あの街の素顔

富士山麓で愛犬とグランピング 御殿場で「犬旅」スポットを満喫

ペットは人間のストレスを和らげてくれる素晴らしい存在だ。近年は、ペットがいると飼い主が旅行できないといった意識が変わりつつあるという。ペット同伴の旅行需要も増大し、ペットツーリズムという言葉も生まれている。これまで以上に「愛犬と一緒に旅がしたい、愛犬を外で思いっきり走らせたい」と考える人も少なくないだろう。静岡県御殿場市の富士山麓(さんろく)に、密を避け非日常のひとときを過ごすことができる「グランピング」を、ペットと一緒に楽しめる施設があるというので、トイプードルの「ブーケ」とその飼い主とともにさっそく体験してきた。

(文・写真:鈴木博美、トップ写真はトイプードルの「ブーケ」と飼い主のちほさん)

犬旅のススメと留意点

犬にとって、一日の中で最も楽しみなことの一つが散歩だろう。普段家の周りを散歩しているとはいえ、犬だってたまには刺激が欲しいだろう。旅に行けば、見るもの触れるもの、においなど、すべてが新鮮だ。近年は犬と泊まれ満足度の高い宿泊施設も増えている。同時に外泊に慣れていない愛犬の、旅行中のストレスを軽減してあげることも忘れてはいけない。

犬旅で気をつけておきたいこと

・環境の変化が逆に愛犬のストレスになってしまうこともあるので、お気に入りのおもちゃやおやつ、普段使うペットシートなどを持参する。犬用オムツなどを用意して、粗相にも備えておきたい。
・旅行が決まったら事前にキャリーケース、乗り物に慣れさせておく。
・ワクチンや予防接種が済んでいることを、宿泊の条件としているところがほとんど。施設によっては証明書の提示が求められることがある。フィラリアやノミ・ダニ予防も忘れずに。
・出かける数日前には、シャンプーやノミ・ダニ駆除用の薬の服用を済ませておく。

犬旅持ち物チェックリスト

・狂犬病やワクチンの予防接種証明書、 ケージまたはキャリーケース、 リード、 首輪・ハーネス、迷子札、おもちゃ、食べ慣れているドッグフード・おやつ、飲み水、食器、汚物袋、ペットシーツ、ペット用オムツ、汚れてもいいタオル、ウェットティッシュ、普段飲んでいる薬(車酔いする犬は動物病院で酔い止めをもらっておくといい)。

富士山麓、「藤乃煌 富士御殿場」で愛犬と過ごす休日

送迎車

新型コロナウイルス感染症が流行する中、旅の新トレンドとなり、人気が高まっているのが「グランピング」というスタイル。自然のなかにある大型テントまたは専用宿泊棟に、リゾート施設のようなアメニティーが備えられ、アクティビティーもある。キャンプ用品や経験がなくとも食事付きで全てがそろっているので心配はいらない。

富士山を真正面に見る「藤乃煌(ふじのきらめき) 富士御殿場」は、御殿場市の中心地から車で10分ほどの富士山のふもとでグランピングが楽しめるリゾート施設。敷地内には「藤乃スイート」をはじめ、キャビンと呼ばれる19棟が点在する。キャンプの楽しさとホテルに滞在しているかのような快適さの両方を味わうことが出来る新しいスタイルが人気を集めている。また近年、日本でも増えつつあるペットの同伴が可能なリゾートでもある。

そんな「藤乃煌 富士御殿場」では、レトロで可愛いフォルクスワーゲンが、御殿場駅または御殿場プレミアム・アウトレット、東名御殿場ICバス停まで宿泊ゲストを迎えに来てくれるので、公共交通機関を利用して訪れるのも容易だ。リゾート到着後はフロントスタッフとともに、そのままキャビンへ。チェックインの手続きはキャビン内で行われるので煩わしい待ち時間なし、三密もなし。

愛犬とくつろげるキャビン

キャビン

敷地に点在する独立型のキャビンは、重厚感のあるコンテナハウスと開閉式屋根のウッドデッキを組み合わせたおしゃれな外観。デッキの正面には富士山がそびえ、ハンモックやファイヤープレイス、ジェットバスを楽しみながらアウトドア気分を存分に楽しめる環境が整っている。 ベッドルーム、ダイニングルームからも晴れていれば富士山を眺めることができる。

犬と飼い主

犬

ドッグスイートキャビンは、ドッグラン付きのペット同伴者専用のキャビン。「藤乃煌 富士御殿場」では幾つかのカテゴリーに分かれたキャビンがあるが、基本、どのタイプでもペット連れで宿泊することが出来る。ただしベッドルームを含めキャビン内で愛犬と一緒に過ごせるのは、ドッグスイートキャビンと限られたドックキャビンだけ。このキャビンでは、「遊ぶ、食べる、寝る」のどの瞬間も愛犬とずっと一緒にいられる理想の幸せを実現してくれる。ケージ、トイレシート、散歩用トイレバッグ、コロコロカーペットクリーナー、新聞紙、フード&水飲みボウル、ふきん、ペット用消臭剤、汚物袋も備わっているので、必要なのは愛犬のフードのみというのもありがたい。

ドッグランで夕食前の運動!

ドッグラン

走るのが大好きなブーケ。広々としたキャビン専用ドッグランを縦横無尽に駆けまわる。リードなしの全力疾走がよほど楽しいようだ。フェンス越しに眺めていた女の子をドッグランに招いて一緒にお遊びも。初めての人との触れ合いは良い刺激になっているようだ。

室内

自然の起伏を生かした敷地内には、遊具を設置したプレイエリアや大型犬も走り回れる広大なドッグランもある。また、北欧のアウトドアメーカー「Nordisk」のコットンテントがライブラリーやリラックススペースとして開放され、ゲストは自由に利用できる。

ビバレッジステーション

ビバレッジステーションでは、クラフトビールやワインなどのアルコール類やソフトドリンク、スナックを提供。電話をすればキャビンまでデリバリーもしてくれる。ビバレッジステーション前にある丸太の椅子に腰掛けてホットワインをすすりながらたき火にあたれば、アウトドア気分も一層盛り上がるだろう。

たき火を囲んでワイルドディナー

ディナー

たき火

ディナーはデッキ備え付けの大型オーブングリルで焼く野趣あふれるBBQ。グランピングならではのぜいたくな時間だ。総重量が2キロ近いダイナミックなトマホークステーキにマグロとカジキのステーキ、キャンプ飯を盛り上げるスキレットのグラタンやダッチオーブンに入ったカニのだしたっぷりのスープ。デザートはアウトドアらしくたき火で少し焦がしたマシュマロをチョコレートとクラッカーで挟んだ「スモア」。夕方からゆっくり楽しみながら食べ始め、気がつけば夜の10時。たき火を囲む非日常が何とも心地よい。時折、薪がパチパチと音をたて、炎のぬくもりがじんわりと伝わる。薪がなくなれば1セット1,000円で追加できる。

いつもよりちょっと早起きして愛犬と散歩

犬

富士山

寝ぼけ眼のブーケを起こして朝の散歩へ出かける。外に出ると昨日は隠れていた富士山がドーンと丸見え。あまりの大きさに思わず声を上げてしまった。左右対称に山裾が広がる美しい姿、あらためてその雄大さに感動。

すがすがしい朝の風景とともに自ら仕上げる朝食でパワーチャージ

朝食

朝食はキャンプ気分でシングルバーナーでホットサンド作り。これはホテルステイにはないユニークな体験だ。自分で作ったアツアツのホットサンドもまた格別。サイドディッシュは季節によって変わるが、サラダ、フレッシュフルーツ、ゆで卵、ヨーグルト、アップルジュース、コーヒーだった。

愛犬と一緒にクラフト体験

飼い主と犬

ウクレレ

チェックアウトまでの間にウクレレ工作体験。マスキングテープでデコレーションして自分だけのオリジナル・ウクレレを作ってみる。説明書にチューニング方法の記載もあるので、完成したらデッキのハンモックに揺られながら音を奏でてみる。うまくは弾けないけれどリゾート気分を満喫。ウクレレ作りに夢中になっている間に、あっという間にチェックアウトの時間となってしまった。アウトドア体験は夏が定番だが、たき火や澄みきった空を満喫できる冬もかなりおすすめだ。

藤乃煌 富士御殿場
https://www.fu-ji-no.jp
住所:静岡県御殿場市東田中3373-25
電話:050-3504-9933(9:00~19:00)
犬同伴:7㎏未満:2,000円、7㎏以上:4,000円
ペットポリシー詳細
https://www.fu-ji-no.jp/kirameki/images/p_poricy20200521.pdf

ペットと同伴ができる御殿場かいわいの見どころを散策

屋外

「藤乃煌 富士御殿場」がある御殿場はドッグフレンドリーなショップやカフェ、レストランが多く点在している。愛犬との旅行プランを立てるのも楽しみになる犬に優しい街だ。とはいえ、誰もが快適に過ごすためには最低限のマナーは必須。愛犬との楽しい思い出づくりのためにも、周囲への十分な気配りは忘れずに。

愛犬と一緒に上質なイタリアンを「リストランテ 桜鏡」

飼い主と犬

日当たりの良いテラス席は晴れの日は冬でもポカポカ。富士山を眺めながら食事を楽しめる

グランピング施設「藤乃煌 富士御殿場」をチェックアウトしたら訪れたいのが、隣接するレストラン「桜鏡(さくらかがみ)」。広大な敷地の四季折々の自然を感じながら、愛犬と共にテラスで落ち着いて食事を楽しめる。滋味豊かな静岡産の旬の食材でもてなす本格イタリアンを、穏やかな景色と共にいただくランチは何ともぜいたくな気分。広大なガーデンスペースは、食後の散歩にもぴったり。上質なひと時は、旅のアクセントになるに違いない。

リストランテ 桜鏡
住所:静岡県御殿場市東田中3373-20
電話: 0550-70-6255
予約専用電話:050-5232-2255
営業時間:ランチ11:00~14:00(最終入店)、ディナー17:00~19:30(最終入店)、水曜日、火曜日はディナーは休み。
予約制、メニューはコースのみ。ペット同伴はテラス席の利用。
https://sakurakagami.com

愛犬とショッピング「御殿場プレミアム・アウトレット」

御殿場プレミアム・アウトレット

プレミアム・アウトレットの旗艦店として、約290ものショップ数を誇る日本国内最大のアウトレットセンター「御殿場プレミアム・アウトレット」。店舗内を除く施設内をペット同伴で訪れることができるため、地元をはじめたくさんの人が愛犬を連れて訪れている。広大な敷地内は、ウェストゾーンとイーストゾーン、ヒルサイドの3エリアがあり、晴れた日には青空と富士山の壮大な眺めを楽しめるのも魅力だ。

飼い主と犬

2020年6月に誕生したヒルサイドエリア。洗練された装いで買い物・食事・遊びがさらに充実。ストリートに設置されたテーブルはショッピングの合間の休憩にぴったり

御殿場プレミアム・アウトレットの楽しみのひとつが充実のグルメ。しかし、残念ながら店内のペット同伴は不可。そこで、ペット同伴で訪れたときの食事に重宝するのがイーストゾーンにあるフードコート「フードバザー」の開放感のある広いテラス席。スイーツから食事まで幅広いメニューからお好みのものを選べるのもうれしい。

御殿場プレミアム・アウトレット
https://www.premiumoutlets.co.jp/gotemba/
住所:静岡県御殿場市深沢1312
営業時間:12月~2月10:00~19:00 3月~11月10:00~20:00 ※季節によって変動あり
ペット同伴に関する案内
https://www.premiumoutlets.co.jp/pet/

愛犬とペアルックコーデを楽しもう「DOG DEPT GARDEN 御殿場店」

ペアルック

店内はドッグ雑貨やアパレル、ペアルックコーデが満載。デザインや肌触り、着心地の良さにも定評がある

クリスマスワンプレート

見た目も可愛い季節限定のクリスマスワンプレート。ヤギミルクのシチューとラム肉、バナナブレッドなど素材に気を配った犬用メニュー

御殿場プレミアム・アウトレットのすぐ近くにあるのが、愛犬家には知られた存在の「DOG DEPT」。アメリカ西海岸・サンタモニカ生まれのカジュアルウェア、ドッグウェアやグッズをはじめ、ドッグカフェなど人と犬のライフスタイルを提案する。小型犬から大型犬までドッグウェアを数多く取りそろえ、愛犬とペアルックのコーデも楽しめる。カフェでは人間用のメニューはもちろん、ハンバーグやスコーン、ミートローフ他、季節に合わせた犬用のメニューも充実。「犬心」そそるドッグメニューにブーケのテンションもマックス!

DOG DEPT GARDEN 御殿場店
住所:静岡県御殿場市東山777-1
電話:0550-70-6611
営業時間:11:00~18:00 木曜定休日
ドッグラン¥1,000(+税)/1頭
https://www.dogdept.com/dogrun/gotenba.html

極上パンケーキが食べられる「ティーグルブラン」

料理

料理

ペットフレンドリーなカフェとして、そして絶品パンケーキが食べられるとして地元でも人気の「ティーグルブラン」。材料にこだわり、注文を受けてから粉をブレンドして生地を作るという。1枚1枚じっくりと時間をかけて焼き上げたふわふわでもっちりのパンケーキは、デザート系でもお食事系でも満足度の高い一品。一杯ずつ丁寧にいれるコーヒーも美味。テラス席はペット同伴可。犬用の水入れも用意してくれる優しいカフェだ。

TIGRE BLANC(ティーグルブラン)
住所:静岡県御殿場市東田中 1500-15
電話:0550-70-6666
営業時間:8:00〜18:00(L.O17:00)
https://s-tigreblanc.com

地元の銘菓「金時力まんじゅう」をお土産に

金時力まんじゅう

店内ではお土産販売の他に、できたての金時力まんじゅうや周辺の名物、工芸品の販売を行っている

東山製菓の「金時力まんじゅう」。1977年に内閣総理大臣賞を受賞し、お土産として愛され続けているのが、金時山の金太郎にちなんで作られたもち入りのおまんじゅう。黒みつ入りの皮に十勝産のあずきを使った自家製のつぶあん、中心にはおもちが入っている。 甘さ控えめで皮とあんのバランスが絶妙な上品な味わいは、一度食べたらまた食べたくなる飽きのこないおいしさ。ふっくら「むしまん」、カリッとした食感で黒糖風味の「あげまん」の2種類ある。

金時力まんじゅう 東山製菓
住所:静岡県御殿場市二の岡1丁目24-5
電話:0550-83-0881
営業時間:10:00~16:00 火曜・水曜定休日
http://kintokimanjyu.co.jp

買い物も軽食も楽しめる「鈴廣かまぼこ 御殿場店」

店内

イートインコーナーで注文して店内、テラスで食べることができる。レンコンやジャガイモが入ったプリプリ食感のあげかまは食べごたえが十分ある人気商品

料理

創業150年以上。小田原に本店を構える老舗のかまぼこ店「鈴廣」。広い店内には各種かまぼこをはじめ、季節限定品、干物、珍味など幅広い商品を取りそろえている。イートインコーナーでは、できたてアツアツのあげかまをその場で食べることもでき、「箱根百年水」を使用したこまやかで芳醇(ほうじゅん)な味わいのビールも提供している。テラス席はペット同伴可。敷地内の芝生で散歩もできる。

鈴廣かまぼこ 御殿場店
住所:静岡県御殿場市東山1074-12
電話:0550-81-4147
営業時間:9:00~17:00(土・日・祭:9:00~18:00)
https://www.kamaboko.com/shop/gotenba/

今回の旅犬「ブーケ」 トイプードル5歳・メス

 

トイプードル

引き取った当初のブーケ。どこかうつろな表情

2020年5月、5歳で非営利動物保護団体から譲り受けたブーケ。飼い主のちほさんは、「ブーケは、家に来た当初はうつろな目をして何にも興味がなく、おもちゃでも遊ばない。ご飯もほとんど食べずトイレもギリギリまで我慢しておむつにする。そんな状態でした」と話す。しかしリモートワークのおかげで一日のほとんどを一緒に過ごしているうちに、食欲も増し、トイレもできるようになり、お散歩も大好きになったという。

「生きる喜びを覚えたように、表情が明るく目に輝きが戻ってきました。今では別の子じゃないかっていうくらい活発で遊ぶのが大好き。お互いに学んで成長しています」

新型コロナウイルスによる巣ごもり生活などで、癒やしを求めて「里親になりたい」という申し込みが増加していると聞く。その一方で、無計画に里親となり、結果、捨てられているケースも少なくない。飼育放棄された犬は行政の施設に収容されても、引き取り先がないと判断されれば殺処分の対象になることもある。家族として迎えた命。「どんな理由があろうとも手放してはいけない」という覚悟がいる。メリット、デメリットを知った上で賢明な判断が必要だ。

取材協力:
・静岡ツーリズムビューロー(TSJ) https://exploreshizuoka.com/
・御殿場市 https://gotembatourism.jp/

※「犬旅しずおか」Facebookで県内の他の犬旅も紹介中。https://www.facebook.com/inutabishizuoka

PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、江澤香織、高松平藏、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希

  • 鈴木博美

    旅行業界で15年間の勤務を経てフリーの旅行家に。旅を通じて食や文化、風土を執筆。日本航空機内誌のほか、新聞雑誌等に海外各地の旅の記事を寄稿。著書に一人旅に役立つ電子書籍「OL一人旅レシピ」インド編、カンボジア・ベトナム編、エジプト編、世界中のおいしい料理をおうちで作る「いつもの食材で作る世界の料理レシピ」。ブログ「空想地球旅行」で旅のあれこれを発信中。

ネタでシャリが見えない寿司! 海の幸と城下町風情 大分県佐伯市

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