旅空子の日本列島「味」な旅

幕末・維新に輝く足跡を残す歴史の町 福井市

福井駅前広場では恐竜像、駅舎の壁には巨大な恐竜のイラスト。県内で恐竜の化石が多数発掘された“恐竜王国”の玄関口としての歓迎モニュメントである。

駅続きのプリズム福井や駅前のモダンな複合施設のハピリンには、名物の越前ガニ、越前おろしそば、焼き鯖(さば)ずし、ソースカツ丼、若狭カレイなどの食事処から花ラッキョウ、水ようかん、羽二重餅の土産物まで多種多様な店が並ぶ。人口約26万を数える県都らしい近代的なビルである。

福井駅前

恐竜像とモダンなハピリンが目に付く福井駅前

町としての歴史は戦国時代に柴田勝家が築いた北ノ庄城の城下町に始まるが、賤ケ岳(しずがたけ)の合戦で羽柴秀吉に敗れ、妻・お市(織田信長の妹)と自刃。

城跡には2人をまつる柴田神社があり、お市の子の茶々、初、江(ごう)の浅井3姉妹の像も加わり、歴史ドラマを語り掛けてくる。

柴田神社

北ノ庄城址(じょうし)に立つ勝家とお市をまつる柴田神社

その後、徳川家康の次男・結城秀康が福井に入った。福井城は石垣と内堀が残るだけだが、復元された山里口御門や御廊下橋に江戸時代への思いが膨らむ。本丸跡には県庁舎が建っている。

福井城跡

江戸時代を通して城下町の要となった福井城跡

幕末の名君で知られる福井藩主・松平春嶽(しゅんがく)をまつる福井神社や藩主松平家別邸の養浩館庭園などにも城下町の時代がしのばれる。

福井駅の南西、足羽川(あすわがわ)にかかる幸橋を渡った足羽山麓(さんろく)の愛宕坂エリアには、幕末・維新の歴史が凝集。藩財政を立て直し、明治政府で金融財政を担当、「五箇条の御誓文」にも関わった由利公正の像や邸宅跡、公正と交流のあった坂本龍馬歌碑も立っている。

由利公正像

郷土が誇る由利公正像

足羽山麓には藩主春嶽に才を買われ側近として藩政改革に手腕を奮った橋本左内を顕彰する左内公園がある。左内は一橋慶喜の将軍擁立に動き、数えで26歳の時に「安政の大獄」で斬首。像と墓所がある。

橋本左内像

郷土が誇る橋本左内像

左内公園から山裾の道を歩いて愛宕坂を上り、石段坂の途中にあるのが橘曙覧(たちばなのあけみ)記念文学館。曙覧は「たのしみは」で始まり、「~時」で終わる形式で詠む「独楽吟」(どくらくぎん)で知られる幕末の歌人・国学者である。

・たのしみは妻子むつまじくうちつどひ
 頭ならべて物をくふ時
・たのしみは朝おきいでて昨日まで
 無かりし花の咲ける見る時

橘曙覧記念文学館

万葉調の和歌で知られる橘曙覧記念文学館

観光的には地味に見える福井市だが、川や山を控えて、特に幕末・維新の歴史の懐深い町である。

越前かにめし

名物駅弁の越前かにめし

越前おろしそばと焼き鯖ずし

越前おろしそばと焼き鯖(さば)ずし

〈交通〉
・JR北陸線福井駅下車
〈問い合わせ〉
・福井市おもてなし観光推進課 0776-20-5346

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

■バックナンバーはこちら

PROFILE

中尾隆之

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター
高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

岩峰と巨岩と清流が織りなす昇仙峡 山梨県・甲府市

一覧へ戻る

詩と絵がある海の景勝、磯原から平潟へ 茨城県・北茨城市

RECOMMENDおすすめの記事