世界で寄り道日記

人と共生? たくましいガラパゴス諸島の生き物たち

  • 文 中山茂大 写真 阪口克
  • 2016年5月16日

世界自然遺産に指定されているガラパゴス諸島の固有種の一つウミイグアナ

  • イグアナの生息地近くの海岸

  • 漁師に魚をねだるペリカンたち

  • 魚をさばく漁師の手元をじっと見つめるペリカン

  • 漁師の足元では、固有種のガラパゴスアシカがシナをつくっていた。

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 ダーウインの進化論で知られる世界遺産「ガラパゴス諸島」。世界的にも稀少な自然が残る西太平洋の孤島群だが、実際に訪ねてみると、その意外な現実に衝撃を受けること間違いなしである。

 観光の中心となるサンタクルス島は、乾燥し赤茶けてゴツゴツした岩肌が広がり、山を越えた南部は一転して湿気が高く、熱帯のジャングルが広がる。これだけでも島の多様な気候が伺えるというものである。

 ガラパゴス諸島の人口は約2万5000人。意外にも、たくさんの人が住んでいるのだ。最大の町プエルトアヨラも島の南部に位置し、この町を起点にして周辺の無人島へのデイクルーズが楽しめる。

 港には魚市場があり、漁師が水揚げしたマグロを手際よくさばいていて、なかなか活気がある。しかし活気があるのは人間だけではなかった。でっかい鳥が何匹も、奇声を上げて漁師に群がっているのだ。

 彼等の名は「ガラパゴスカッショクペリカン」。ガラパゴスの固有種ではないものの、島ではよく見かける野鳥のひとつである。ペリカンは群れをなして、漁師が捨てたマグロの切れ端をギャーギャー奪い合う。

「うるせえ!」

 漁師が邪険に追い払うと、ペリカンはノタノタと逃げるが、すぐに集まってきて再びエサを奪い合う。懲りない連中である。

 私も、その辺に落ちていた雑魚を拾ってペリカンに与えてみた。ペリカンは「見ない顔だ」と思ったのだろうか、値踏みをするように私を見た。しかし次の瞬間、彼の口が大きく開き、私の手から雑魚をかっさらった。ペリカンの口にはヤスリのような歯がついていて、指先に血が滲んだ。

 さらに衝撃的な事実を目撃した。騒々しいペリカンを避けて市場の裏に回ってみたところ、なんと、世界遺産の「ガラパゴスアシカ」が、漁師の足もとでシナを作っているではないか。漁師が無視していると、アシカはじれたようにアタマをもたげて男のお尻を鼻先でつつき、エサをねだるのである。その状況というのは「人類との共生」というよりも「単に餌付けされてるだけじゃないか?」という疑念を生じさせるのであった。

ガラパゴス諸島への行き方

東京~キト(エクアドル首都)~ガラパゴス諸島往復航空券 26万4000円

入島管理料       10ドル

国立公園入園料    100ドル

合計         110ドル(1万2430円)

※取材は2011年。各種料金は2016年3月時点の情報です。

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PROFILE

中山茂大(なかやま・しげお)写真家

なかやま・しげお

人力社代表。在学中、南米アンデス6000キロをロバとともに縦断。「ロバと歩いた南米アンデス紀行」を著わす。卒業後、マンガ編集者を経てフリーの旅行作家に。
最新の著書は「 旅人思考でイスラムと世界を知る本」(言視舎)。奥多摩の自宅は、自らセルフリフォームした築100年の古民家。

阪口克(さかぐち・かつみ)

さかぐち・かつみ

2年間の広告写真スタジオ勤務を経て、オーストラリアへ渡る。オーストラリア大陸1万2000kmを自転車で一周。帰国後フリーカメラマン。
著作に、中山さんと共著の「世界のどこかで居候」(リトルモア)や、撮影を担当した「笑って!古民家再生」(山と渓谷社)がある。ただいま自宅をセルフビルド建築中。大工仕事はお任せを!!
人力社HPは こちら

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