楽しいひとり温泉

温泉+ひとりごはん 秋田の郷土料理も評判 乳頭温泉郷「妙乃湯」

ひとり旅を楽しく過ごすために重要なポイントのひとつが食事です。寂しくなく過ごせる環境で、おまけに、ひとりでいることを楽しむ余裕すらも感じられる、そんな風に食事を楽しめたら、旅はとても幸せなものになると思います。今回訪れる秋田県仙北市の乳頭温泉郷「妙乃湯」は郷土料理を美しい盛り付けで、おいしく楽しく味わえると評判の宿です。ひとりでも食事の時間が楽しくなる温かい仕掛けが考えられていました。(トップ写真:カウンター席で、ずらりと並ぶ秋田の恵みを味わう)

■連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

渓流を眺め、ふかし芋とお茶っこで「ようこそ」

秋田弁で案内されてチェックイン

秋田弁で案内されてチェックイン

秋田新幹線こまちを田沢湖駅で降り、路線バスに乗っておよそ50分、ブナの森に囲まれた乳頭温泉郷は7軒の温泉宿が点在する山の温泉郷ですが、公共交通で気軽に行けるのがうれしい。本日の宿「妙乃湯」はバス停「妙乃湯温泉前」の目の前です。「ようこそ。まず、お茶っこでもいかがですか?」。温か~い秋田弁で迎えられてロビーへ。迫力ある渓流を眺めるカウンター席で、ふかし芋とお煎茶でチェックイン。ここは、居心地がよくてお尻に根が生えそうです。

こたつで湯上がりのビールを

こたつで湯上がりのビールを

11月の初めに泊まりましたが、翌日は雪の予報。部屋のこたつの暖かさが身にしみます。こたつの上のお茶菓子は、花豆といぶりがっこ&チーズ。いぶりがっこは秋田の名物で、干した大根を囲炉裏の上でいぶしたお漬物です。これがクリームチーズと相性ぴったり、風呂上がりのビールのおつまみまで用意してくれているんですね。

ひとり貸し切り温泉と、泉質の違う金の湯・銀の湯

貸し切り風呂へ向かう通路

貸し切り風呂へ向かう通路

館内は、湯巡り気分。男女別の大浴場では2種類の源泉の入り比べができるし、さらに、混浴露天風呂あり、宿泊者は無料で入れる貸し切り温泉ありと温泉を満喫。暗くなる前に絶景の貸し切り風呂にでかけようと早めの時間を予約し、いそいそと向かいます。大浴場の奥の通路は、ちょっと秘密めいていてドキドキします。

宿泊者が無料で予約できる貸し切り風呂

宿泊者が無料で予約できる貸し切り風呂

滝の水音が大迫力の貸し切り風呂は透明な銀の湯です。半露天風呂になっていて、絶景を独り占め。誰にも気兼ねすることなく、ひとりでのんびりと浸る温泉は、まさに極楽です。「ふうううう。はああああ」と、思いっきり深呼吸。体の隅々まで山の冷たい空気で洗われていくようです。銀の湯の泉質は単純温泉、pH6.6の中性。つるりとした感触で、肌がすべすべと整います。

金の湯は赤茶色のにごり湯

金の湯は赤茶色のにごり湯

貸し切り風呂を満喫したら、そのまま大浴場へ。もうひとつの源泉・金の湯を岩風呂で楽しみます。こちらは赤褐色のにごり湯で、泉質は、酸性・含鉄-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉、pH2.9の酸性です。鉄分やミネラルを豊富に含み、肌と体へ元気をチャージしてくれます。温泉の潤いを肌へと運ぶメタケイ酸もお湯1Kg中222.7㎎含有。まるで天然の美容液のようでうれしくなってしまいます。

じゅんさい、みずこぶ、稲庭うどん……名物ふんだんの夕食

夕食の食事処で案内されたのは、窓を向いたカウンター席。個室タイプもいいのですが、ちょっと寂しい時もあるものです。ここでは、宿のにぎわいを感じながらも窓向きなので気楽にひとりの食事を楽しめます。Withコロナの時代となり、数種類のお料理をまとめて提供されるスタイルになりましたが、あれもこれもと味わえて、これはこれで楽しめます。食前酒の山桃酒、秋田名産のじゅんさいは大きくてちゅるちゅるとした粘りが爽やかでおいしい。みずこぶのしょうゆ漬けも山のごちそう、山菜のみずの花が咲いた葉の付け根にできるむかごの部分を「みずこぶ」と呼ぶ珍味です。紅マスの冷燻(れいくん)すし、秋田牛の赤ワイン煮なども並び、うーむ。これは、ワインがいいかなと、小坂七滝ワイナリー(小坂町)のロゼワインを合わせました。

秋田名物の稲庭うどんも登場

秋田名物の稲庭うどんも登場

お吸い物代わりに登場したのは、秋田杉の曲げわっぱに入った稲庭うどん。つるつるしこしこののど越しで上品なおだしの優しい味わい。

イワナの朴葉焼き

イワナの朴葉焼き

目の前の七輪で仕上げるイワナの朴葉(ほおば)焼きは、みその芳しい香り。お宿のスタッフの秋田弁の接客が楽しくて、思わず笑顔になります。

宿名物のきのこ汁(右上)

宿名物のきのこ汁(右上)

つややかなごはんは、秋田県産あきたこまち。お漬物はいぶりがっこといぶりニンジン、そして妙乃湯名物の「きのこ汁」。サワモダシ、ヒラキナメコ、アミタケなど、数種類のきのこの味わいが複雑なうまみになって、五臓六腑(ろっぷ)にしみわたるおいしさです。

美しくライトアップされた夜の妙乃湯

美しくライトアップされた夜の妙乃湯

ライトアップされ、ドラマチックに変貌(へんぼう)する夜の妙乃湯。その風景を眺められる混浴露天風呂は、タオルを巻いて入れるので、老若男女が行き来し、夜は和気あいあいの雰囲気になります。

幸せいっぱい、ボリューム満点 秘湯の朝ごはん

朝ごはんの豪華さに目をみはる

朝ごはんの豪華さに目をみはる

朝食はロビーラウンジのカウンター席。こうした席が多いのは、ひとり旅にはうれしい仕掛けです。豪華な朝食にびっくり。焼き魚は2種類で、秋田の冬を代表するハタハタとサケ。ふろふき大根はフキみそで。生卵は卵かけごはんにしてもいいし、野菜やベーコンの鉄板にのせて目玉焼きにしてもいい。珍しいわらづと納豆は、とんぶりとネギを薬味に。具だくさんのおみそ汁、あきたこまちのピカピカごはんと、あふれんばかりの幸せが並びます。

食後のコーヒーとデザートにも行き届く美意識

食後のコーヒーとデザートにも行き届く美意識

食後のコーヒーとデザートも、こんな美しい盛り付けで登場。くつろぎの朝を演出する宿の美意識に感激しました。

秋田県・乳頭温泉郷 妙乃湯
https://taenoyu.com/
*Go To トラベルキャンペーン対象宿

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.景色を眺めるカウンター席
2.独り占めの無料貸し切り温泉
3.美意識の高い朝ごはん

BOOK

温泉+ひとりごはん 秋田の郷土料理も評判 乳頭温泉郷「妙乃湯」

全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!

石井宏子さんの著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)。温泉ビューティー研究家・旅行作家ならではの、旅してみつけた、女性がひとりで安心して楽しめる温泉宿を紹介するハンディーな一冊。公共交通機関で行ける、自分へのごほうびで泊まりたい、いい宿を全国から厳選し、あわせて、女性目線で選んだ周辺の立ち寄り先、ランチやスイーツも取り上げます。ひとりでも楽しい観光列車も登場します。税別1400円。

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)などのほか、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月に発売された。

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