旅空子の日本列島「味」な旅

城郭から洋風建築への歩みを記す町 山形市

例年なら9月中旬~10月下旬、山形県は”芋煮会“でにぎわう季節である。河原ではサトイモ、肉(地域によって牛や豚)、コンニャク、ネギを大鍋で煮込む光景がそこここで見られる。山形の秋の風物詩だが、コロナ禍の今年は各地で中止という。

そんな折に山形市を訪ねた。駅構内の観光案内所に立ち寄ると、無料のレンタサイクルがあるという。うれしい計らいに、ペダルを踏んだのは山形城跡の霞城(かじょう)公園。

二ノ丸東大手門

木造建てで復元された二ノ丸東大手門

最上義光歴史館や山形美術館の近くの奥羽線・山形新幹線沿いに白壁造りの二ノ丸東大手門が目に付く。

最上氏57万石の居城で、城内には11代城主の最上義光の騎馬像をはじめ、国宝「縄文の女神」を展示する県立博物館、明治初期の建築の擬洋風の済生館本館を移築復元した山形市郷土館など、歴史と文化の公園である。

山形市郷土館

洋風建築と医学資料が見ものの郷土館

とくに郷土館は中庭を囲んだ14角形の建物で、3層の塔屋をもつ凝った造り。内部の医学資料や郷土資料の展示に、明治期に山形に発達した医学の足跡がよくわかった。

文翔館

モダンなれんが建築の旧県庁舎の文翔館

市街地を時計回りに巡って旧県庁舎・旧県会議事堂の文翔館の英国様式の赤レンガ建築やシャンデリア、じゅうたんなどにモダンさをしのびながら、山形の歴史・文化のいくつかを仕入れて通りに出た。

商店やオフィスが連なる繁華通りの七日町通り。その一角にある、柳並木と水路のある七日町御殿堰(ぜき)でひと息ついた。

七日町御殿堰

街なかに安らぎを与える七日町御殿堰

山形市は蔵王山系から流れる水による扇状地にひらけた町。御殿堰は中心街を流れる農業用水の一つで、水路として再生。飲食店もあって、町なかに安らぎを与える観光スポットになっている。

その七日町通りで青エンドウ豆を煮たしっとりホックリの山田家の「白露ふうき豆」や完熟の梅肉をゼリー状にした酸味と甘味が絶妙な佐藤屋の「乃し梅」を山形みやげとして買った。

「白露ふうき豆」

数軒の中で人気の山田家の「白露ふうき豆」

「乃し梅」

伝統のある老舗・佐藤屋の「乃し梅」

七日町通りに面して、紅花商人だった長谷川家の母屋と蔵からなる白壁土蔵の美しい飲食・土産物店の紅の蔵で、名物「芋煮」を味わった。コクのある汁、軟らかな肉、ねっとりとしておいしいいもなど、さすがに人気の名物料理である。

「芋煮」料理

紅の蔵で食べた名物「芋煮」料理

秋が深まると、紅葉のあとに、近くの蔵王の峰に雪が来て山形の長い冬が始まる。

〈交通〉
・JR山形新幹線・奥羽線山形駅下車
〈問い合わせ〉
・山形市観光協会023-647-2266

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

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PROFILE

中尾隆之

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター
高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

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