楽しいひとり温泉

温泉+アート 那須の薬膳ランチと、薬湯の板室温泉「大黒屋」

ひとり気ままに過ごしたい。いつものお散歩よりちょっと遠くまで出かけたい。日常を少し離れて、のんびり過ごすひとり温泉の旅に出かけたくなる季節になりました。保養とアートがテーマの「板室温泉 大黒屋」(栃木県那須塩原市)には、ひとり専用のすてきな客室があります。やわらかな温泉に浸って体を緩め、宿の美術館をガイドツアーでゆったり楽しみます。

■連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

黒磯駅近く、予約必須の「白牡丹」薬膳ランチで体を整える

予約必須の「おいしい薬膳 白牡丹」

予約必須の「おいしい薬膳 白牡丹」

JR東北線・黒磯駅から約12分、てくてくと散歩しながら向かったのは、「おいしい薬膳 白牡丹(はくぼたん)」。那須塩原周辺の旬の野菜や、昔ながらの製法で作られた調味料で、心と体のバランスを整えてくれる薬膳料理のお店です。大人気で予約必須。とても楽しみにしていたランチです。営業日が限られているので、SNSに翌月の営業日が公開され、予約を受け付けています。

心も体も整う薬膳プレート

心も体も整う薬膳プレート

カラフルなお料理が少しずつ並ぶ「旬彩薬膳プレート」(1650円、税込み)。季節や月の満ち欠けなどによって考えられた食材の組み合わせと調理法。この日は昨年秋のメニューで、ハヤトウリとモズクのスープと栗ごはん。おかずは、中央がカラフル野菜のタブレ(クスクスを使ったサラダ)、左上がかぶとイチジクのマリネ、時計回りに、ジャガイモ・きくらげ・ホウレン草のナムル、さつま芋のスパイスメープルナッツ、レンコンときゅうりの梅ひじきあえ、大根グラタンと焼き野菜。ひとつひとつの素材のうまみや食感を楽しみ、酸味、甘味、辛味、塩味、苦味など色々な味わいが広がります。

テンションがあがる美しいデザート

テンションがあがる美しいデザート

実はデザートも絶品と評判なのです。注文したのは、米粉のいちじくモンブラン(650円、税込み)。エディブルフラワーがちょこんとのった盛り付けは「わー、キレイ!」と、テンションがあがります。やさしい甘さでクリーミーなモンブランとフレッシュいちじくの組み合わせが秀逸。心に残る旅ランチでした。

おひとりさま向け客室、湯とアートに心安らぐ

アートな庭園を通って宿の玄関へ

アートな庭園を通って宿の玄関へ

黒磯駅からバスで35分、板室温泉に到着です。現代美術家・菅木志雄(すが・きしお)氏創作のインスタレーション庭園を通ってこよいの宿・大黒屋の玄関へ向かいます。

ひとり専用の「松の館」シングルルーム

ひとり専用の「松の館」シングルルーム

ひとり宿泊専用のお部屋「松の館」シングルルーム。那須の木工作家のテーブルや、座り心地のいい椅子が置かれ、窓から庭や木々の緑が眺められます。テーブルは、パソコンをひらいてワーケーションしたり、夕食も朝食も部屋食だったりで、自分だけのダイニングテーブルになります。おひとり様専用の客室が誕生したのは2013年で、まだひとりで宿泊できる温泉宿が少なかったころから、365日いつでもひとりで泊まれる希少な宿だったのです。

ぬるめでやわらか癒やしの「下野の薬湯」

ぬるめでゆっくり入れる癒やしの温泉

ぬるめでゆっくり入れる癒やしの温泉

板室温泉は下野(しもつけ)の薬湯と呼ばれ、体の痛みや疲れを癒やしてくれる湯治の湯として愛されてきました。温度の異なる2本の源泉をブレンドしてかけ流すことで、湯船の中は40度前後の心地よい温度。ひのきの湯は、浅めで半身浴ができる湯船と深めの湯船があって、じっくり温まることができます。泉質はアルカリ性単純温泉(pH9.4と9.3)で、肌をなめらかに整え優しく保湿して、しっとりすべすべに。館内には他にも、大きな窓の内湯と露天風呂もあります。

月替わりのアート展示も楽しめるサロン

月替わりのアート展示も楽しめるサロン

湯あがりは館内のサロンでのんびり。この日は陶芸作家の作品が展示されていました。アートの展示は月替わりで楽しめます。

自分のペースで楽しめる部屋の食事

土地の食材をしみじみと味わう

土地の食材をしみじみと味わう

食事は夕食も朝食もお部屋です。暮れゆく景色をぼんやりと眺めながら、部屋のテーブルとイスで、自分の部屋みたいにくつろいで夕食。お品書きを眺めながら、ふむふむとマイペースで料理を味わいます。前菜の緑野菜のゴマあえやマツタケフライ、クルマエビとホタテの酢の物などをグラスワインを注文してゆっくりと。

和牛ローストも野菜たっぷり

和牛ローストも野菜たっぷり

かますマツタケの包み焼きなど温かい料理も運ばれ、和牛ローストは地元の野菜もたっぷり。旅のひとりごはんもいいなあと、じんわりとした幸せを感じつつ夜は更けていきました。

こだわりの寝具で朝まで熟睡

こだわりの寝具で朝まで熟睡

しばらく食休みをしたら、もう一度温泉へ。戻ってベッドに入ったら、吸い込まれるように眠ってしまいました。あまりの心地よさに宿の方にうかがったところ、保養の宿は眠りも大切と考えた、第16代の室井俊二社長が自ら試して選んだ、こだわりの敷布団と羽根布団なのだそうです。

庭の風景を眺めながら部屋で朝食

庭の風景を眺めながら部屋で朝食

朝湯から戻ってきたら、朝食もお部屋で。昔から健康食材として日本に根付いた三つの宝、胡麻(ごま)、豆、昆布の胡豆昆(ごずこん)をおかずに採り入れた体に優しい朝ごはんです。

宿の美術館の案内付きツアーへ

宿の倉庫美術館を案内付きで鑑賞

宿の倉庫美術館を案内付きで鑑賞

事前の予約かアートプランで楽しめる宿の美術館鑑賞は朝10時から1時間程のツアー。菅木志雄氏の作品がおよそ300点展示された倉庫美術館へ。この日は室井社長が案内してくださいました。

天井までびっしりと並ぶ菅木志雄氏の作品

天井までびっしりと並ぶ菅木志雄氏の作品

現代アートは心で楽しむ。たくさん並んだチャーミングな作品が、手招きしているように感じます。心ひかれた作品の前で立ち止まって眺めていると、アートとおしゃべりしているようで、なんだかウキウキしてきます。

板室温泉 大黒屋
http://www.itamuro-daikokuya.com/
*菅木志雄倉庫美術館案内付きアートプランもひとり宿泊あり

おいしい薬膳 白牡丹
https://www.facebook.com/oishiiyakuzen.hakubotan/
*ランチ営業日を確認の上、要予約

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1. 優しい湯で癒やされる
2.部屋食でのんびり
3.アートでウキウキ

BOOK

温泉+アート 那須の薬膳ランチと、薬湯の板室温泉「大黒屋」

全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!

石井宏子さんの著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)。温泉ビューティー研究家・旅行作家ならではの、旅してみつけた、女性がひとりで安心して楽しめる温泉宿を紹介するハンディーな一冊。公共交通機関で行ける、自分へのごほうびで泊まりたい、いい宿を全国から厳選し、あわせて、女性目線で選んだ周辺の立ち寄り先、ランチやスイーツも取り上げます。ひとりでも楽しい観光列車も登場します。税別1400円。

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)などのほか、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月に発売された。

温泉+モダン建築 由布岳を望む森のヴィラ 由布院「山荘わらび野」

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