永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶

(88) 異国の文化を知ることは刺激的 永瀬正敏が撮ったカタール

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。カタールで撮影したこの写真から、異国の文化を知る興味深さに、思いはつながっていきます。

(88) 異国の文化を知ることは刺激的 永瀬正敏が撮ったカタール

©Masatoshi Nagase

カタール・ドーハで出会った、ヒジャブで髪を覆った女性。
少し調べてみると、“ヒジャブ”とはアラビア語では頭にかぶるベールという意味のほかにも、
「貞淑」「道徳」という意味もあるらしい。

以前イランとの合作映画に出演した際、映画でのヒジャブの取り扱い方を聞いた。
女性は劇中、常にヒジャブをかぶっていなければならないのだが、
極端な話、夜寝るシーンもシャワーを浴びるシーンも着用していなければならないらしい。
(そもそもシャワーシーンを描くこともできないそうだが)

シーンが終わるたびに、ヒジャブから髪の毛がどれぐらい出ていたか、必ずチェックをしていた。
決まりがあって、違反しているとイランでは上映出来なくなるということだった。

逆に僕が、日本の文化について聞かれることも多々ある。
その時は間違ったことを言ってはいけないと、いつも慎重に答える。
そして自分がどこまでちゃんと自国の文化について理解しているか、自問自答する。

異国の文化を知ることはとても刺激的だ。
いろいろ話を聞いていくと、「そういう考え方もあるのか」といつも思う。
また、「こんな共通点もあるのか」と気づくこともある。
そして自分の国に誇りを持って、もっとキチンと自分の国の文化のことを知らなければと、毎回思う。

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PROFILE

永瀬正敏

1966年宮崎県生まれ。1983年、映画「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」(89年)、山田洋次監督「息子」(91年)など国内外の約100本の作品に出演し、数々の賞を受賞。カンヌ映画祭では、河瀬直美監督「あん」(2015年)、ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」(16年)、河瀬直美監督「光」(17年)と、出演作が3年連続で出品された。近年の出演作にオダギリジョー監督「ある船頭の話」、周防正行監督「カツベン!」、甲斐さやか監督「赤い雪」 、大森立嗣監督「星の子」など。 写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2021年1月16日から3月21日まで、愛知県の「高浜市やきものの里かわら美術館」で写真展が開催される。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。

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