永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶

(83) 月世界で感じたエイリアン?の視線 永瀬正敏が撮った台湾

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回は台湾の不思議な土地で撮った写真。永瀬さんが感じた謎の視線とは?

(83) 月世界で感じたエイリアン?の視線 永瀬正敏が撮った台湾

©Masatoshi Nagase

台湾には月がある。

正確には「月世界」という場所があって、泥岩などでできた不思議な形をした地で、
粘土質の地面は乾ききってひび割れ、まるで月面に立っているように感じる所。

台湾には何カ所か「月世界」があるが、
僕が行ったのはまだあまり知られていないこぢんまりとした“月”の方だった。
それでも十分異世界に迷い込んだような感覚になる。

その「月世界」に行ったのは、ある台湾の飲料メーカーのCM撮影のためだった。
何も整備されていない、まだ観光地化もされていない知る人ぞ知る場所だったので、
撮影ポイントまで悪路が続き、多くの機材を運ぶのも大変だった。
重機を入れるわけにもいかず、断崖では重い機材を手作業で上げ下げするしかない。
なので、僕には結構待ち時間があった。

とても珍しい場所なので、スタッフの皆さんには申し訳ないが、
待ち時間を利用して辺りを歩いて回った。
自然が作り出した不思議な造形の岩肌や、一面ひび割れた地面は、
まるでSF映画の世界にいるようだった。

その風景を撮影していると、誰かの視線を感じた。
しかし周りには誰もいない。
遠くに、撮影の準備を進めている大勢のスタッフの皆さんが見えるだけ。
気のせいか?と改めてカメラを構えると、また視線を感じる。
ふと、ひび割れた地面に視線を落とすと、
人工的に作られたような真ん丸な穴が開いている……。しかも何カ所も。

近寄ってのぞいてみると……、
そこには、未知?の生物が!!
ついにエイリアンとの遭遇か!とさらに近づいてよくのぞいてみると……。

ぜひみなさんも、写真の右側に写る丸い穴の中をよく見て、
その生物を確認してください(笑)。

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PROFILE

永瀬正敏

1966年宮崎県生まれ。1983年、映画「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」(89年)、山田洋次監督「息子」(91年)など国内外の約100本の作品に出演し、数々の賞を受賞。カンヌ映画祭では、河瀬直美監督「あん」(2015年)、ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」(16年)、河瀬直美監督「光」(17年)と、出演作が3年連続で出品された。近年の出演作にオダギリジョー監督「ある船頭の話」、周防正行監督「カツベン!」、甲斐さやか監督「赤い雪」 、大森立嗣監督「星の子」など。 写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2021年1月16日から3月21日まで、愛知県の「高浜市やきものの里かわら美術館」で写真展が開催される。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。

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