極上のワイルドジャーニー

恐ろしげでユーモラスなマッドマン パプアニューギニア

  • パプアニューギニア・マウントハーゲン
  • 2016年10月18日

ポグラ村のマッドマンたち ©Trans Niugini

  • かわいい子どものマッドマン ©Yumi Yamaguchi

  • 火に葉をかざし和平を語るモカの儀式 ©Yumi Yamaguchi

  • スピリット・ドクターはこの石を使って診断する ©Yumi Yamaguchi

  • ハイランドショーには大勢の人が集まる ©Trans Niugini

  • 暮れなずむ時刻のテラスでくつろぐ ©Trans Niugini

  • ロンドンリッジから見るマウントハーゲンの夜景 ©Trans Niugini

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泥の仮面は亡霊の顔

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 多くの言語と民族がひしめくパプアニューギニアには、実に多彩なビジュアルの仮面やダンスが存在する。とりわけユニークで目を引くのが、マッドマンだろう。

 白い泥でできた巨大な仮面をすっぽりと頭にかぶり、体も泥で真っ白に塗った、文字通りの泥人間。恐ろしげでありながら、どこかユーモラスな顔は、亡霊を模している。

 発祥は、ハイランドの東部、ゴロカ郊外のアサロ渓谷とされるが、ロンドンリッジRondon Ridgeのあるマウントハーゲンにもマッドマンの伝統は継承されていて、見学することができる。

子どものマッドマンもいる

 ガイドが案内してくれたポグラ村には、次のような物語が伝わっている。

 その昔、大きな土地を持つ人数の少ない部族と小さな土地しか持たない人数の多い部族がいた。二つの部族は戦って、人数の多い部族が勝った。負けた部族は山に逃げたが、これではいけないと土地を奪い返すことにした。そこで川に行き、全身に泥を塗り、泥の仮面を被って変装し、ゆっくりと敵の村に入っていった。すると村人は「死者が帰ってきた」と思い、恐れて逃げ出した。

 マッドマンがゆったりと動くさまは、死者の亡霊というより、何ともユーモラスでかわいらしい。小さな子供のマッドマンもいて、これは文句なしにかわいい。

多彩なハイランドの文化

 マッドマンの物語が伝えるように多くの部族が暮らすパプアニューギニアでは、戦闘が絶えなかった。だが、戦いが終われば、友情と平和を保つ儀式もある。続いて見学したモカという儀式は、火をたいて葉をかざしながら歌を歌ってコミュニケーションをとり、和平を取り決めるものだと教わった。

 儀式を見せてくれた老人の1人は、スピリット・ドクターだという。石を用いて、精霊にお伺いを立て、病気を治す。代々世襲で秘技を継承してきたが、息子は継いでくれないと悲しそうに話す。

 失われていく文化もあるが、歌やダンスは今もしっかり継承されている。それらが一堂に会するのが、毎年8月、各地から多くの民族が集うハーゲンショーである。世界中からマウントハーゲンに観光客が集まる一大イベント。近年、とても人気が高まっているので、ハーゲンショー興味があるならば、かなり早めの問い合わせが必要だ。

 夕刻、観光を終えて山上のロッジ、ロンドンリッジに帰る。ほっとするひととき、夕闇の雲のかなたにマウントハーゲンの清楚(せいそ)な夜景が浮かび上がった。

<旅のデータ>

ロンドンリッジの紹介
http://www.pngtours.com/lodge6.html

日本での予約窓口
PNGジャパン
http://www.png-japan.co.jp/

日本からのアクセス:成田からポートモレスビーまで週2便(土・水)運航のニューギニア航空の直行便で6時間50分。

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PROFILE

山口由美(やまぐち・ゆみ)ライター

yamaguchi yumi

1962(昭和37)年、神奈川県箱根町生まれ。慶応大学法学部卒。海外旅行とホテルの業界誌紙のフリーランス記者を経て作家活動に入る。旅を主なテーマにノンフィクション、紀行、エッセイなど幅広い分野で執筆。欧米、アジアのほか、南太平洋、アフリカなど、世界各地を取材旅行で訪れる。2012(平成24)年、『ユージン・スミス 水俣に捧げた写真家の1100日』で第19回小学館ノンフィクション大賞を受賞。主な著作に『箱根富士屋ホテル物語』(小学館文庫)、『世界でいちばん石器時代に近い国 パプアニューギニア』(幻冬舎新書)、『熱帯建築家 ジェフリー・バワの冒険』(新潮社)など。

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