ちょっと冒険ひとり旅

アルハンブラ宮殿で想定外の事態! 魅惑のアンダルシア#3

そろそろ遠くに旅したい!とうずうずしている人も多いのでは。旅行ライターの山田静さんがちょっぴり冒険できる旅を紹介するシリーズ。2019年3月に訪れた、誰もがイメージするスペインがぎゅっと詰まった魅惑のアンダルシアをご紹介しています。今回はアルハンブラ宮殿で名高いグラナダをどうぞ。

(トップ写真はアルハンブラ宮殿)

■何回目かのひとり旅、ちょっとだけ冒険してみたい。そんな旅人のヒントになりそうな旅先や旅のスタイルを紹介している連載「ちょっと冒険ひとり旅」。京都で旅館の運営をしながら、旅行ライターとしても活躍する山田静さんが、飛行機やバスを乗り継いで比較的簡単に行ける、旅しがいのあるスポットをご紹介していきます。バックナンバーはこちら

予約必須のアルハンブラ宮殿

アンダルシアといえばアルハンブラ宮殿。

およそ800年間この地域を支配したイスラム勢力がキリスト教勢力に次々と敗れ去っていくなか、最後のとりでとなったのがグラナダのアルハンブラ宮殿だ。豪華な宮殿はいまも世界の人々を魅了しており、私も楽しみにしていた。

ところがここで、事件が起こった。

「え? あなたの名前、リストにないけど。ていうか、さっき、今日のツアーは出発しちゃったけど」

アルハンブラ宮殿の入場ゲート前にあるツアーデスクで、私は久しぶりに心底びっくりした。

アルハンブラ宮殿は無料ゾーンといくつかの有料ゾーンに分かれており、なかでも人気のナスル宮殿ゾーンは入場人数制限があり予約必須。毎度行き当たりばったりのひとり旅ゆえ、私がグラナダ滞在日を決めたのは2日前。オンラインで直接予約できる入場券はすでに売り切れており、やや高額だが仕方ない、と大手旅行会社の現地発着ツアーに申し込んで支払いも済ませてあった……のだが、スタッフが見せてくれたパソコンの予約画面には、確かに私の名前は見当たらない。窓口販売の当日券はとっくに売り切れだ。

これは想定外。

気の毒がったスタッフが次のツアーへの振り替えを試みてもくれたが、さすが世界有数の観光スポットで、3日後までは予約がまったくとれない。

まあ仕方ない。

見ないと死んじゃうわけでもなし、といういつもの旅人精神であっさりあきらめ、当日券で入れる場所を歩くことにした。そしてこれがかなり見応えがあったのだった。

ヘネラリフェ

14世紀に建てられた夏の別荘・ヘネラリフェ。繊細な彫刻、借景を巧みに活用したアーチや柱の設計など、イスラム建築の美意識にうっとり

ヘネラリフェ

水路

雪解け水を活用した水路がはりめぐらされたヘネラリフェ。乾いた大地で生まれたイスラム教の建築では、水は豊かさや美しさの象徴として使われているように思う

敷地

アルハンブラ宮殿の敷地は広大で、無料で入れるエリアには公園や資料館、レストラン、ショップなどが配置されている。散策路をぶらぶらするだけでも楽しい

オレンジ

アンダルシアの風景に欠かせない、色鮮やかなオレンジ。木から落ちたオレンジがリヤカーで回収されていて、もったいないと思ったが、これらはすっぱくて食べられないとか

アルカサバ

軍事要塞(ようさい)アルカサバ。アルハンブラ宮殿と向き合うように丘に広がる旧市街・アルバイシンを一望できる絶景スポットだ

見物のあと、さっきアルカサバから眺めたアルバイシンの丘に上ってみた。石畳と白壁が雰囲気満点の街並みを上り詰めると、アルハンブラが一望できる展望台。日が傾くにつれて見物人の数が増え、流しのギター弾きが「アルハンブラの思い出」やフラメンコの曲で場を盛り上げチップを稼いでいる。

日の入りの時刻。宮殿はうっすらとしたピンク色からオレンジに彩られていき、一瞬だけ真っ赤に染まった。

来てよかった。入れなかったけど、それもまた思い出のひとつだ。

アルハンブラ宮殿

刻々と色を変えるアルハンブラ宮殿から目が離せない

夕暮れ

やがて日が沈み、グラナダの街に夜がやってきた

アラブ風の店が並ぶカルデレリア・ヌエバ通り

ここからはグラナダを写真で紹介していこう。巡回バスなどもあるが、時間があればカテドラルを中心とした下町、旧市街エリアの細い道に迷いこむように歩くのが面白い。中でも気に入ったのがアラブ風の店が立ち並ぶカルデレリア・ヌエバ通りだ。

グラナダ

ローマ時代から街があったという歴史あるグラナダ。アルハンブラ宮殿以外にも見るべきところは多い

道

カテドラルへと抜ける道。歯間ブラシみたいな塔がいい目印に

カテドラル

16世紀から建造が始まったカテドラル。ゴシックやルネサンス様式が取り入れられているが、イスラム風の意匠も多く生かされている。星空のように見えるドーム天井もイスラム建築風だ

本

カテドラルに展示されていた巨大な本。聖歌の楽譜だ

カルデレリア・ヌエバ通り

カルデレリア・ヌエバ通り。カフェもショップもアラブ風

「カスバ」

カルデレリア・ヌエバ通りのティーハウス「カスバ」。内装が凝っている

ファラフェルセット

「カスバ」にて、お茶とファラフェルセットで夕食。スペインにいるとは思えないが、アンダルシアにはこんなアラブ風のカフェも多い

店

カルデレリア・ヌエバ通りのお店。アラブに行きたくなる

ジェラート店

夜散歩のついでにジェラート店。夜遅くまで開いているジェラテリアはどこの街にもある。ダイエットは一時封印だ

犬

スーパーマーケットの入り口にて。犬のひもをかけるフックは多くの店に用意されている

ハリボー

スペインのスーパーではよく見る、ハリボーの量り売り。ドイツ発祥のグミだが、ヨーロッパ各地で愛されている

夜の街

そろそろ宿に戻る時間。ヨーロッパの街に魅了されるのは、夜が美しいこと。陰影の深さだ

夜の街

宿に戻ってパソコンを開くと、ツアー会社からメールが入っていた。「お恥ずかしい限りではございますが、なぜ手配できていなかったのか弊社でもわかりかねます/申し訳ない気持ちでいっぱいでございます/厳重に注意させていただきます」と、すごく丁寧ではあるが定型文っぽい内容で謝罪がつづられ、料金は翌日、払い戻しされていた。

ここから学んだ教訓はひとつ。

スペインに行く日が決まったら、アルハンブラ宮殿の入場予約をまずすべし、である。

絵はがき

せっかくなので買ってきた、ナスル宮殿の絵はがき。旅のノートにぺたりと貼った

さて、次回はアンダルシア地方の旅最終回。宿や食事、移動のコツをご紹介しよう。

>>連載一覧へ

BOOK

アルハンブラ宮殿で想定外の事態! 魅惑のアンダルシア#3

京都で町家旅館はじめました(双葉社)

京都に開業した町家旅館のマネジャーをつとめることになった著者が、開業準備から実際の運営に至るまでのドタバタとドキドキ、そして京都のお気に入りスポットなどを綴(つづ)ったエッセーガイド。1540円(税込み)。

 

アルハンブラ宮殿で想定外の事態! 魅惑のアンダルシア#3

旅の賢人たちがつくった
スペイン旅行最強ナビ(辰巳出版)

連載「ちょっと冒険ひとり旅」著者の山田静さんが中心となり、スペイン旅行のノウハウを解説した1冊。バルセロナ、マドリード、アンダルシア地方、バスク地方など、スペインの魅力的な場所を網羅。行き先選びから日程作り、航空券やホテル、トラブル対策までスペイン旅行の準備から帰国までを完全カバー。1650円(税込み)。

PROFILE

山田静

女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『旅の賢人たちがつくった ヨーロッパ旅行最強ナビ』『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)、『決定版女ひとり旅読本』(双葉社)など企画編集多数。最新刊『旅の賢人たちがつくった スペイン旅行最強ナビ』(辰巳出版)。2016年6月中旬、京都に開業した小さな旅館「京町家 楽遊」の運営も担当。

コルドバの巨大聖堂とかわいい“映えスポット” 魅惑のアンダルシア#2

一覧へ戻る

巡る、泊まる、食べるコツは? 魅惑のアンダルシア#4

RECOMMENDおすすめの記事