ちょっと冒険ひとり旅

どこ歩く? 何持って行く? 楽しむコツを紹介 「京都一周トレイル」で冒険旅#7

近場でも冒険気分を味わいたい……というわけで、京都在住の旅行ライター・山田静さんが選んだ冒険先は地元・京都。京の都をぐるりと囲むトレイルルート「京都一周トレイル」完歩に挑戦。今回は最終回、トレイルの楽しさやコツを総括します。

(トップ写真は嵐山、渡月橋からの眺め)

■何回目かのひとり旅、ちょっとだけ冒険してみたい。そんな旅人のヒントになりそうな旅先や旅のスタイルを紹介している連載「ちょっと冒険ひとり旅」。京都で旅館の運営をしながら、旅行ライターとしても活躍する山田静さんが、飛行機やバスを乗り継いで比較的簡単に行ける、旅しがいのあるスポットをご紹介していきます。バックナンバーはこちら

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京都一周トレイルがオススメなのはこんな人

私なりの見方だと、これらに思い当たる人ならきっとツボにはまるはず。ぜひ歩いてみてほしい。

1.京都リピーター、または歴史に興味がある人

歩くことで清水寺、嵐山、比叡山など名所旧跡が線でつながり、古都の地形・構造や歴史を肌で感じられる。個人的に印象に残ったのは比叡山から大原・鞍馬への道。徒歩での距離感や峠道のけわしさを体感したことで、歴史小説やドラマを見るときの面白さが違ってきそうだ。

哲学の道

哲学の道。銀閣寺周辺は緑豊かで美しい庭園や神社仏閣が集まり、歩くとより魅力が増す

2.とにかく歩くのが好きな人

東山のサブルートである伏見・深草ルート(9.5キロ)、京北ルート(48.7キロ)を入れると全長130キロに及ぶトレイルルートは歩きごたえ十分。道標がしっかりしているので、体力や時間にあわせて適当な距離で区切って歩けるのも魅力だ。

氷室集落

特に印象に残っているのが北山ルートの氷室集落。絵本のような風景がずっと続いた

3.達成感を求める人

「登頂した!」もうれしいが、「歩ききった!」は所要時間や移動距離が長いので、別のうれしさがある。東海道完歩やお遍路にハマる人が多いのも納得した。

逆に向いていないのは、「大自然を期待する人」「“登山”したい人」だと思う。京都市を取り巻くのは人の手が隅々まで入った里山だ。林道や車道を歩くことも多いし、嵯峨野・嵐山周辺に至っては大勢の観光客に紛れて歩くことになるので、登山ルックだとちょっと気まずいくらいだ。日本アルプスのような「山」を想像していくと、むしろガッカリすることだろう。

京都市街

東・北・西方向から何度も眺めた京都市街の風景。深山幽谷の趣というより、京都の歴史をたどる道だ

装備と持ち物

筆者が歩いたのは6~9月の夏季で、服装は夏山スタイル。実は初回は普段着のコットンTシャツやパンツ、スニーカーだったのだが、暑いし足場が悪いところもあるので、2回目以降はトレッキングスタイルに変えた。

<基本の服装>
・登山用速乾Tシャツ
・長袖速乾シャツ(Tシャツの上に羽織る)
・夏山用つば有りハット
・ザ・ノースフェイスのアルパインライトパンツ
・モンベルのローカット・ハイキングシューズ(マリポサトレール)
・厚手のコットン靴下2枚重ね
上記で特にオススメなのがアルパインライトパンツ。ほどよくフィットするすっきりしたデザインで、ストレッチもよく利いて動きやすく、特に登りがラク。撥水(はっすい)性もあって少しの雨なら平気だ。

<装備>
バックパックはグレゴリーのオールデイ。ポケットが中にも外にもいくつもあって、山だけでなく旅にも使い勝手がいい。これを背負って、ミラーレス一眼カメラと iPadミニを入れた小さなカメラバッグをたすきがけして、歩きながらでもすぐ取り出せるようにしていた。

持ち物は財布などのほかに、水(500mlボトルを2本)、昼食(だいたいコンビニおにぎり二つ)を用意。非常用品として、消毒剤や救急用品のほか、緊急時用の笛、ペンライト、熊よけの鈴をザックに入れていた。コロナ禍時代の登山の必需品、飛沫を防ぐものも忘れずに。筆者はネックゲイターやマスクを常備していた。

山道

コロナ禍の平日、というのもあって、大文字山周辺と、嵐山など観光地をのぞいて、ほとんど人に会わなかった。トレイルランで走っているランナーに時々すれ違う

歩くときのコツ

歩くと決めたら、まずは地図を用意。道標を頼りに歩けないこともないが、山を侮ってはいけない。地図を見て地形や距離を把握すべし。公式ガイドマップは、指定販売店や郵送での購入が可能(https://ja.kyoto.travel/tourism/article/trail/stores.php)。より詳細な情報や解説が読める『京都一周トレイル Kyoto Trail Guidebook』(ナカニシヤ出版)も役に立つ。

次に計画を立てよう。とりあえず雰囲気を知りたいなら、本稿1回目で紹介した東山コースの伏見稲荷〜蹴上、あるいは西山コースの清滝〜嵐山が見どころが多くオススメだ。筆者は自分の体力にあわせて「1回10キロ程度」を目安にコースを分割したが、歩き慣れた人なら1回で15〜20キロ程度はいけるかも。

遠方の旅行者だと、数日かけて一気に踏破、という健脚も多いと聞く。京都市内や大原、鞍馬などに宿をとって、旅をしながらトレイル完歩、というのも楽しそうだ。ただ、天候にも左右されるので予定には余裕を持って。同じく、この機にルート上の神社仏閣を見学したい、という人も時間の余裕を持ちたい。ガイドマップに記載されている所要時間には、見学時間は含まれていない。

賀茂なすとちりめんご飯

鞍馬寺の門前町や嵐山などで、ご当地グルメをテイクアウトするのも楽しみのひとつだった。写真は大原の里の駅で買った賀茂なすとちりめんご飯

玉体杉

「御神木」とされる巨樹にもたびたび出合う。これは比叡山中にある玉体杉。豪快な枝ぶりにひきつけられる

「今年は何もできなかったね」という声を周囲でよく聞く。そんな中、「今年は京都一周トレイルを74キロ歩きました」と言えるのは、なんの役にも立たない行為ではあるが、ちょっとうれしかったりする(仕事はヒマだしカメラを買ったので歩き始めただけだが)。

まだ当分、旅に出ることもままならない厳しい状況が続くなか、体を使ってなにかをやりきるのはそれだけで心に効く。京都一周トレイルを歩いていちばんよかったのは、その点かもしれない。

清滝川

紅葉や桜の時期に再び訪れたい、清滝川の渓谷

山道

道標や道の整備ができる限りの範囲でなされており、黄色い目印に何度も助けられた

■京都一周トレイルWebサイト
https://ja.kyoto.travel/tourism/article/trail/

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BOOK

どこ歩く? 何持って行く? 楽しむコツを紹介 「京都一周トレイル」で冒険旅#7

京都で町家旅館はじめました(双葉社)

京都に開業した町家旅館のマネジャーをつとめることになった著者が、開業準備から実際の運営に至るまでのドタバタとドキドキ、そして京都のお気に入りスポットなどを綴(つづ)ったエッセーガイド。1540円(税込み)。

 

どこ歩く? 何持って行く? 楽しむコツを紹介 「京都一周トレイル」で冒険旅#7

旅の賢人たちがつくった
女子ひとり海外旅行最強ナビ(辰巳出版)

連載「ちょっと冒険ひとり旅」著者の山田静さんが、海外ひとり旅に行きたいすべての人にお届けする、旅のノウハウをぎゅっと詰め込んだ1冊。行き先の選びかた、航空券やホテルをお得に効率よく予約する方法、荷物選びと荷造りのコツ、現地での歩きかたのツボ、モデルルート、遭遇しがちなトラブルとその回避法など、準備から帰国までまるっとカバーしました。旅の達人によるコラム記事やアンケートも満載で、ひとり旅の準備はまずこの1冊から。1650円(税込み)。

PROFILE

山田静

女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『旅の賢人たちがつくった ヨーロッパ旅行最強ナビ』『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)、『決定版女ひとり旅読本』(双葉社)など企画編集多数。最新刊『旅の賢人たちがつくった スペイン旅行最強ナビ』(辰巳出版)。2016年6月中旬、京都に開業した小さな旅館「京町家 楽遊」の運営も担当。

嵐山を歩く西山コースで総仕上げ 「京都一周トレイル」で冒険旅#6

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まずは未完のサグラダ・ファミリアから ガウディ建築巡り#1

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