ちょっと冒険ひとり旅

最高傑作と名高い教会と聖地モンセラットへ ガウディ建築巡り#4

そろそろ遠くに旅したい!とうずうずしている人も多いのでは。旅行ライターの山田静さんがちょっぴり冒険できる旅を紹介するシリーズ、2019年3月に訪れたバルセロナでのアントニ・ガウディの建築巡りを紹介しています。最終回は、ガウディ最高傑作との声も多いコロニア・グエルへ。

(トップ写真はコロニア・グエル教会)

※新型コロナウイルス感染防止のため、現在サグラダ・ファミリア聖堂をはじめ主要な見どころは閉鎖されています。

■何回目かのひとり旅、ちょっとだけ冒険してみたい。そんな旅人のヒントになりそうな旅先や旅のスタイルを紹介している連載「ちょっと冒険ひとり旅」。京都で旅館の運営をしながら、旅行ライターとしても活躍する山田静さんが、飛行機やバスを乗り継いで比較的簡単に行ける、旅しがいのあるスポットをご紹介していきます。バックナンバーはこちら

ガウディの最高傑作に出会う

ガウディざんまいの旅なら外せない場所がある。

バルセロナ市街から20キロほど離れたコロニア・グエルだ。ガウディの後援者エウセビ・グエルはここに自社の繊維工場を中心にした、住宅や商店、学校などを完備した工業住宅地をつくろうと計画した。

街に教会をつくってほしいとガウディが頼まれたのは1898年。そこからなんと10年間を彼は設計の原案となる「逆さづり模型」(第1回で紹介した、サグラダ・ファミリア聖堂の地下にある模型)の制作に費やした。1908年にようやく着工されたが、6年後ガウディはサグラダ・ファミリア聖堂の工事に専念するとして、教会は未完のまま放置されてしまった。そのころ完成していた半地下の講堂が現在まで教会として使われている。

カタルーニャ鉄道でバルセロナからコロニア・グエル駅までだいたい20分。下車して10分ほど歩くと、小さな建物が見えてくる。サグラダ・ファミリア聖堂からするとずいぶんちっぽけで平凡に見えるが、中に一歩入ると一気にガウディの脳内から生まれた怪しく美しい異世界に引き込まれる。のちにサグラダ・ファミリア聖堂などの設計に生かされた意匠も多く、ガウディのエッセンスが詰まった最高傑作と評する人も多いという。

外観

教会の外観。小さいし、なんだか地味な外観なのだが……

内部

入ってびっくり。ヤシの木のような、あるいは動物のあばら骨のような構造がバランスを保ちながら天井を支えている。重力とバランスを利用して強度を保つ「逆さづり模型」を現実に落とし込んだのがこの内部構造だ

内装

岩やれんがを使った内装は古代の世界を思わせる。そこかしこにあしらわれたアンモナイトや恐竜の爪のような造形も想像力をかきたてる

講堂

幻想的な明かりに彩られる講堂。椅子もガウディのデザイン

ステンドグラス

ガウディの盟友、ジュジョール作のステンドグラス。チョウの羽のように開くことができる。訪れたとき、館員が開いてみせてくれた

聖水盤

シャコ貝を使った聖水盤

ステンドグラス

外から見たステンドグラス。これを守る金網などは、工場から出たスクラップの再利用だとか

道

教会近くにはひと休みできる公園や、歴史をたどれる散策路もある。ガウディもこんな道で創作について考えたのだろうか

花

スペインの旅は、花できれいに飾られた家並みを眺めるのも楽しみのひとつ

聖地モンセラットへ!

ここまで来たら、せっかくなのでカタルーニャ鉄道でそのまま足を伸ばしてみよう。同じ路線を使ってアクセスできる、カタルーニャの聖地モンセラットだ。

行き方は2通り。①カタルーニャ鉄道のアエリ・デ・モンセラット駅で下車してロープウェーで上がる、または②同鉄道でモニストロル・デ・モンセラット駅で下車して登山電車で上がる。下車地と乗り物が違うだけで、所要時間は同じくらいだ。往路・復路ともに同じ行き方を選ぶと往復割引が受けられるが、いろいろな乗り物に乗りたいなら往路①で復路②、など、別々の方法を選ぶといいだろう。

ロープウェー

モンセラットに向かうロープウェー。岩壁の間を抜けて上がっていくその風景にもワクワクする

モンセラット

モンセラット。修道院に覆いかぶさるように奇岩が連なる風景に目を奪われる。ビジターセンターやレストラン、土産物屋もある一大観光地だ

到着すると、もこもことした形の奇岩群に押しつぶされそうな修道院のたたずまいにまず驚く。多くの人々がここを目指すのは、願いをかなえてくれるという「黒いマリア」に祈りを捧げるためだ。その昔、羊飼いが発見したというこの聖像はカタルーニャ人によって大事に守られ、今も人々の信仰を集めている。1日に1度ミサで披露される少年合唱隊の歌や、周辺のハイキングも楽しめ、バルセロナからの1日トリップとして人気を集めている。

聖堂内

長蛇の列になる黒いマリア像参拝をすませたら、聖堂内部をゆっくり見学しよう。重厚な内装がみごと

ランプ

聖堂にかけられた豪華なランプは、信徒たちから奉納されたものだという

献灯場

通路には、岩をくりぬいてつくった献灯場がある。ロウソクは2ユーロからとお手頃なので、旅のお礼に捧げてみてもよいかも

パティオ

聖堂前のパティオ。この真ん中にあるモザイクの中心はパワースポットと言われていて、立ってポーズをとったり写真を撮ったりする人が順番待ちの列をなしている

屋台

駅から修道院に向かう参道には、屋台も並ぶ。ジュース、お菓子、はちみつ、チーズ、工芸品など種類もいろいろで、お土産やおやつを買うのにいい

奇岩

周辺にはハイキングルートもあって、奇岩群を眺めつつ散策することもできる

サン・ジュアン祈祷(きとう)庵

修道院の近くにケーブルカーの駅があり、展望台があるサン・ジュアンや黒いマリア像が発見された洞窟、サンタ・コバへ行ける。写真は隠修士が住んでいたというサン・ジュアン祈祷(きとう)庵

少年合唱隊の歌は曜日によって違うがお昼ごろなので、先にモンセラットに行き、復路にコロニア・グエルに立ち寄るのがおすすめ。モンセラットは見るものが多く、けっこう駆け足になるので、教会の休館日や閉館時間をチェックして、観光のペース配分に注意しつつ楽しもう。モンセラットのハイキングルートや見どころを細かく回ろうと思うと時間が足りなくなるので、モンセラットで1泊してゆったり過ごすというチョイスもありだろう。

駅

カタルーニャ鉄道の駅。バルセロナは見どころが多いのでつい焦ってしまいがちだが、のんびり電車を乗り継いで郊外に出かけると、ゆったりした時間が楽しめておすすめだ

※新型コロナウイルス感染防止のため、現在サグラダ・ファミリア聖堂をはじめ主要な見どころは閉鎖されています。

■コロニア・グエル
http://gaudicoloniaguell.org

■モンセラット
https://www.montserratvisita.com/en/index.html

>>連載一覧へ

BOOK

最高傑作と名高い教会と聖地モンセラットへ ガウディ建築巡り#4

京都で町家旅館はじめました(双葉社)

京都に開業した町家旅館のマネジャーをつとめることになった著者が、開業準備から実際の運営に至るまでのドタバタとドキドキ、そして京都のお気に入りスポットなどを綴(つづ)ったエッセーガイド。1540円(税込み)。

 

最高傑作と名高い教会と聖地モンセラットへ ガウディ建築巡り#4

旅の賢人たちがつくった
スペイン旅行最強ナビ(辰巳出版)

連載「ちょっと冒険ひとり旅」著者の山田静さんが中心となり、スペイン旅行のノウハウを解説した1冊。バルセロナ、マドリード、アンダルシア地方、バスク地方など、スペインの魅力的な場所を網羅。行き先選びから日程作り、航空券やホテル、トラブル対策までスペイン旅行の準備から帰国までを完全カバー。1650円(税込み)。

PROFILE

山田静

女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『旅の賢人たちがつくった ヨーロッパ旅行最強ナビ』『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)、『決定版女ひとり旅読本』(双葉社)など企画編集多数。最新刊『旅の賢人たちがつくった スペイン旅行最強ナビ』(辰巳出版)。2016年6月中旬、京都に開業した小さな旅館「京町家 楽遊」の運営も担当。

ニュータウンの夢が詰まった公園へ ガウディ建築巡り#3

一覧へ戻る

セビリアの居心地のよさは大航海時代のおかげ? 魅惑のアンダルシア#1

RECOMMENDおすすめの記事