魅せられて 必見のヨーロッパ

ドイツ・オーストリア国境越えハイキング 山のチーズとシュナップス堪能 

ツアーの行き先としてはメジャーでないけれど足を運べばとりこになる街を、ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが訪ねる「魅せられて 必見のヨーロッパ」。今回はドイツのベルヒテスガーデン国立公園の2回目です。オーストリアから国境を越えてドイツへのハイキングは、まるで隣町へ行くかのよう。途中、うれしい出会いもありました。
(トップ写真は霧が立ちこめるヒンター湖の朝)

ドイツのヒンター湖からバスでオーストリアの村へ

前回のヒンター湖と魔法の森を散策した翌日、今度はヒンター湖から路線バスで国境を越えて、オーストリアのヴァイスバッハ・バイ・ローファーへ向かいました。

約40分で、オーストリアのヴァイスバッハに到着

約40分で、オーストリアのヴァイスバッハに到着

バスに乗っていたのは、イタリア語を話す女性と私の2人だけ。
到着した終点の停留所はヴァイスバッハ・バイ・ローファーの村役場前です。人口約400人の小さな村です。

ここからヒンター湖までハイキングして戻ろうと考えていましたが、あいにくの曇り空。ドイツとの国境の村、ヒルシュビヒルまでバスで戻り、そこから歩くことにしました。

戻りのバスが走り始めると、突如、牛たちが

戻りのバスが走り始めると、突如、牛たちが

乗客は私だけになり、車窓の風景を眺めながら約20分でヒルシュビヒルに到着。

ドイツ・オーストリア国境越えハイキング 山のチーズとシュナップス堪能 

ヒルシュビヒルのバス停は、村の名を冠した宿・アルペンガストホーフ「ヒルシュビヒル」の前です

村の中心にバス停があり、昔は郵便を運んだポストバスの路線であったことを実感します。

小さな礼拝堂と数軒の家々が目につくだけ。シーンとしたのどかな村です。

ヒルシュビヒルの村

ヒルシュビヒルの村

新緑の6月。周囲の木々の緑のグラデーションに目を奪われます。

急な寒さが 暖をとろうとシュナップスを注文

村の風景に見入っていると、また雨が降ってきて急に寒くなりました。雷雨や霧雨、晴天と忙しい天気です。長旅ではいつも、風邪をひかないよう気をつけています。温まろうとアルペンガストホーフ「ヒルシュビヒル」の中へ入りました。

小さなカウンターが

小さなカウンターが

午前中、誰もお客さんはいません。バーのカウンターにはアルコール度数の高い蒸留酒、シュナップスのボトルが並んでいます。

山歩きの途中、気圧の変化や寒暖の差が大き過ぎて疲労を感じた時には、不思議ですが、極少量のシュナップスを飲むと元気になります。 以前、ザイルを巻きアイゼンを履いて、ドイツ人登山家と1週間、標高3000~4000mのヨーロッパアルプスをオーストリア、ドイツ、イタリアの国境を越えながら歩き続けたことがありました。その時、山小屋に着くとシュナップスを勧めてくれたのを思い出しました。

(左)松を使ったシュナップス、(右)リンドウを使ったシュナップス

(左)松を使ったシュナップス、(右)リンドウを使ったシュナップス

左の写真、松を使ったシュナップスを注文してみました。ルビーを思わせる美しい色。ほんのりとした甘さがあり、爽やかな松の木の香りがします。右の写真はリンドウを使ったシュナップス。ボトルにアルコール度数40%と書いてありますが、すっきりと口当たりが良くて、快い甘みがあります。

雨宿りがてら少し休むと体が温まり、すっきりした気分になりました。国境を越えてドイツへ「さあ、出発」。

国境越えドイツへハイキング 隣町へ行く気分

オーストリアを後にしました

オーストリアを後にしました

国境には立て札と仕切りがあるものの、隣町へ出るような感じです。毎日国境を越えて仕事や学校へ通う人もいます。

(左)ここからドイツ、(右)細い山道かなと思ったら、広い道が続きます

(左)ここからドイツ、(右)細い山道かなと思ったら、広い道が続きます

朝、バスで通った道にほぼ並行してハイキングロードが続きます。山や林に囲まれて、森林浴気分。快い散策です。

山小屋を訪ねて、自家製チーズに舌鼓

山小屋があります

山小屋があります


山小屋のメーズラーさん夫妻

山小屋のメーズラーさん夫妻

途中、山小屋があったので訪ねてみると、メーズラーさん夫妻が迎えてくれました。夏の間、ここで牛を放牧しながら暮らして、バターやチーズを作っているそうです。夜はまったく明かりがないので、星がプラネタリウムのようにたくさん見えるとか。うらやましい限りですが、重労働なのと、町の生活に比べると不便なこともあり、こうしたライフスタイルを今も続ける人たちは減ったそうです。

自家製の白いチーズをのせたパン

自家製の白いチーズをのせたパン

自家製の白いチーズを載せたパンをいただきました。「おいしい!」。新鮮なミルクから作ったフレッシュなチーズです。自然な味わいで、体になじみ、ぐんぐん栄養になっていくような気がします。日本へ買って帰りたいと思いましたが、「無理ですよ!」とあっさり断られて、がっかり。山で作った生もので添加物が一切入っていないために、常に冷蔵して持ち歩かなければならないそうです。

さらに下りながら歩いて行くと、こんな風景も

さらに下りながら歩いて行くと、こんな風景も


(左)滝を眺めてひとやすみ、(右)道しるべが、きちんと立っています

(左)滝を眺めてひとやすみ、(右)道しるべが、きちんと立っています

景色を見ながら時を忘れていましたが、途中で見かけた標識によると、ヒルシュビヒルからこの場所まで1時間の道のりで、ヒンター湖まではあと1時間15分であることがわかりました。

つり橋にドキッ、近づいてホッ

(左)つり橋が見えます、(右)近くで見ると……

(左)つり橋が見えます、(右)近くで見ると……

長いつり橋が見えました。「え、これを渡るの?」。何だか怖そうですが、近くで見たら、かなり堅牢な橋。ひと安心して、渡りました。

また広い道に出ました

また広い道に出ました


「国立公園 ベルヒテスガーデン」と書かれた石の標識

「国立公園 ベルヒテスガーデン」と書かれた石の標識

ヒンター湖はもうすぐです。

森林浴しながら2時間余りの短いハイキング。歩きやすい広い道で、適度な運動になりました。リフレッシュした一日。
次回は、イエンナー山へ登ります。

■ドイツ観光局
https://www.germany.travel/en/home.html

PROFILE

相原恭子(文・写真)

慶應大学卒業。ドイツ政府観光局勤務を経て、作家&写真家。「ドイツ地ビール夢の旅」(東京書籍)、「ドイツビールの愉しみ」(岩波書店)、「ベルギー美味しい旅」(小学館)、「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)、「京都 花街ファッションの美と心」(淡交社)、英語の著書「Geisha – A living tradition」(フランス語、ハンガリー語、ポーランド語版も各国で刊行)など著書多数。国内はもちろん、国際交流基金・日本大使館の主催でスペイン、ハンガリー、エストニアで講演会や写真展多数。NHK「知る楽」「美の壺」、ラジオ深夜便「明日へのことば」「ないとエッセー」、ハンガリーTV2、エストニア国営放送など出演多数。
https://blog.goo.ne.jp/goethekyoko

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