京都ゆるり休日さんぽ

読んで楽しむ 古道具たちがまとう物語に出会う 京のお店リスト

これまでご紹介してきたスポットの中から、ジャンル別におすすめをピックアップしてお届けする、おすすめリスト。第2回は、時代やジャンルにとらわれず、独自の審美眼でセレクトする古道具店や蚤(のみ)の市をご紹介します。骨董(こっとう)市や茶の湯の文化の成熟した京都では、古いものを自分らしく選び、見立てるセンスを持つ人がたくさん。お気に入りの一軒がきっと見つかります。

■暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。
(文:大橋知沙/写真:津久井珠美)

※営業状況が変更されている場合があります。ご注意ください。

西欧から東欧から 暮らしと時間を刻んだ品々

自然光が降り注ぐビルの4階。古道具のほか、パートナーの鈴木りえさんが作るキャンドルも

自然光が降り注ぐビルの4階。古道具のほか、パートナーの鈴木りえさんが作るキャンドルも

東向きの窓から大文字山をのぞむ、雑居ビル4階の一室「民の物」。この小さな部屋に、遠く異国の地から旅してきた古道具が集まっているとは、簡素な扉からは想像もつきません。オランダ、ベルギー、ルーマニアなど、店主の丹波豊さんが自らの足で歩いて見つけた古物の多くは、名もなき民具や日用品。土地の風土や文化、その時代特有の素材感などをたたえた品々は、時を経てただ一つの風合いに育っています。

ヨーロッパを中心に買いつけた、陶磁器やガラス、カトラリーなど暮らしに採り入れやすいものが多い

ヨーロッパを中心に買いつけた、陶磁器やガラス、カトラリーなど暮らしに採り入れやすいものが多い

「人が使っている風景が思い浮かぶものを選びたい」と話す、丹波さん。かつて郵便袋として使われていたものがクロスになったり、古陶の重厚さを持つ水差しが花器になったりと、買いつけたものが現代の暮らしの中で新たな風景の一部となることを願ってやみません。海を越え、時を越えて、旅してきた古道具との出会いに、きっと心動かされるはずです。

民の物
https://www.instagram.com/_tami_no_mono_/
■紹介記事はこちら
https://www.asahi.com/and_travel/20200911/279637/

空間をがらりと変えるビンテージ照明のちから

鞍馬口の住宅街の一角。オープンは木〜土曜が中心

鞍馬口の住宅街の一角。オープンは木〜土曜が中心

錆(さ)びたスチールや琺瑯(ほうろう)、ゆらぎのあるガラスなど、現行品にはない味わい深さを持つビンテージ照明の専門店がこちら。「ARUSE(アルセ)」では、日本の古いものから欧米のアトリエランプ、工業製品などを扱うほか、パーツを組み合わせたオリジナルの一灯も人気です。古い漏斗やガラスに合わせ、ソケットやコード、電球を組み合わせて仕立てる照明は、どれも一点もの。明かりをともした姿だけでなく、空間に映る影やつけていない時のたたずまいにも見ほれます。

ペンダント、スタンド、壁付けなどさまざまなタイプがそろう。一室一灯ではなく、優しい明かりを多方向から楽しむ提案も

ペンダント、スタンド、壁付けなどさまざまなタイプがそろう。一室一灯ではなく、優しい明かりを多方向から楽しむ提案も

「照明は、それ一つで部屋の雰囲気を劇的に変えられます。天井照明だけでなく、さまざまな方向からの光を楽しんでもらえたら」と語るのは、店主の有瀬肇(あるせ・はじめ)さん。インテリアショップで働くうちに照明に魅了され、自身で配線やメンテナンスも行うようになった有瀬さんだけに、空間との相性やカスタマイズの相談も頼もしいもの。どんな場所で、どんな明かりで、どんなふうに過ごしたいか、あたたかな光を眺めながら想像をふくらませてみてください。

ARUSE
https://aruse.amebaownd.com/
■紹介記事はこちら
https://www.asahi.com/and_travel/20191025/159929/

名もなき古きものの、ささやきに耳を澄ませて

ガラス、陶磁器、アルミ、紙と素材もさまざまな古いものが並ぶ

ガラス、陶磁器、アルミ、紙と素材もさまざまな古いものが並ぶ

ホームページもSNSも持たず、週に1度ひっそりと開く店ながら、独特のセレクトにリピーターの多い古道具店が「古い道具」。「“おおきな声を出さないもの”にひかれるんです」と語る店主の冨永淳さんの言葉通り、静かでささやかな存在感を宿した古いものが並びます。

鉄格子の扉とシンプルな内装。余白を生かしつつ、もの同士に共通項を見出すようなディスプレーが楽しい

鉄格子の扉とシンプルな内装。余白を生かしつつ、もの同士に共通項を見出すようなディスプレーが楽しい

日本ものを中心に、縄文土器から戦後の雑器、日用品、子どもの図画工作まで、自由な目線で選ばれた品々は、見つめるほどにじんわりと心に響きます。それぞれ別の時代、別の場所で使われてきたものが、ここでは新しい文脈を与えられ、インスタレーションのように語りかけてくる——。骨董的価値や希少性よりも「自分が何を美しいと感じるか」という問いに、素直に向き合いたくなるような空間です。

古い道具
京都市北区等持院南町68-1 土曜のみ営業 11:00〜17:00
■紹介記事はこちら
https://www.asahi.com/and_travel/20210115/311974/

一期一会の宝探し気分で露店をめぐる蚤の市

桜の名所・平安神宮とも合わせて楽しんで。3月はイレギュラーで、10日のほか27日にも開催予定

桜の名所・平安神宮とも合わせて楽しんで。3月はイレギュラーで、10日のほか27日にも開催予定

最後に、京都内外から古道具やアンティークの店が出店する、定例開催の蚤の市をご紹介しましょう。平安神宮前の広場で毎月10日前後に開催される「平安蚤の市」は、2019年春にスタートした新しい市ながら、早くも古いもの好きを夢中にさせているイベント。本格派の骨董・アンティークからジャンク、レトロ雑貨、古着まで、雑多で多様な出店模様が魅力です。

入場無料。誰でも買い物でき、古物商の免許があれば誰でも出店できるオープンさがうれしい

入場無料。誰でも買い物でき、古物商の免許があれば誰でも出店できるオープンさがうれしい

風呂敷に広げられたり、箱のまま並べられたりした品々から、自身のアンテナに響くものを探し出すのは蚤の市ならではの楽しみ。一度にさまざまな店のセレクトを吟味できるほか、店舗よりお値打ちに販売していたり、まとめ買いの割引交渉ができたりすることもあります。ただし、購入を迷いつつ、会場を回って戻ってくるとお目当ての品が売り切れていた、ということもしばしば。直感と縁を大切に、一期一会を楽しんでみてください。

平安蚤の市
https://www.heiannominoichi.jp/
■紹介記事はこちら
https://www.asahi.com/and_travel/20191004/149129/

一口に古道具といっても、和骨董、西洋アンティーク、韓国古美術、デッドストックからジャンクまで実にさまざま。どんなものを見つけ、どう飾り、どう使い方を提案するかに、店主の感性が光ります。「好きだな」と感じる品に出会ったら、ものが持つ出自や背景をぜひ、ひもといてみてください。自分自身の中にある、美意識のものさしに気づかされるかもしれません。

その他の古道具店はこちら(営業状況は各所にお問い合わせください)
古いもの好きの心くすぐるビンテージショップ「BROWN.」
コーヒーと古道具が彩る 人気カフェWIFE&HUSBANDの新拠点
夏のテーブルに涼を運ぶ「観山堂」の骨董のうつわ
京都の食通&骨董好きを虜にする「寺町李青」

※読んで楽しむ京都さんぽ(ジャンル別)はこちら
(1)地元の人も通う、多彩でハイレベルな京都ランチリスト
*営業状況が変更されている場合があります。

■「京都ゆるり休日さんぽ」のバックナンバーはこちら

BOOK

読んで楽しむ 古道具たちがまとう物語に出会う 京のお店リスト

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が2019年6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。


PROFILE

  • 大橋知沙

    編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

  • 津久井珠美

    1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告など、多岐にわたり撮影に携わる。

読んで楽しむ 地元の人も通う、多彩でハイレベルな京都ランチリスト

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読んで楽しむ 京都の1日は朝食から 旅気分を高めるお店リスト

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