魅せられて 必見のヨーロッパ

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

ツアーの行き先としてはメジャーでないけれど足を運べばとりこになる街を、ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが訪ねる「魅せられて 必見のヨーロッパ」。今回から、2018年秋に訪れたクロアチアを紹介します。最初はロヴィニ。ヴェネチア共和国の名残を伝える、紺碧(こんぺき)のアドリア海に面した街です。
(トップ写真は海に突き出たロヴィニの旧市街)

おとぎ話のような美しい街

2年前の秋、クロアチアのアドリア海沿岸地方を中心にふらりと旅しました。イストラ半島から旅は始まります。

イストラ半島の西側の港町ロヴィニは、イタリアのトリエステから南へ60キロ余り。13世紀末から18世紀末まで、ヴェネチア共和国の都市として栄えました。
当時の建造物が残る石造りの旧市街、青い海、地元の人々の笑顔に癒やされます。

車をとめて港へ歩くと、おとぎ話のワンシーンのように美しい旧市街が見えます。旧市街は海に突き出た場所にあり、中心にそびえる塔は聖エウフェミヤ教会の鐘楼(しょうろう)です。

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

明るく開放的な港町の風景

心落ち着く港町 漁師さんとも交流

私は横浜に生まれ幼いころから港に親しんだためか、港町に来ると心が落ち着きます。漁師さんの船やボートが出ていて、心地よい海風を感じます。

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

作業する漁師さん

ふらりと歩いている私に声をかけてくれた漁師さん2人が。

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

(左)バケツにはとれたての魚介類が入っているそうです。(右)漁船へ案内してくれました

船の奥から大きなヒラメのような魚と足が長いカニを出して来ました。カニは焼いて、お魚はムニエルか?などと、思わず食欲がわいてしまいます。

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

港を散策

港を歩くと地元の人たちの姿が見えて、のどかな日常生活を感じさせます。こんな漁村に滞在したくなりました。

ヴェネチア共和国の名残伝える旧市街

先ほど遠くに見えた旧市街へ、坂道を上っていきます。

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

バルビのアーチ

バルビのアーチはヴェネチア共和国時代の17世紀に建てられました。堂々としています。アーチの上部にはヴェネチア共和国のシンボルである翼を持ったライオンが掲げられ、歴史を実感します。

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

路地や古い建物のある風景

ロマンチックな細い路地や階段があり、何百年もの時を経た建物が風情ある住居になっています。

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

物語の世界に迷い込んだような街並み

三角に突き出た部屋には、今、どんな人が住んでいるのだろうかと想像してみたくなります。

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

再び港へ

港へ戻ってきました。左側の目立つ建物は、時計塔です。

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

釣りをする地元の人

夕暮れに釣りをする地元の人たちが。仕事が終わって、釣りをして楽しんでいるそうです。
足元を見ると、釣りあげたばかりのイカが夕日に照らされて無造作に置いてあります。「夕食に食べるんだ」と微笑む釣り人。日本人としては、お刺身にしてワサビとおしょうゆで食べたくなります! 静かな夕暮れ時です。

迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニ

釣ったばかりのイカ

つらい歴史をも飲み込む青いアドリア海

ロヴィニはヴェネチア共和国時代の後、オーストリア・ハンガリー帝国やイタリア王国の支配を受け、第2次世界大戦後にユーゴスラビアに組み込まれ、20世紀の終わりにクロアチアとして独立するという複雑な歴史があります。

12年ほど前にクロアチアのドゥブロヴニクを取材した際に地元の商店主から聞いた、クロアチア独立につながった内戦の話を思い出しました。戦火を避けて高齢者や女性、子供はイストラ半島東側のリエカへ逃れました。老いた両親と妻と子供を乗せた船が港を離れた時、「もう二度と会えないだろう」と覚悟したそうです。結果的に自分も家族も無事だったけれど、近所の若者や幼なじみが目の前に落ちた爆弾のため亡くなったことが目に焼きついて忘れられないと語っていました。砲弾の跡が店の壁に生々しく残ったままでした。

そんなつらい歴史をも飲み込むかのように、アドリア海はどこまでも力強く青く、旅人を包んでくれます。

今回の私の旅はイストラ半島を南下して半島の先端に近いプーラへ、さらに半島を東側へ回りオパティヤへと続きます。

Croatian National Tourist Board
https://croatia.hr/en-GB

PROFILE

相原恭子(文・写真)

慶應大学卒業。ドイツ政府観光局勤務を経て、作家&写真家。「ドイツ地ビール夢の旅」(東京書籍)、「ドイツビールの愉しみ」(岩波書店)、「ベルギー美味しい旅」(小学館)、「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)、「京都 花街ファッションの美と心」(淡交社)、英語の著書「Geisha – A living tradition」(フランス語、ハンガリー語、ポーランド語版も各国で刊行)など著書多数。国内はもちろん、国際交流基金・日本大使館の主催でスペイン、ハンガリー、エストニアで講演会や写真展多数。NHK「知る楽」「美の壺」、ラジオ深夜便「明日へのことば」「ないとエッセー」、ハンガリーTV2、エストニア国営放送など出演多数。
https://blog.goo.ne.jp/goethekyoko

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