世界で寄り道日記

やってはいけない ガラパゴスの土産物探し

  • 文 中山茂大 写真 阪口克
  • 2016年6月13日

サンタクルス島のあちこちで見かけるガラパゴスアシカ

  • ガラパゴスの木工業を支えるサボテン

  • ガラパゴスゾウガメと記念撮影

  • ビーチの主のウミイグアナたち

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 世界自然遺産に登録されているガラパゴス諸島では、島内のいかなるモノも動かしたり拾ったり、あるいは新しいモノを置いてきたりしてはならないことになっている。大陸から遠く離れたゆえに残された貴重な生態系を守るためだ。

 しかし、せっかく名高いガラパゴスまでやって来たのであるから、「なにか記念に……」という出来心を抱く人は少なくないだろう。私もそのひとりであった。

 海岸で拾った拳大の石……いやもうちょっと大きかったかな。これを寝袋にくるみ込んで荷物に忍ばせた。空港ではもちろん預け荷物である。手荷物だと鈍器と間違われかねないからである。なに食わぬ顔をして荷物を預け、出国手続きを終えてコーラを飲んでいると、係官の男性が近づいてきた、

「ナカヤマ?」

「そ、そうですが……なにか?」

「カム」

 無表情な男性係員に従って税関カウンターを越えて奥へ。

「ああ、来た来た。あいつか」

 そこには「国立公園管理官」(確かそんな感じ)の腕章をした男性が数人、ニタニタ笑いながらこちらを指さしている。

「ナカヤマさん? あんた、荷物になんか隠してない?」

「……」

「ここのホラ、影になってるの。これ石なんだよね」

 管理官らはX線画像にハッキリ映り込んでる丸い影を指し示した。

 ……ダメだ。もうばれてる。

 観念して、荷物から寝袋を取り出して広げた。拳大より一回り大きな黒い石がゴロンと出てくる。

「オオ……」

 一瞬声が上がる。

「困るんだよね。こういうコトされるとさ」

 石を拾い上げながら、オジサンの管理官が言った。そして始末書みたいなのを取り出して、

「パスポート見せて」

 ああ。罰金か……いくらだろう。100ドルくらい取られるかもなあ。痛いなあ……。などと考えながら神妙な顔をしていると、

「ま、ウチらも警察じゃないからさ。罰金とかは払わなくていいんだけど。今後こういうことはしないようにね」

 オジサンは始末書になにやら書き込みながら、意外にもにこやかに言った。

「すいません……」

 そしてオジサンは、筆者が盗み出そうとした黒い石を背後の机の上にデンと置いた。そこには……おお。なんということか。過去に没収された、大小様々な「ガラパゴスの石」が、山のように積んであるのだった。

     ◇

 筆者は深く反省しております。読者の皆さんはこのようなことは決してしないと思いますが、お気をつけください。

(ガラパゴス編終わり)

ガラパゴス諸島への行き方

東京~キト(エクアドル首都)~ガラパゴス諸島往復航空券 26万4000円

入島管理料       10ドル

国立公園入園料    100ドル

合計         110ドル(1万2430円)

※取材は2011年。各種料金は2016年3月時点の情報です。

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PROFILE

中山茂大(なかやま・しげお)写真家

なかやま・しげお

人力社代表。在学中、南米アンデス6000キロをロバとともに縦断。「ロバと歩いた南米アンデス紀行」を著わす。卒業後、マンガ編集者を経てフリーの旅行作家に。
最新の著書は「 旅人思考でイスラムと世界を知る本」(言視舎)。奥多摩の自宅は、自らセルフリフォームした築100年の古民家。

阪口克(さかぐち・かつみ)

さかぐち・かつみ

2年間の広告写真スタジオ勤務を経て、オーストラリアへ渡る。オーストラリア大陸1万2000kmを自転車で一周。帰国後フリーカメラマン。
著作に、中山さんと共著の「世界のどこかで居候」(リトルモア)や、撮影を担当した「笑って!古民家再生」(山と渓谷社)がある。ただいま自宅をセルフビルド建築中。大工仕事はお任せを!!
人力社HPは こちら

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