あの街の素顔

「半沢直樹」の出演者に勧めたい城下町 岐阜県郡上市 

秋真っ盛りです。すさまじかった猛暑も去って、旅をするには絶好の季節になりました。さわやかな秋晴れの日に私は、岐阜県郡上(ぐじょう)市へと旅立ちました。岐阜県といえば、世界遺産の白川郷や高山市、下呂温泉が有名ですが、この郡上市も歴史のある町並みが残る人気観光地です。城下町を散策し、長良川の景色を楽しみ、名物の川の幸などを味わった、ぶらり旅。魅力たっぷりの郡上市をみなさんにご紹介しましょう。
(文・写真、宮﨑健二)

古き良き街並みを散策

私が住んでいる福岡市から航空機で中部国際空港へ。電車を乗り継いで名古屋市経由で岐阜市に到着して1泊。翌日、車で東海北陸自動車道を北上し、ようやく郡上市に着きました。

郡上市の中心部は八幡(はちまん)町。観光客が散策を楽しんでいました。

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土産店や飲食店が並ぶ八幡町の通り

こんな小道もありました。水路が傍らにあって、水の音を聴きながら歩くことができます。

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見ていると思わず歩きたくなる道です

八幡町には長良川の支流の吉田川が流れています。

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八幡町を流れる吉田川。遠くに山々も見えて、いい景色です

この吉田川にかかる橋を渡って、古い町並みの残る郡上市郡上八幡北町に行きました。この地区は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

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職人町という名称の地区。ここに来ると人通りが少なくなりました

昔ながらの町家を見ながらのんびり散策。気持ちが落ち着きます。

歩きながら私は今回の旅を、大人気のドラマ「半沢直樹」の出演者たちに勧めたいと思いました。堺雅人、香川照之、片岡愛之助……。なにしろあのドラマでは毎回、個性豊かな俳優たちが熱と力と感情のこもりすぎた演技を競い合うように披露していました。激しい口調のせりふを機関銃のようにまくしたてる熱演に、そのうち血管がブチ切れて、次々に病院に担ぎ込まれるのではないかと私はハラハラしていたのです。放送が終わった今、郡上市に来て城下町の情緒に触れれば、彼らもきっとクールダウンして病院行きを回避できるはず。そうです。病院をこれ以上、逼迫(ひっぱく)させてはならないのです。

話がすっかり横道にそれてしまいました。旅に戻りましょう。郡上おどりの像がありました。

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郡上おどりの像。楽しそうな踊りの姿です

夏の有名な伝統行事で、地元の人たちと観光客が一緒に浴衣姿で踊ります。しかし、今年は新型コロナ感染拡大防止のために中止になってしまいました。残念!

天然アユの塩焼きに舌鼓

さて、おなかが減ったので昼食です。車で20分ほどの郡上市白鳥町に行きました。

ところで、私が生まれ育った福岡からは、芸能界に入って活躍している人がたくさんいます。なかでも人気歌手といえば、浜崎あゆみです。あゆ。魅力的ですよね。食べちゃいたいくらいです。というわけで、食べることにしました、鮎(アユ)を。天然川魚料理の店「だるまや」で、天然鮎塩焼き定食を注文しました。

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長良川で釣れた鮎の塩焼き。定食は豆腐、みそ汁、漬物などが付いて税込み1430円でした

パクリとかぶりつきました。鮎独特の柔らかい身に塩がしみて、うま!

食事の後に店のご主人の河合正則さん(71)にお話を伺いました。店は1928年創業。郡上鮎の出荷所が併設されていて、長良川で釣れた鮎を買い取っています。毎日20~30キロ、数にして500~600匹が持ち込まれるそうです。こうして店では新鮮な鮎を食べることができるというわけです。なお、「清流長良川の鮎」は2015年に世界農業遺産に認定されています。

八幡町に戻る途中、長良川を見ると、たくさんの人が川に入って釣りをしていました。

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鮎を釣る人たち

郡上八幡城の天守でバカ殿様気分

車は八幡町に近づいてきました。ふと、山を見上げると、おおっ、木々の上に小さく白い城が見えるではありませんか。

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城は木々の上にちょこんと載っているように見えました

そうです、八幡町は城下町。ここに来たからには城を見ずして帰るわけにはいきません。山の上にあるので過酷な登山をしなければならないかも、と覚悟していましたが、幸い城の近くまで車で行くことができました。これが郡上八幡城です。

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郡上八幡城。白い城と青空のコントラストがきれいです

郡上八幡城の創建は戦国時代末期にさかのぼります。その後、改修を重ねて江戸時代も郡上藩の城として使われ続けたとのことです。現在の天守は1933年に再建されたもので、4層5階建ての木造建築です。
税込み320円の入場券を買って中に入りました。急な階段を上って最上階へ。窓から八幡町が見えました。

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郡上八幡城から見る八幡町。山々に囲まれた城下町です

「よき眺めじゃ」「じいはおらぬか」。城で時間を過ごすうちに私はすっかり殿様気分になりました。ふだんから青白い顔をしている私は白塗りの志村けんのバカ殿様にそっくりだ、とよく言われます。この城に来たことで、ついに完全になりきったのです。バカ殿様と一体化した私の心情をたとえるなら、浜辺美波と横浜流星のドラマのタイトルのようです。「私たちは同化している」

しばらくしてバカ殿様状態を脱した私は、それにしても、と思いました。山の上にあるこの城は戦国の世には戦をするうえで好都合だったはずですが、江戸時代の天下泰平の世になると武士たちは城に出向くのが大変だったのではないか、と。毎日、武士たちはせっせと急な坂を上っていたのでしょうか。それとも、新型コロナ時代を先取りして在宅勤務をしていたのか……。

風格在る近代建築、博覧館や旧庁舎記念館

山を下りて、再び八幡町に行きました。ここには近代の古い建物も残っています。これは、郡上八幡博覧館です。

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郡上八幡博覧館。縦長の窓のあるスマートな印象の建物です

1920年に郡上税務署として建てられ、1991年からは郡上八幡博覧館として使われています。
そして、郡上八幡旧庁舎記念館。


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郡上八幡旧庁舎記念館。風格を感じます

1936年に完成し、1994年まで旧八幡町役場として使われていたそうです。現在は観光案内所になっています。

長良川鉄道の温かな光景

八幡町の西側には長良川があり、川に沿って南北に長良川鉄道が走っています。八幡町の最寄り駅の郡上八幡駅に行きました。列車がやってきましたよ。

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郡上八幡駅に停車した長良川鉄道の列車。鮮やかな赤の車体でした

時間待ちの間に運転士がホームに降りてしゃがみ、お母さんに連れられた小さな子供と話をしていました。地域に親しまれている鉄道らしい、ほほえましい光景でした。

旅館で飛驒牛、そして……

日が傾いてきました。車を20分ほど走らせて、宿泊する料理旅館「みずかみ」に着きました。

この旅館には立派な庭があって、緑に包まれています。おっ、サギがいましたよ。

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旅館の庭を歩くサギ。なかなか優雅な姿です

オレオレや振り込めや給付金と結びつくと危険ですが、このサギは大丈夫。でも、警戒心が強く、カメラを向けると、遠くに行ってしまいました。

花が植えられていました。ゼラニウムです。

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ゼラニウム。赤い花が日を浴びていっそう美しく見えました

ケイトウも咲いていました。きれいですね。

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ピンク色とダイダイ色のケイトウ

そして、このピンクの花は……。

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名産の飛驒牛です

うはははは。夕食のすき焼きの肉です。

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飛驒牛を野菜とともにすき焼きの鍋に入れました

鍋から取って口に運ぶと、とろけるような柔らかさ。そのおいしさといったら、もう、たとえようもありません。昼に食べた鮎とこの飛驒牛は、郡上市の食のツートップだと確信しました。

ところで、浜崎あゆみ、あゆのライブといえば、アンコールがつきものですよね。そこで、こちらもアンコール! またしても鮎の塩焼きが出てきました。昼食にも夕食にも鮎。なんたる幸せ!

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鮎の塩焼き。この焼いている時の姿が食欲をそそります

すっかり満腹になって郡上市の旅は終了。食べる、見て歩く、情緒に浸る……。さまざまに楽しむことができたぶらり旅。アンコール! あっ、もう、また訪ねたくなってきました。

郡上市観光連盟
https://www.gujokankou.com/

だるまや
http://www.gujoayu.com/

長良川鉄道
http://www.nagatetsu.co.jp/

PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、江澤香織、高松平藏、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希

  • 宮﨑健二

    旅ライター。1958年、福岡市生まれ。朝日新聞社入社後、主に学芸部、文化部で記者として働き、2016年に退社。その後はアウェイでのサッカー観戦と温泉の旅に明け暮れる。

ハノーバーの宝ヘレンハウゼン庭園と、愛の証しマリエンブルク城

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