エメラルド色した「水の王国」 クロアチアの旅 (8) プリトヴィツェ湖群国立公園
文: 相原恭子(文・写真)

ツアーの行き先としてはメジャーでないけれど足を運べばとりこになる街を、ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが訪ねる「魅せられて 必見のヨーロッパ」。2018年秋に訪れたクロアチアの旅、今回は内陸部のプリトヴィツェ湖群国立公園です。湖と滝が織りなす壮大な景観で知られる世界遺産の地です。
青の洞窟は青、青、青の世界 クロアチアの旅(7) ビシェヴォ島から続く
小さな漁村で中世にタイムスリップ クロアチアの旅(6) ヴィス島・コミジャはこちら
世界遺産の宮殿で生活する人々 クロアチアの旅(5) スプリットはこちら
おいしい! 新鮮なスカンピ クロアチアの旅(4) オパティヤからシベニクへはこちら
可愛い! 「世界でもっとも小さい」町 クロアチアの旅 (3) フムはこちら
ローマ帝国の巨大な円形闘技場が クロアチアの旅 (2) プーラはこちら
迷路のような路地と紺碧のアドリア海 クロアチアの旅 (1) ロヴィニはこちら
世界自然遺産にして、クロアチア最大の国立公園
今回は、沿岸地方を離れて内陸部へドライブ。ボスニア・ヘルツェゴビナとの国境に近いプリトヴィツェ湖群国立公園に到着しました。16の湖とそれらをつなぐ滝の景観で知られます。
世界自然遺産に登録されており、面積は約300平方キロメートルもあり、クロアチア最大の国立公園です。

(左)入口を入って少し歩いたところから望遠レンズで撮影、(右)細部を見たくて、さらにアップに。一枚の写真には収めきれない豊かで清い水の風景
自然が作るエメラルド色のグラデーションの美しさに見とれます。
トラバーチンが生み出した階段状の奇観

滝が流れ込む深く大きな滝つぼ
水しぶきが煙のように立ち昇る様子が、望遠レンズでよく見えます。国立公園の広さと美しさを実感。ダイナミックな風景です。
この絶景には、トラバーチンが大きな役割を果たしています。トラバーチンとは温泉や鉱泉などの地下水により形成された石灰岩です。水中の岩石にはりついて長い間に大きくなり、ダムのようなエメラルド色の湖や、いくつもの滝を形成しています。

立て札には、2~3時間から6~8時間の散策コースが示されています
私が到着したのは午後3時頃。8時間くらい水の世界に浸りたいところですが、10月で日も短くなっており、撮影の時間も計算に入れると今回は2~3時間コースしか回れません。
「また来よう」と思いながら、水の世界への散策路を歩き始めました。

下を見ると、木道を歩く人たちがいます

白い水しぶきとエメラルド色の水
高度差のある湖から湖へと、階段状に滝が流れ込む風景に魅了されます。
これもトラバーチンが自然に作った産物です。

数々の滝が湖へ流れ込んでいます
あたかも、水の王国のようです。

島が浮かぶ湖
一幅の絵画のような風景に、思わず立ち止まりました。

(左)木道の区間も、(右)水や木々、水辺の草を間近に見ながら木道を歩きます
心が癒やされます。

鏡のように澄みわたる湖
荒々しい滝があるかと思うと、静かな湖水に至り、水が姿を変えて魅力的に迫ってきます。

巨大な岩から降ってくるように水しぶきを上げる滝
水の音に癒やされます。残念ながら訪れた時間は日陰になりましたが、日が照っている時はさらにきれいなはず。

湖へ落ちる滝

森と湖水の美しい調和
プリトヴィツェ湖群は、1949年にクロアチアで最初の国立公園に指定され、1979年に世界自然遺産に登録されました。1400種を超える植物や約170種の鳥類などが生息する自然の宝庫でもあります。
豊かな自然に囲まれた神秘的な水の大国。次回はゆっくりと一日かけて絶景を楽しもうと思いながら、日暮れのプリトヴィツェ湖群国立公園をあとにしました。
■クロアチア・ハートフルセンター
https://croatia.heteml.jp/chc/
■Croatian National Tourist Board
https://croatia.hr/en-GB