京都ゆるり休日さんぽ

八坂の塔を眺めながらいただく、大人のパフェ「DORUMIRU.yasakanotou(ドルミールやさかのとう)」

京都でパフェを食べるなら? 定番の抹茶パフェもいいけれど、大人だからこそ、修学旅行のスイーツとはひと味違う、リッチで季節の恵みが詰まった一品を堪能したいものです。今回訪ねたのは、八坂の塔を望むパフェ専門店「DORUMIRU.yasakanotou(ドルミールやさかのとう)」。フルーツがぐんと充実してくる実りの秋に、自分へのご褒美として訪ねたい一軒です。

■暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。
(文:大橋知沙/写真:津久井珠美)

グラスの中の風景に見とれるアートのようなパフェ

路地

八坂の塔の目の前の路地を曲がる。石畳の街並みが京都らしい

祇園のランドマークである八坂の塔や、色とりどりの「くくり猿」が人気の八坂庚申(こうしん)堂など、「これぞ京都」という風景に囲まれた街並みの一角に「DORUMIRU.yasakanotou」はあります。グレーを基調としたシックな内装は、フルーツパーラーや和スイーツのパフェ専門店とは少し異なる大人の趣。その雰囲気が期待させる通り、運ばれてくるパフェはどこから眺めても美しい、アートのような存在感に満ちています。

いちじくのパフェ

一面のクリームは、スプーンを差し入れるのがもったいないほど。契約農家から仕入れる大ぶりのいちじくと栗が秋の味覚

旬のフルーツをふんだんに使い、さまざまな食感や味わいの素材を組み合わせた季節のパフェは、まずその形に目を奪われます。一般的な縦長のパフェグラスとは全く異なる、円盤のようなグラス。側面には、果実の造形美を物語るかのようにフルーツの切り口が並びます。グラス上に広がるクリームの雪に、花咲くように配置されたフルーツの美しいこと。溶けてしまう心配も忘れて、しばし見とれずにいられません。

「いちじくとロイヤルミルクティーのモンブランパルフェ」

「いちじくとロイヤルミルクティーのモンブランパルフェ」(2300円・税込み)。フルーツの断面を美しく見せる円筒型のグラスは、特注で製作されたもの

「いちじくとロイヤルミルクティーのモンブランパルフェ」は、「DORUMIRU」に秋の訪れを告げる看板メニュー。熟したいちじくの断面を惜しみなく並べた内側に、アールグレイの紅茶ゼリー、カシスのソルベ、ロイヤルミルクティーのアイス、生クリームと、いくつもの味わいが層になりつつ調和しています。みずみずしいいちじくとまろやかな口どけを楽しみつつも、トッピングのドライフランボワーズや栗の渋皮煮、中に忍ばせたクッキーが食感のアクセントに。最後のひとさじまで飽きることなく、味わい尽くす幸せがあります。

「写真映え」だけじゃない、手作りが織りなす素材のハーモニー

店内

シンプルでシックな店内。窓際の席からも八坂の塔が見える

「DORUMIRU」は金沢発。ゲストハウスに併設したカフェのメニューとしてパフェが話題を集め、やがてパフェ専門店として行列ができるほどの人気に。2019年6月、八坂の塔を目の前に望む路地に京都店をオープン。ロケーションの良さと美しいパフェのビジュアルは、絶好の写真映えを誇ります。けれど、訪れる人の心をつかんで離さないのは、見た目だけではない、複雑ながらも調和のとれた味わいと余韻。

「焦がしキャラメルバナナとほうじ茶のパルフェ」

通年メニュー「焦がしキャラメルバナナとほうじ茶のパルフェ」(1780円・税込み)は「DORUMIRU」発足時からの定番

丸くくりぬき、一つずつキャラメリゼされたバナナ。カラメルでマーブル模様を描いたクリーム。パフェを構成する一つひとつの素材に手間と時間をかけているからこそ、一口ごとに新鮮で、食べ進めるたびに驚きがあります。心潤すその時間は、「大人の女性のご褒美になれるようなパフェを」という、この店の願いそのものです。

パフェ

ねっとりと濃厚なバナナにカラメルのほろ苦さがマッチ。ほうじ茶アイスとの相性も抜群。下層はキウイやアールグレイゼリーでさっぱりと

パフェの語源は、フランス語で「完全な」を意味する「パルフェ」。フルーツやアイスクリームで彩られたパフェグラスが目の前に置かれる喜び、季節の果実や丁寧に作られたスイーツの層を一つひとつ口に運ぶ楽しみ、次々と訪れる味わいに「おいしい」と顔をほころばせる瞬間、それら全部を含めて「パルフェ」なのでしょう。空になったグラスは、心が満たされたサイン。食べ終わったら足取り軽く、祇園の街歩きを楽しんでみてください。

入り口

路地から数段階段を下りたところに入り口がある。来店は予約がベター

DORUMIRU.yasakanotou
https://www.instagram.com/dorumiru.yasakanotou

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BOOK

八坂の塔を眺めながらいただく、大人のパフェ「DORUMIRU.yasakanotou(ドルミールやさかのとう)」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が2019年6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。


PROFILE

  • 大橋知沙

    編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

  • 津久井珠美

    1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告など、多岐にわたり撮影に携わる。

異国の地から時を越えて。旅する古道具を暮らしに迎える「民の物」

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