楽園ビーチ探訪

夢の大橋を渡って 地形派ダイバーあこがれの伊良部島・下地島へ

沖縄県宮古島の北西約5キロに浮かぶ伊良部島と下地島(いずれも沖縄県宮古島市)。この二つの島の間は細い水路で隔てられたのみ。六つの橋でつながっているので、まるでひとつの島のように感じます。かつては、この二つの島々へは船で渡っていましたが、2015年に伊良部大橋が開通してからは、車で気軽に訪れられるようになりました。昨年秋まで、かれこれ30年余り、この島に通っています。(トップ写真:伊良部大橋のドライブはターコイズブルーの海の真ん中を走る絶景。アトラクション級の楽しさ)

連載「楽園ビーチ探訪」は、リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信するビーチライターの古関千恵子さんが訪れた、世界各地の美しいビーチや、海のある街や島を紹介いたします。

輝く海上を飛ぶがごとく 3540メートルの伊良部大橋

全長3540メートルの伊良部大橋を車で走ると、キラキラ輝く海の上を飛んでいるようで、開放感も抜群。この大橋を渡るだけでも価値があります。通行無料です。

さらに2019年3月には下地島に「みやこ下地島空港ターミナル」が開業し、羽田や成田、大阪、神戸などからも直行便(運休日あり)でアプローチできるようになりました。

中ノ島ビーチで出会ったダイバー

中ノ島ビーチで出会ったダイバー

そんな伊良部島と下地島はダイビング、なかでも地形派ダイバーには人気があります。ダイバーには様々なタイプがいて、大物(マンタやサメ、大型回遊魚)狙いや、珍しい小さな魚が好き、水中カメラ派、海底の真っ白な砂地をただ浮遊しているのが好きなダイバーなどなど。楽しみ方は十人十色です。

そんな中、地形派ダイバーはトンネルやアーチなど、水面下に隠された地形を堪能します。地上と違って浮力があるダイビングでは、全方位に動くことができ、高い位置から降りることも、トンネルやアーチを逆さになってくぐり抜けることも、思いのまま。地上よりもずっと、地形の醍醐(だいご)味が味わえます。

伊良部島と下地島の周辺には、ユニークな地形スポットがたくさん。アーチが複雑に入り組み、あちこちから光が差し込む、まるで天才建築家が手掛けたようなスポットもあれば、目を開いても自分の手のひらさえ見えない、真の闇のトンネルが50メートルも続くスポットも。あらゆるタイプの地形が勢ぞろいしています。

色が変幻、地下でつながる「通り池」は上級ダイバー向け

入り組んだアーチから光が差し込む、ダイビングスポット「アントニオ・ガウディ」©24°ノース

入り組んだアーチから光が差し込む、ダイビングスポット「アントニオ・ガウディ」©24°ノース

そんな数ある地形系スポットの中でも、世界的に名が知られているのが、「通り池」です。海から水中の壁にぽっかり開いた洞窟をくぐり抜け、ゆっくりと上昇していくと、下地島の地下でつながった二つの池、通り池に抜けられます。

緑がかった淡水と、ブルーの海水が分かれた通り池のケモクライン©24 °ノース

緑がかった淡水と、ブルーの海水が分かれた通り池のケモクライン©24 °ノース

海から池へと抜ける途中、比重が異なる海水と淡水が混ざり合う層で生じる現象、「ケモクライン」を体験することができます。この現象は、青い海とグリーンの池とに層がきっぱり分かれていることもあれば、グラデーションになっていることもあり、その日のコンディションによって見られる現象は異なるようです。私は乳白色の中を上昇していく不思議な体験をしました。

ただし、通り池は水中でバランスが自在に取れるダイビングの技術と、透明度が悪くても落ち着いていられる精神力、耳抜きができることなどの条件があり、ベテランダイバーにのみ許された体験です。

ジュゴンと大津波の伝説

ちなみに、通り池にはいくつかの伝説が残されています。

地上から見た通り池。水中から顔を出したダイバーを見かけることも

地上から見た通り池。水中から顔を出したダイバーを見かけることも

そのひとつが、ユナイタマ(ジュゴン)にまつわるもの。かつてこの地の付近に暮らしていた漁師がユナイタマを捕まえ、近隣にも半身を切って配りました。半身になってしまったユナイタマは海へ戻ることができず、母に助けを求めました。すると、ユナイタマの母は大波を起こして、子供を連れ戻したのです。それが1771年の明和の大津波だとする言い伝えがあります。

佐和田の浜。潮の干満を生かした漁法が行われている

佐和田の浜。潮の干満を生かした漁法が行われている

絶景ビーチと憧れのリゾートホテル

明和の大津波といえば、伊良部島の北西にある、佐和田の浜。浅瀬に無数の巨岩が点在、この巨岩群は大津波で運ばれたとされています。形も様々な巨岩群は動物たちの群れのようにも見える名勝。「日本の渚(なぎさ)100選」(日本の森・滝・渚全国協議会)にも選ばれています。

砂の心地良さはマイベスト5に入る渡口の浜

砂の心地良さはマイベスト5に入る渡口の浜

佐和田の浜のような冠はないけれども、伊良部島きっての絶景ビーチとの呼び声が高いのは、伊良部島の南西の「渡口の浜(とぐちのはま)」。ややクリーム色がかった砂の粒はとことん小さく、ひとつかみ握るとふんわり柔らか。手のひらにすくってこぼすと、風に乗って運ばれていきます。この砂の感触は、裸足で歩くと至福です。

イラフSUIの絶景プール。毎夕、シャンパンのフリーフロー(時間制飲み放題)サービスあり

イラフSUIの絶景プール。毎夕、シャンパンのフリーフロー(時間制飲み放題)サービスあり

渡口の浜の近くに位置する「イラフ SUI ラグジュアリーコレクションホテル 沖縄宮古」は、特別な旅に訪れたい憧れのリゾート。伊良部ブルーの海とつながってみえるインフィニティエッジのプールサイドには、シャンパンが似合います。

宮古島から、夢のアーチ・伊良部大橋を渡った先に、さらなる魅力が広がっています。

【取材協力】
24°ノース
http://www.24north.co.jp/
イラフ SUI ラグジュアリーコレクションホテル 沖縄宮古
https://www.suihotels.com/iraphsui-miyako_okinawa/

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PROFILE

古関千恵子

ビーチライター。リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信する。ダイビング雑誌の編集者を経てフリーとなり、“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”を繰り返すこと四半世紀以上。『世界のビーチ BEST100』(ダイヤモンド・ビッグ社)の企画・執筆、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)の共著のほか、ファッション誌(『Safari』『ELLE Japon』など)やウェブサイトに寄稿。ブログも配信中。

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