あの街の素顔

磐梯山登山と老舗温泉旅館を満喫 Go Toトラベルキャンペーンを利用して秋の福島へ(1)

いつもの旅スタイルがままならない昨今だが、気候の良い秋は旅気分が高まる。旅行計画を立てる上で念頭に置きたいのが感染リスクを避けながら安心・安全な旅行することだ。定番の旅先でも時間をずらすことで混雑と接触を避けられる。「Go To トラベルキャンペーン」を使い、平日、部屋数の少ない宿、レンタカーを利用するといった三密回避対策をして、10月、磐梯山周辺の紅葉を楽しむ旅に出た。

Go Toトラベルの利用方法と注意点、地域共通クーポンとは?

クーポン

Go To トラベル キャンペーンとは、旅行会社や予約サイト、宿に直接予約すると、旅行代金の最大半額分が補助されるというもの。旅行代金(宿泊代金)の35%が割り引かれ、残りの15%は現地で使える地域共通クーポンとして付与される。補助の上限は1泊1人あたり最大2万円分、日帰りは最大1万円分。旅行会社や予約サイトなどで予約したツアーや手配旅行、日帰りツアーなどが対象。また、宿泊施設に直接予約した場合も対象となる。

例えば1泊2日4万円のツアーを予約した場合、半額に相当する2万円分が補助される。その内訳は、7割にあたる1万4千円が旅行代金から割引され、残りの6千円が地域共通クーポンで付与される。泊数ごと(上限あり)に補助の対象となる。

Go To トラベルキャンペーンを利用して旅行申し込みをする場合は、キャンペーンに参加している旅行会社や予約サイト、宿泊施設を利用する。

地域共通クーポンはどこで何に使えるのか?

地域共通クーポンとは、Go Toトラベルキャンペーン補助分50%のうち、15%(1,000円未満の端数は四捨五入)に当たる金額分を、旅行期間のみ使用できるクーポン。有効期限は初泊チェックイン日の15時以降からチェックアウト日当日まで。日帰りの場合は当日のみ有効。紙クーポンと電子クーポンがあり、それぞれ予約先で配布されるクーポンが異なる。小売店、飲食店、旅先のローカル交通網、観光関連施設など、Go Toトラベルキャンペーンの地域共通クーポン事業に登録した施設、交通機関で使用可能。

どの施設で使用できるかは、Go Toトラベルキャンペーンの公式サイトで検索する。事前に目的地近くの加盟店を調べておくといい。地域共通クーポンは1枚1000円単位で発行し、お釣りは出ない。1000円以下は現金で支払うなど上手に利用しよう。

Go Toトラベルキャンペーンの公式サイト
https://goto.jata-net.or.jp

他のキャンペーンも上手に使ってさらにお得

Go Toトラベルキャンペーンとは別にJR東日本やJR西日本で、新幹線や一部特急列車がインターネット予約で半額になるキャンペーンを実施中だ。それぞれえきねっと(JR東日本)、J-WESTネット(JR西日本)会員限定。どちらも会員登録は無料。また、自治体が独自に小売店や宿泊などで利用できる割引クーポンを配布している。詳しくは各自治体及び観光協会のサイトで確認するといい。

Day1 郡山駅からレンタカーで磐梯山を目指す

山登り

JR郡山駅に到着後、レンタカーを借りて磐梯山に向けて車を走らせる。郡山インターから高速に乗り磐越自動車道を経て猪苗代まで約40km、そこから八方台登山口まで約20km、時間にしておよそ1時間20分。この日は山々の木々が黄色や赤く色づく磐梯山ゴールドライン(現在は冬期通行止め)の秋景色を車窓から楽しみながら向かった。

八方台登山口から「宝の山」磐梯山へ

宝の山と民謡で歌われる「会津磐梯山」は、日本百名山に数えられる福島県会津地方のシンボル的存在となっている。標高1816mの独立峰は、裾野を四方に広げる。もっとも登りやすく人気のある八方口からのコースは、ゴールドラインの冬期通行止めの間は行けなくなるが、ほかにも磐梯山には川上、渋谷、猪苗代、翁島、裏磐梯の各登山口がある。体力や経験に合わせて選ぼう。

その昔は、天に通じる「石の梯子(はしご)」にたとえられ、磐梯神が頂上にまつられ磐梯山(いわはしやま)と呼ばれたが、それが音読みされて「ばんだいさん」になったという。

八方口入り口近くの駐車場に車を止めた。山に入ったらトイレはないので駐車場近くで必ず済ませておくこと。登山口には「クマに注意!!」の看板が立っている。さっそくクマ鈴を鳴らしながら登山開始。

葉

中ノ湯跡

中ノ湯跡は今も当時の小屋が残っている

登りはじめはブナ林の緩やかな道が続き森林浴を楽しみながら歩いていると、視界が開け荒涼とした中ノ湯跡に出る。廃業したが今でも源泉が湧いていて、辺りには温泉のにおいが立ちこめている。分岐を直進すると本格的な山道に入っていく。整備はされているが、きつい勾配が続く。樹林帯を登りつづけて息が切れたところに絶妙のタイミングで木々が途切れた。眺望の良いポイントからの桧原(ひばら)湖を望む景色に励まされながら、さらに標高を上げていく。

眺望

1時間半ほど登ると、山頂手前の弘法清水小屋周辺は、見晴らしが良く小休止にぴったり。「弘法清水」の湧水(ゆうすい)が、細いパイプから流れ出ており冷たくておいしい。気持ちもリフレッシュする。そのまま口にしても衛生上問題ない。

弘法清水から山頂までは500m。距離だけ見ればあと少しだが、ここから急登となり岩だらけのクネクネした道を息を切らしながら、30分間無心で登りつめる。

山頂 360度の感動的パノラマ

山頂

山頂は火山らしく岩が重なり、てっぺんに磐梯明神の石の祠(ほこら)が立っている。百名山の中でも屈指の展望の山といわれる頂上からは、360度の爽快なパノラマが広がる。間近には猫魔ヶ岳、安達太良山の山並みが見渡せ、山麓(さんろく)には日本で4番目に大きな猪苗代湖、北には檜原湖、秋元湖などの湖沼群を望む。色づく山々をいつまでも眺めていたいところだが、この日の山頂の気温は3度。かじかむ手でおにぎりを頰張り景色を堪能したら、早々に弘法清水小屋へ引き返す。

なめこ汁

弘法清水の岡部小屋(営業は4月下旬〜11月中旬)で陽気な店主と楽しく会話しながらなめこ汁をすする

弘法清水で名物料理となっている「なめこ汁」を、岡部小屋で頂きながら小休止。体が温まったら、花畑コースから下山。花の時期は終わっているが、振り返ると磐梯山頂が見え、片側はダイナミックな爆裂火口や険しい岩塊、大迫力のパノラマが見られ、自然の力の巨大さと恐ろしさを実感した。

葉

登山口付近はブナ林、ダケカンバ、ハイマツ帯から始まり、高度が増すにしたがって景色が変化し、山頂は岩場というバラエティーに富んだ登山を楽しめた。下山途中ですれ違った真っ黒なラブラドルレトリバーが一瞬クマと見え、ひっくり返りそうになった。

◆磐梯山登山の注意点
・活火山なので火山情報をチェックする
・中ノ湯では火山ガスに注意
・クマに注意
・簡易トイレを携帯する

◆裏磐梯観光協会(磐梯山に関する問い合わせ)
住所:耶麻郡北塩原村桧原剣ヶ峰1093-1055
電話:0241-32-2349
営業時間:9:00~17:00
https://www.urabandai-inf.com/

国の登録有形文化財に泊まる「会津東山温泉 向瀧」

向瀧

会津若松の市街地から車で10分ほどの山間を流れる湯川沿いにたたずむ東山温泉郷は、1300年前に名僧・行基によって発見されたと伝えられ、奥羽三楽郷の一つと言われる歴史ある温泉だ。会津民謡に登場する「小原庄助さん」ゆかりの温泉ともされる。江戸時代には会津藩の湯治場として栄え、会津若松の奥座敷として発展した。

会津藩指定保養所の歴史を引き継いだ国の登録有形文化財「向瀧(むかいたき)」は、1873年に旅館として創業以来、 伊藤博文、野口英世、与謝野晶子など、多くの著名人が訪れている。数寄屋造りの木造建築で、現代では再現できない職人の匠の技が今も訪れる者を魅了する温泉旅館だ。

庭

部屋

赤い欄干の橋を渡ると、宿の玄関では番頭さんと仲居さんが外で待っていた。会津なまりでの温かい出迎えになんだかホッとする。木の香りが心地よいピカピカに磨かれたレトロな雰囲気の玄関も素敵だ。

フロントでチェックインの手続きをすることはなく、そのまま客室へ案内される。約3000坪を有する敷地に、傾斜を生かした立体的な中庭を取り囲むようにして立つ日本建築の美を感じられる貴重な木造建物だ。客室はたったの24室。食事は部屋出し、浴場は3カ所ある。

館内はほとんど木製。客室の洗面台には、歯磨きなどで使うための使い捨て紙コップも併用。館内の掃除には、オゾン発生器による除菌消臭を行っているという徹底ぶりで宿泊客を迎えている。滞在中に他の宿泊客と会うことはほとんどなく、おかげで普段と変わらぬ滞在を楽しめた。

奥羽三楽郷といわれる名湯

宿

温泉

すべての浴槽は源泉100%掛け流し完全放流式にこだわり、新鮮な源泉が注がれている。泉質は体に優しい単純温泉のカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉。少し熱めの湯加減が特徴で加水・加温・循環・濾過(ろか)は一切なし。サラサラとしたお湯が肌に優しくまとい、汗と一緒に疲れやストレスが洗い流されるような感覚。お湯の流れ口には、温泉の成分である、 ナトリウム・カルシウムが結晶となって白い湯の花を咲かせている。

料理

夕食は食前酒、先付けからデザートまで四季折々の会津の味覚満載の14品が頃合いを見て部屋に運ばれてくる。伝承の一品「鯉(コイ)の甘煮」は、 江戸時代から伝わる会津藩直伝の逸品。川魚が苦手な人でもおいしく食べられるように工夫されている。かくいう筆者も川魚料理はやや苦手だ。鯉はハードルが高いと感じていたが、身はしっかりとしていて臭みも全く感じられず、持って帰りたいくらいおいしくいただけた。

会津東山温泉 向瀧
住所:会津若松市東山町湯本川向200
電話:0242-27-7501
https://www.mukaitaki.com/

Day2 お座トロ展望列車を楽しむ

石碑

早起きして旅館が立ち並ぶ川沿いを散策。美人画で有名な竹久夢二の碑や与謝野晶子の歌碑、東山温泉で楽しい時間を過ごした浴客が後ろ髪をひかれる思いで帰宅したということから名付けられた「残念坂」など、時代を感じさせる風情ある町並みだ。立派な鳥居の羽黒山湯上神社は、1225段の石段を上がった山頂に本殿がある。ふもとでポンポンとかしわ手を打って頭を下げ旅館に戻る。

小原庄助さんに倣い朝湯を楽しんだ後は、季節の素材をいかしたたくさんの小鉢が彩る目にも楽しい朝食で元気をいただき、会津若松駅へ。

お楽しみは会津鉄道の「お座トロ展望列車」。会津の美しい自然豊かな景観と車窓を流れるのどかな沿線風景をじっくり楽しめる人気の観光列車。お座敷+トロッコ+展望車両の2両編成だ。通常の乗車区間の乗車券の他にトロッコ整理券320円を購入する。この日は会津若松駅~会津田島駅間を走る「花号」に乗って会津若松駅を出発。

湯野上温泉駅

大川渓谷を抜ける芦ノ牧温泉駅~湯野上温泉駅間は絶景ポイントの連続。湯野上温泉駅は全国でも珍しいかやぶき屋根の駅舎。最寄りの観光スポットである大内宿のかやぶき屋根の古民家が並ぶ街並みになぞらえている。

つり橋を渡って開運祈願

看板

つり橋

目的地の「塔のへつり駅」で下車。へつりとは地元の言葉で「断崖」をいう。塔の形が立ち並ぶ断崖ということだ。吊り橋が架けられ、断崖内部の一部を見学することもできる。その特異な形から、1943年に国の天然記念物に指定されている。頑丈な作りだが、大人数で渡ると揺れを感じる。つり橋を渡ると、削られた岩肌が回廊のようになっている。

洞窟

つり橋を渡り階段を上ると洞窟の奥に虚空蔵菩薩(ぼさつ)をまつるほこらがある。807年に坂上田村麻呂が創建したものだそうだ。住職が在寺の時は御朱印の授与もいただける。知恵と富を象徴している虚空蔵菩薩様に手を合わせ開運祈願。しばらく渓谷の紅葉を楽しんで駅へと戻る。

弁当

芦ノ牧温泉駅「牛乳屋食堂」のソースかつ丼駅弁と会津田島駅「緑屋」の松茸(まつたけ)二段弁当

今度は会津若松駅行きの「風号」に乗る。事前に予約していた駅弁を受け取り、お座敷席で味わいながら戻る。お座トロ展望列車ならではのサービスだ。名物のソースカツ丼は、全国丼グランプリカツ丼部門で3年連続金賞受賞という輝かしい経歴を持つ代物。芦ノ牧温泉駅近くにある「牛乳屋食堂」による「ソースカツ丼駅弁」は、会津産のコシヒカリの上に国産の豚肩ロースカツをのせ、代々継ぎ足しで作っている牛乳屋秘伝のソースがたっぷりかかっている。ボリュームのあるお肉に甘めのソースダレがベストマッチ。

二段弁当は会津田島駅で10年以上売られている看板駅弁。箱を開けた瞬間、炊き込みご飯の上に並んだ大きなマツタケのスライスが目を楽しませてくれる。美景と美食、楽しい時間はあっという間に過ぎ去った。

会津鉄道

http://www.aizutetsudo.jp/trip/ozatoro/
※会津若松駅~会津田島駅を走る今年のお座トロ展望列車「花号」「風号」「星号」の運行は終了していますが、紹介したスポットは鉄道で行くことができます。

※次回は会津若松でのショッピングと美しい五色沼を紹介します。

PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、江澤香織、高松平藏、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希

  • 鈴木博美

    旅行業界で15年間の勤務を経てフリーの旅行家に。旅を通じて食や文化、風土を執筆。日本航空機内誌のほか、新聞雑誌等に海外各地の旅の記事を寄稿。著書に一人旅に役立つ電子書籍「OL一人旅レシピ」インド編、カンボジア・ベトナム編、エジプト編、世界中のおいしい料理をおうちで作る「いつもの食材で作る世界の料理レシピ」。ブログ「空想地球旅行」で旅のあれこれを発信中。

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