ちょっと冒険ひとり旅

セビリアの居心地のよさは大航海時代のおかげ? 魅惑のアンダルシア#1

そろそろ遠くに旅したい!とうずうずしている人も多いのでは。旅行ライターの山田静さんがちょっぴり冒険できる旅を紹介するシリーズ。前回のバルセロナに続き、再び2019年3月のスペインの旅を紹介。誰もがイメージするスペインがぎゅっと詰まった魅惑のアンダルシアを歩きます。

(トップ写真はメトロポール・パラソルから望むセビリアの夕景)

■何回目かのひとり旅、ちょっとだけ冒険してみたい。そんな旅人のヒントになりそうな旅先や旅のスタイルを紹介している連載「ちょっと冒険ひとり旅」。京都で旅館の運営をしながら、旅行ライターとしても活躍する山田静さんが、飛行機やバスを乗り継いで比較的簡単に行ける、旅しがいのあるスポットをご紹介していきます。バックナンバーはこちら

旧市街を歩き大聖堂や宮殿へ

川が流れる街、川辺に人が集う街が好きだ。

スペインでもう一度どこに行きたいか、と聞かれたら迷わず「セビリア」と答える。

川

グアダルキビル川はアンダルシア最大の河川。ほとりには散策路や公園が点在し、遊覧ボートやボート競技の練習も見かける

人口70万人弱、アンダルシアの州都セビリアは大航海時代に貿易都市として栄華を極めた古都。オペラ「セビリアの理髪師」などでも有名だ。

街の中心を流れるのがグアダルキビル川で、東側に広がるのが旧市街。見どころの多くが集まる。西側には市街地が広がり、川沿いに小さなバルやオープンカフェ、レストランが並んで、夕方になるとギターの音色が聞こえたり、路上でダンサーが腕前を披露していたり。夕暮れの空に響くフラメンコギターの音色は、なんともロマンチックだ。

地図

宿でもらったセビリアの地図。川を挟んで東西に街が分かれる。スタッフが「1日で歩くとしたら、こうかな」と番号とマーカーでルートを組んでくれた

路地

西岸・トリアナ地区の路地。街は徒歩で回れる規模だが、レンタサイクルも人気がある

ヨーロッパの旧市街はどこもそうだが、石畳の道が迷路のように入り組んでどこまでも続く。細い道にテーブルが出て昼間っからワインを飲む男たち、路上パフォーマーのダンスを珍しそうに眺める観光客。ときおり観光用の馬車も行き交う。方向音痴な自分だが、方角を見失ってもあまり困らない。こういう街で、旧市街の道が行き着くのはだいたい街のへそ、カテドラルなのだ。

旧市街

セビリアのランドマーク、ヒラルダの塔から見るカテドラルと旧市街。15世紀、レコンキスタでキリスト教が力を盛り返すまでアンダルシアはイスラムの支配下にあった。モスクの跡地や建物を一部活用した建物も多く、独特のエキゾチシズムをかもしだしている

聖堂内部

1519年に完成したカテドラルの内部。交易で得た富をつぎ込んだ聖堂はゴージャスのひとことで、細部まで見ていると半日がかり

コロンブスの墓

聖堂内部でひときわ存在感を放つコロンブスの墓。スペインに巨万の富をもたらした男の棺をかつぐのはレオン、アラゴン、カスティーリャ、ナバーラの各国王

アルカサル

イスラム勢力が建てた城を、のちにキリスト教徒が改装した宮殿、アルカサル。アーチが多用された構造、天井や窓の装飾などイスラム文化の美が凝縮されたような建物で、ため息がでるほど美しい

アルカサル

タイル

アルカサル内部はタイルも見どころ。イスラム時代から受け継がれた幾何学模様のタイル、庶民にも愛された素朴なタイル絵など自宅にも飾ってみたいものがいっぱい

タイル

扉

アルカサル内部の扉。窓枠など細部まで装飾が凝っている

出窓

街歩きの途中、ふと上を見上げると出窓の下にも装飾タイル。街の美しさというのはこういうところでいっそう引き立てられるのだろうな、と思った

ひとりでも入りやすいバルやレストラン

この街にひきつけられたのは、街全体に漂う明るさと解放感。スペインはどこに行っても明るく温かい空気に包まれているが、セビリアには国際都市、交易都市の多くが漂わせる「ヨソモノにとっての居心地よさ」がある。英語を話す人が多い(=会話が通じやすい)というのもあるが、旅人も特別扱いせずふつうに話をする人が多く、天気も穏やかで各国料理のレストランがそろう。このコスモポリタンな空気も、コロンブスと大航海時代がもたらした恩恵のひとつなのだろうか。

ナッツ屋さん

街角のナッツ屋さん。ナッツにからめる砂糖を煮詰める甘い香りにひきつけられ、ひっきりなしにお客さんがやってくる

装飾品

ここはアンダルシアを代表する音楽舞踊・フラメンコが盛んな地。グッズショップも数多くあり、踊らない自分でも装飾品の美しさにうっとり

店

カップル文化が根強いスペインのなかで、ひとりで入りやすいバルやレストランが多いのもセビリアのよさ。タイル装飾が絵になる

サラダ

宿近くのバルで注文したアーティチョークのサラダ。バルの軒数も多いが、料理や食材のバリエーションが豊富で食べ歩きが楽しい

メトロポール・パラソルに感服

滞在最後の日、気になっていた巨大建造物「メトロポール・パラソル」に上ってみた。世界最大級の木造建造物だそうで、曲げわっぱのように木材を曲げてつくっているのかと思ったら、数多くの板を組み合わせてしなやかで丈夫な構造物と成していた。なんだ、鉄も使っているのか、と拍子抜けしたが、上に上ってみるとその不思議にうねるような構造とセビリアの街並みのコントラストに息をのんだ。

市街地

メトロポール・パラソルの上から市街地を望む

この景観ごと、建造物がデザインされているのだ。

さすがガウディのお国。夕暮れを眺めながら、デザインの力に感心したのだった。

メトロポール・パラソル

下から見たメトロポール・パラソル。全長150メートル、高さ28メートル。上には遊歩道が通っていて、エレベーターで昇り、自由に歩き回れる

構造物

組み合わせ方はこんな感じ。段ボールに入っている緩衝材に似ている。衝撃に強い構造なのだろうか

夕暮れ

見物しているうちに日が暮れた。一角にはバルがあって、一杯飲みながら夕日を眺める人々がたくさん

さて次回は、「アンダルシアらしさ」にあふれた2都市、コルドバとグラナダを歩こう。

>>連載一覧へ

BOOK

セビリアの居心地のよさは大航海時代のおかげ? 魅惑のアンダルシア#1

京都で町家旅館はじめました(双葉社)

京都に開業した町家旅館のマネジャーをつとめることになった著者が、開業準備から実際の運営に至るまでのドタバタとドキドキ、そして京都のお気に入りスポットなどを綴(つづ)ったエッセーガイド。1540円(税込み)。

 

セビリアの居心地のよさは大航海時代のおかげ? 魅惑のアンダルシア#1

旅の賢人たちがつくった
スペイン旅行最強ナビ(辰巳出版)

連載「ちょっと冒険ひとり旅」著者の山田静さんが中心となり、スペイン旅行のノウハウを解説した1冊。バルセロナ、マドリード、アンダルシア地方、バスク地方など、スペインの魅力的な場所を網羅。行き先選びから日程作り、航空券やホテル、トラブル対策までスペイン旅行の準備から帰国までを完全カバー。1650円(税込み)。

PROFILE

山田静

女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『旅の賢人たちがつくった ヨーロッパ旅行最強ナビ』『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)、『決定版女ひとり旅読本』(双葉社)など企画編集多数。最新刊『旅の賢人たちがつくった スペイン旅行最強ナビ』(辰巳出版)。2016年6月中旬、京都に開業した小さな旅館「京町家 楽遊」の運営も担当。

最高傑作と名高い教会と聖地モンセラットへ ガウディ建築巡り#4

一覧へ戻る

コルドバの巨大聖堂とかわいい“映えスポット” 魅惑のアンダルシア#2

RECOMMENDおすすめの記事