楽しいひとり温泉

温泉+とろとろ 硫黄香る個性派うなぎ湯に浸る 鳴子「ゆさや旅館」

宮城・鳴子温泉郷は、温泉のデパートと称されるほど個性の異なる温泉の宝庫。多くの宿が敷地内に自家源泉を持っていて、源泉の数はおよそ370本。温泉成分の組み合わせも多彩で、色、香り、感触など、お隣同士の宿でも個性が異なるのが楽しみです。ゆさや旅館は、元祖うなぎ湯の宿、江戸時代から知られていたアルカリ性の硫黄泉で、とろとろの感触が特徴です。別の源泉の貸し切り露天風呂や、千年の歴史ある共同湯と、滞在中に三つの源泉の入り比べが楽しめます。(トップ写真:宿の敷地の山にある貸し切り露天風呂)

■連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

創業以来約380年の旅情あふれる湯宿

国の登録有形文化財のゆさや旅館

国の登録有形文化財のゆさや旅館

ゆさや旅館は創業以来約380年、鳴子温泉の御神湯の湯守を伊達藩から言いつかった3軒の宿のひとつです。訪れたのは2020年10月、鳴子峡の紅葉が始まった頃のことです。旅籠(はたご)と書かれた提灯(ちょうちん)がゆれる玄関を入ると、17代目のご主人・遊佐勘左衛門さんが笑顔で迎えてくれました。

雰囲気あるロビーにモダンな音楽が流れている

雰囲気あるロビーにモダンな音楽が流れている

木造2階建ての宿は国の登録有形文化財で、雰囲気のある館内に入ると、ふわっと硫黄の温泉の香りが漂います。

温泉に入って畳でごろ寝が至福

温泉に入って畳でごろ寝が至福

部屋は2階の和室。さっそく浴衣に着替えたら、帰る瞬間まで、ずーっと浴衣。温泉に入って、畳でごろ寝。そして、また、温泉。これぞ、正統派鳴子温泉の楽しみ方なのです。

色は「千変万化」なめらか「うなぎ湯」は「天然の美容液」

日によって色が変わるうなぎ湯の内湯

日によって色が変わるうなぎ湯の内湯

館内の内湯は、名物のうなぎ湯。日によって色が変化する神秘の温泉です。この日は奥の大きな湯船が緑のにごり湯、手前の湯船は透明感のあるエメラルドグリーンでしたが、白濁や墨色になることもあるそうです。桶(おけ)にくんでかけ湯をしただけで、すぐにとろとろ。温泉につかると、とろんとろんすぎて、まっすぐに座っているのが大変なほど。なんだか、うれしくなって笑ってしまいます。

大きな湯船は源泉たっぷりかけ流しでちょっと熱め。温泉の注ぎ方を工夫して、五角形の湯船は、人肌よりちょっと温かいくらいのぬる湯になっています。とろとろでぬるめ。これが、たまらない。まるで宇宙を浮遊するかのごとく、ぼーっと身をゆだねます。泉質は、含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉。pH7.9の弱アルカリ性。硫黄で血行促進して肌代謝をサポートし、硫酸塩で保湿、炭酸水素塩で古い角質を落としてなめらかな肌に整え、塩のベールでしっとり包む。美人泉質オンパレードのマルチ美肌の湯、地球がくれた美容液のような温泉なのです。

夕暮れの貸し切り露天風呂、ふんわり優しい硫黄の香り

自然に囲まれた貸し切り露天風呂

自然に囲まれた貸し切り露天風呂

向かいの坂道を上り、宿の敷地の愛宕山にある貸し切り露天風呂「茜(あかね)の湯」へ。チェックインの時に時間の予約をして30分無料で入れます。

【動画】夕暮れが近づき、秋の虫が鳴いていた

秋の夕暮れ。聞こえるのは湯の流れる音と虫の声だけ。自然に囲まれた露天風呂をひとり占めして、心と体の休息です。こちらは、館内とは別の源泉を使っていて、含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉。pH7.4の中性で、やわらかな感触の癒やし系。ふんわり優しい硫黄の香りにつつまれて至福のひと時です。               

色彩豊かなお料理を部屋食で

お造りも彩り豊かで美しい

お造りも彩り豊かで美しい

ひとつひとつのお料理が、ていねいに作られていて美しい。お造りは、ホッキ貝、スズキ、マグロ、宮城産銀サケ。これはやっぱり、日本酒ですね。

料理長オリジナルソースが絶品のバーニャカウダ

料理長オリジナルソースが絶品のバーニャカウダ

宿の名物はバーニャカウダ。ワイン好きのご主人らしい一皿です。料理長入魂のソースが絶品。様々な野菜の味わいを引き立てる深みのあるおいしさ。ソースには、アンチョビ、オリーブオイル、ニンニク、玉ねぎ、じゃがいも、そして生クリームを少し加えているそうです。

仙台黒毛和牛のしゃぶしゃぶでほっこり温まる

仙台黒毛和牛のしゃぶしゃぶでほっこり温まる

メイン料理は6~7種類から予約時に選びます。悩みに悩んで、仙台黒毛和牛しゃぶしゃぶにしました。他に、仙台黒毛和牛ステーキ、豆乳野菜しゃぶしゃぶなども魅力的。春はせり鍋も登場します。しめのお食事は、栗ごはん、デザートは地場産のブルーベリーのシャーベット。大満足の夕食でした。

朝は千年超の歴史ある共同湯、宿のすぐそばに違う泉質の湯

朝一番の共同湯で気合を入れる

朝一番の共同湯で気合を入れる

宿のお隣が共同湯「滝の湯」。千年超の歴史をもつ御神湯で、温泉神社の参道の入り口にあります。地元のみなさんが滝の湯保存会をつくって大切に管理していて、毎朝、入れたての新鮮な湯を楽しむことができます。ゆさや旅館に宿泊すると、こちらも無料。泉質は、酸性-含硫黄-ナトリウム・アルミニウム・カルシウム・鉄(Ⅱ)-硫酸塩泉。pH2.8酸性。総ヒバ造りの湯船に迫力のある樋(とい)から、豪快に注がれる源泉。きりりとした熱めの湯で、細胞のすみずみまで目覚めていくような感じ。酸性の温泉は殺菌作用が期待でき、程よい刺激で、肌と体に元気をチャージします。宿の源泉と滝の湯の源泉は数メートルしか離れていないのに、まったく異なる温泉が湧いているとは、地球から湧く温泉の力に感動します。

野菜、山菜もたっぷりの朝ごはん

野菜、山菜もたっぷりの朝ごはん

パワフルな朝湯でおなかがペコペコです。朝ごはんも色彩がきれい。地元の野菜や山菜もたっぷりで、大きなおわんにたっぷりきのこのみそ汁がおいしくて体に染み渡ります。

鳴子温泉 元祖うなぎ湯の宿 ゆさや旅館
https://www.yusaya.co.jp/

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.とろとろのうなぎ湯
2.夕暮れの露天風呂をひとり占め
3.3つの異なる源泉を入り比べ

BOOK

温泉+とろとろ 硫黄香る個性派うなぎ湯に浸る 鳴子「ゆさや旅館」

全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!

石井宏子さんの著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)。温泉ビューティー研究家・旅行作家ならではの、旅してみつけた、女性がひとりで安心して楽しめる温泉宿を紹介するハンディーな一冊。公共交通機関で行ける、自分へのごほうびで泊まりたい、いい宿を全国から厳選し、あわせて、女性目線で選んだ周辺の立ち寄り先、ランチやスイーツも取り上げます。ひとりでも楽しい観光列車も登場します。税別1400円。

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)などのほか、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月に発売された。

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