる宿

BOOK

温泉+天然エゾアワビ アワビを丸かじり! 北の海を味わう「いわない温泉 高島旅館」

全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!

石井宏子さんの著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)。温泉ビューティー研究家・旅行作家ならではの、旅してみつけた、女性がひとりで安心して楽しめる温泉宿を紹介するハンディーな一冊。公共交通機関で行ける、自分へのごほうびで泊まりたい、いい宿を全国から厳選し、あわせて、女性目線で選んだ周辺の立ち寄り先、ランチやスイーツも取り上げます。ひとりでも楽しい観光列車も登場します。税別1400円。

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)などのほか、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月に発売された。

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