世界で寄り道日記

あちこちに転がる「野良イグアナ」とふれあう

  • 文 中山茂大 写真 阪口克
  • 2016年5月23日

島でもっとも目につくガラパゴスウミイグアナ

  • サンタクルーズ島のビーチ

  • 岩場で周囲をうかがうガラパゴスウミイグアナ

  • ゴミ置き場をねぐらにするガラパゴスウミイグアナ

  • こちらも固有種のリクイグアナ

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 「野良世界遺産」はアシカだけではない。島でもっとも目にする「ガラパゴスウミイグアナ」。彼等を最初に目撃したのは「ゴミ置き場」であった。

 干からびたように路上に転がっている黒い物体を、危うく踏んづけそうになった私は目を疑った。アスファルトに同化して見分けがつかなかったが、それはまさしくイグアナであった。

 もはや「誰かが捨てていったゴミ」としか思えない。試しにつついてみると、イグアナは意外にも大きく反応して、「キッ」と私をにらみつけた。観光客にないがしろにされた世界遺産の反撃でもあったのか……。

 ガラパゴスウミイグアナは町のあちこちに転がっているが、島民は誰もそんなものは気にも留めない。その社会的位置というのは日本の「野良ネコ」に限りなく近いのであった。

 もし、「野良」の定義を「人間の生活圏の周辺で、なんとなく共存している動物たち」とするならば、彼等は間違いなく「野生」というより「野良」なのである。

 そういえば島で見かけるイヌは、すべからく首輪をつけていた。動物ではヤギがダメらしい。

 かの日本のガラパゴス「小笠原諸島」でも野生化したヤギが問題になっていた。ヤギは森林破壊や表土の流失、固有植物の食害などを引き起こすからだという。

 絶海の孤島である両者は様々な面で似ている。「小笠原は観光と公共工事の島だよ」と、とある島民が言っていた。政府からの手厚い補助と観光で経済が潤うという構図は、国立公園に指定され、世界中から観光客を集めるガラパゴスも同じである。

 また、別の島民によれば、小笠原での暮らしで不自由しているのは「水不足」「物価高」「医療」「教育」だそうで、これまたガラパゴスとまったく同じ問題なのであった。

 生粋のガラパギートのおじさんは、こんなことを言っていた。

 「30年くらい前は、観光客といっても年間1万5千人くらいのもんだったけど、今じゃあ人がたくさん来すぎてねえ」

 これもまた、小笠原が抱える問題と一致しているのであった。

ガラパゴス諸島への行き方

東京~キト(エクアドル首都)~ガラパゴス諸島往復航空券 26万4000円

入島管理料       10ドル

国立公園入園料    100ドル

合計         110ドル(1万2430円)

※取材は2011年。各種料金は2016年3月時点の情報です。

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PROFILE

中山茂大(なかやま・しげお)写真家

なかやま・しげお

人力社代表。在学中、南米アンデス6000キロをロバとともに縦断。「ロバと歩いた南米アンデス紀行」を著わす。卒業後、マンガ編集者を経てフリーの旅行作家に。
最新の著書は「 旅人思考でイスラムと世界を知る本」(言視舎)。奥多摩の自宅は、自らセルフリフォームした築100年の古民家。

阪口克(さかぐち・かつみ)

さかぐち・かつみ

2年間の広告写真スタジオ勤務を経て、オーストラリアへ渡る。オーストラリア大陸1万2000kmを自転車で一周。帰国後フリーカメラマン。
著作に、中山さんと共著の「世界のどこかで居候」(リトルモア)や、撮影を担当した「笑って!古民家再生」(山と渓谷社)がある。ただいま自宅をセルフビルド建築中。大工仕事はお任せを!!
人力社HPは こちら

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