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安くて楽しく泊まれる 京都で新スタイルのホテルを体験

  • &TRAVEL編集部
  • 2017年8月3日

セミダブルベッドの幅が自分のスペース

「The Millennials(ザ・ミレニアルズ)」のベッドは、枕側がリクライニングで持ち上がり、ソファのように使える

 7月14日、京都市中京区河原町三条に、ちょっと変わったホテルがオープンした。“客室”はセミダブルベッド(120センチ)の大きさで、入り口にはドア代わりのスクリーンを下ろす。コンセプトはカプセルホテルに近いが、上下2段にはなっておらず、天井はゆったり。内装やベッドにはデザイン性と快適さを追求している。

 このホテルの名前は「The Millennials(ザ・ミレニアルズ)」。ミニマル(必要最低限)なライフスタイルを好む傾向にあるとされるミレニアル世代(1980年代以降生まれの世代)を主なターゲットにして名付けられた。1泊の価格はシーズンによって異なるが、6000円前後。この値段を高いと感じるか、安いと感じるか。京都市の繁華街ほど近くにあるこのホテルの泊まり心地を確かめた。

 チェックインすると、鍵の代わりにスマートフォン型の端末を手渡されて客室へ。女性専用が2フロア、男性専用が1フロア、性別制限なしが1フロアある。各階の入り口のドアは端末がなければ開かない。通路を進むと、枕側が持ち上がり“ソファ状態”になったベッドが並んでいた。マンガ喫茶の個室とも、カプセルホテルとも違う、初めて見る光景が面白い。

スマホでベッドをソファに変形して使う

「The Millennials(ザ・ミレニアルズ)」のフロアのイメージ写真(グローバルエージェンツ提供)

 ベッドは、マットが腰ぐらいの高さにあり、その下は、スーツケースがすっぽり入る引き出し式の収納だ。タオルや歯ブラシなどのアメニティー入りのバッグもそこに置かれている。このベッドは、枕側のマットが起き上がってソファのようになるリクライニング式。ソファ状態だと手前が引っ込み、立って着替えができる空間が生まれる設計だ。大柄の人だとちょっと大変そうだが、問題なく着替えられる。

 寝転がってみると、マットはほどよい弾力で快適だ。幅120cmのベッドのすぐ横は壁だが、圧迫感はなかった。床から2.3メートルある天井までもゆとりがあるためだろう。これなら、朝起きて体を起こして頭をぶつける、カプセルホテルでありがちな失敗とは無縁だろう。ベッドのリクライニングはタイマー設定ができて、静かに、しかし確実に目を覚まさせてくれる。実際に使ってみると、それほど傾きが進む前に目が覚めた。

 照明やタイマーの操作も、すべて鍵代わりの端末を使う。ベッドを離れる時は、スクリーンを下ろして鍵(こちらは物理的な錠前)をかける仕組みだ。天井にプロジェクターがついていて、スクリーンの裏側に自分のスマホなどの映像を映し出すことができる部屋もある。同ホテルは、この客室を「スマートポッド」と名づけている。4フロアに計152室あり、各階に4個ずつシャワーブースがある。フロントで貸してくれる寝間着も、部屋着として使いたくなるようなデザインで、肌触りも良かった。

充実の共用スペース、宿泊者同士の交流も狙い

広々とした「The Millennials(ザ・ミレニアルズ)」の共用スペース

 寝る空間も独特だが、共用スペースの広さも印象的だ。ゆったりしたソファセットがいくつもあり、長机が二つに、キッチンカウンターも見える。奥にはオフィス用机と椅子が並んだ部屋も見える。照明やインテリアもカフェ風だ。眠るまでの時間、ほかの宿泊客と交流したり、仕事したりと自由に過ごすために、面積の20%を共用スペースにさいて充実させたそうだ。ここではパンとコーヒーの簡単な朝食も用意され、夕方にはビールも提供される。

 運営するグローバルエージェンツ(本社・東京)は、首都圏でソーシャルアパートメントを経営し、ライフスタイルホテル事業も手がける。山崎剛社長は「体験に価値を求めるミレニアル世代をターゲットとして考えている。中途半端な広さの部屋で眠るだけなら、いっそ狭くてよいのではないかという発想です。眠るまでは共用スペースで思い思いに過ごしていただきたい」と話す。

 同社はこのホテルの共用スペースを、主に個人事業者向けのワークスペースとしても貸し出す。月額契約で、24時間好きなだけ利用できる。同社は、同じ形式のホテルを来年1月、東京・渋谷でもオープンする計画だ。

本棚の中で眠れるホテル

BOOK AND BED TOKYO 京都店。この大きな本棚は、客室でもある

 もう一つ、京都で訪れたい宿があった。こちらは京阪祇園四条駅に近いビル内にある「BOOK AND BED TOKYO-KYOTO」。「泊まれる本屋」をコンセプトに東京にオープンしたホステルが、昨年12月に京都に進出した。

 こちらは木製の大きな本棚の一部が、客室(寝床と呼ぶ方がしっくりくる)になっている。宿泊者は、約3000冊の本から好きな本を選んで、自分の客室やソファでゆっくり読み、そのまま眠ってしまえる。鴨川や京都四條南座がのぞめる眺めもなかなかだ。京都の観光や歴史についての本が人気で、これからも充実させていくそう。

これが本棚の間につくられた客室

 宿泊者の内訳は、京都や大阪など関西と、国内の別の地域、海外からがほぼ同じ割合だそうだ。価格はスタンダードが1泊4800円から。シーズンによって変動する。午後1時~8時には、1時間540円で利用できる。京都観光の合間にちょっと一休みしていく人もいるそうだ。

 支配人の山元咲奈さんは「20代から30代の女性グループでの利用が多く、写真を撮り合ってインスタグラムに投稿してくれています。ちょっとした異空間になっているので、興味のある方はぜひ見に来てください」と話している。

窓から京都の名所をのぞめる

 訪日外国旅行者の増加もあって、国内のホテル価格は上昇している。今回見た二つの宿は、値段の安さというよりも、SNSで発信したくなる宿泊体験ができる点が魅力だ。宿泊費は抑えたいけれど、せっかくだから旅の思い出になるような場所に泊まりたい。そんな旅行者の要望に応える宿は、これからも増えていきそうだ。

(文・&Travel編集部)

・The Millennials
所在地:京都市中京区河原町三条下ル山崎町235Gビル京都河原町01

・BOOK AND BED TOKYO -KYOTO
京都市東山区中之町西入ル200 カモガワビル9階

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