青の洞窟は青、青、青の世界 クロアチアの旅(7) ビシェヴォ島
文: 相原恭子(文・写真)

ツアーの行き先としてはメジャーでないけれど足を運べばとりこになる街を、ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが訪ねる「魅せられて 必見のヨーロッパ」。2018年秋に訪れたクロアチアの旅、今回はビシェヴォ島の「青の洞窟」訪問記です。まさに、目の覚めるような青さでした。
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ヴィス島からボートタクシーでビシェヴォ島へ
前回紹介したヴィス島のコミジャから、絶景と言われるビシェヴォ島の「青の洞窟」を訪ねます。コミジャ発着のツアーに参加しました。

この城塞の先にある桟橋から、乗り合いのタクシーボートに乗ります
桟橋で待っていると、ボートで釣りをする人が。

(左)地元の人が釣りをしています、(右)釣れたのは大きなウナギのような魚です
仕事の前に時々釣りをするそうで、うらやましいライフスタイルです。

すぐにタクシーボートに乗り込んで出発
ビシェヴォ島は、コミジャから8キロ余りのところにあります。青い海がどこまでも続きます。
沖合は波が高くて、ボートが上下に大揺れしてジェットコースターのようです。皆が歓声を上げると、運転手さんがわざと、さらに揺れるように運転します。
私も楽しくて、爽快感を味わっていましたが、「アッ、カメラに波がかからないようにしないと!」と我に返り、慌ててカメラとカメラバッグをウィンドブレーカーで覆いました。
「青の洞窟」に到着

大きな岩が見えてきました
「青の洞窟」に着きました。この岩の穴へ入ると言われて、「えっ、こんな小さな穴から?」と、びっくり。一瞬不安になりました。

この穴へタクシーボートが入ります
運転手さんが「伏せてください」と言うので、皆が背をかがめました。ちょっと閉所恐怖症の私はかなり緊張気味でしたが、無事に中へ入れました。
ただひたすらに、青の世界に酔う

洞窟の中は、まさに青の世界!
目を疑うほどの色彩。コバルトブルーのグラデーションがあまりに美しくて、「アッ!」と全員が声をあげて、息を飲みました。

周囲の岩にまで青が映るかのようです

揺れながら光り、色調を変える青い海面

謎めいて、神秘的でさえあります
コミジャ観光局のパンフレットによれば、この洞窟は1884年、オーストリアの外交官で画家や探検家でもあったオイゲン・フォン・ランゾネット=フィレッツ(1838~1926)が広く紹介し、以来、一般にも公開されています。
潮の干満にもよりますが、この穴は高さ約1.5m、幅2.5mだそうです。

出口が見えます
小さな穴の奥の洞窟の中は、別世界でした。名残惜しいです。
外へ出てみると、洞窟の中にいた時間は長い時間にも、また、一瞬にも思えました。
確認すると、洞窟の中にいたのはたった10分間。これほど濃密な10分間は、なかなか体験できません。

青の洞窟近くの小さな湾で、タクシーボートを降りました

湾内の様子
洞窟に近い小さな湾でタクシーボートを降りました。吸い込まれそうに透明な海です。

周囲の風景
どこもかしこも、絶景です。

タクシーボートを操縦してくれた方々
何と、半分閉まったような桟橋の小屋でビールを売っていました!
青の洞窟の息をのむ美しさに、のどが渇いて、一気にビールを飲みました。「あぁおいしい」

(左)クロアチアのビール「カルロヴァチュコ」、(右)帰りのタクシーボート
帰りは、皆が口数少なく静かにコミジャへ帰還。青の洞窟の迫力の余韻に酔っていました。
イタリアのカプリ島にある著名な「青の洞窟」へも行ったことがあるのですが、天候のせいか、ビシェヴォ島の洞窟のほうがより迫力を感じました。
私のクロアチアの旅は、この後、沿岸地方を離れて内陸部へ向かいます。
■クロアチア・ハートフルセンター
https://croatia.heteml.jp/chc/
■Croatian National Tourist Board
https://croatia.hr/en-GB