今しかできない京都、夏旅 〜文化財特別公開2017~

  • 文・写真 五月女菜穂
  • 2017年8月22日

 「近代の名建築」や「眺望」、「庭園の美」などをテーマに、通常は非公開の七つの文化財が9月30日まで特別公開されています。今回は特別公開のうち「大雲院祇園閣」と「京都大学花山天文台」、「本野精吾邸」の三つのスポットをご紹介します。

エキゾチックな昭和建築、大雲院祇園閣

大雲院祇園閣

 円山公園の南にある大雲院は、1587年に織田信長・信忠親子の菩提(ぼだい)を弔うために創建された寺院です。普段、敷地内は一般公開されていないお寺です。

 その大雲院にある祇園閣は、祇園祭の鉾(ほこ)をモチーフにした外観で、ひときわ個性的な建物。高さ36メートル、鉾先のツルが目立ちます。大倉財閥創始者の大倉喜八郎の別邸の一部だった祇園閣は、今年生誕150年を迎える建築家伊東忠太(1867-1954)の設計による昭和初期の建築です。国登録有形文化財にも登録されています。

大雲院祇園閣の内部 ※今回は取材のため特別に撮影をさせていただきました。通常は祗園閣内は撮影禁止です

 祇園閣の中に一歩入ると、そのエキゾチックな雰囲気に驚きます。1階から3階までの階段沿いに、敦煌(とんこう・中国甘粛省のオアシス都市)の莫高窟壁画(ばっこうくつへきが・莫高窟は世界遺産にも登録されている仏教遺跡)が模写されているのです。おどろおどろしい色彩にエキゾチックな雰囲気を感じることができるでしょう。

大雲院祇園閣からの眺め。祇園閣の最上階からは京都市内を一望できます。回廊になっているので360度、景色を楽しめます ※今回は取材のため特別に撮影をさせていただきました。通常は祗園閣内は撮影禁止です

大雲院の敷地内には、織田信長・信忠の墓や、石川五右衛門の墓もあります。こちらは織田信長・信忠の墓

石川五右衛門の墓。五右衛門にちなんで、5円玉を供えて「ご縁」を求める人も多いそうです

大雲院の御朱印も頂きました。右上に「祗園閣」の朱印が押されています

【文化財特別公開 大雲院祗園閣】
※9/26(火)は拝観休止
住所:京都市東山区祇園町南側594-1
拝観時間:10:00~16:00(受け付け終了)
拝観料:大人600円(小学生300円)
アクセス:市バス206系統「東山安井」下車、徒歩約5分

日本天文学の礎を築いた天文台、京都大学花山天文台

京都大学花山天文台

 京都市中心部から少し離れた、市内東部にある東山連峰山中にひっそりと佇む京都大学花山天文台。1929年、日本で2番目に設立された大学天文台として知られています。初代天文台長の山本一清教授(1889-1959)の天文学普及活動のおかげで、「アマチュア天文学の聖地」と呼ばれることもあります。

 直径9メートルのドームがある本館には、国内で3番目の大きさの屈折望遠鏡があります。今回の特別公開は昼間の公開なので星の観察はできませんが、間近で見られる望遠鏡は天文学ファンの心をくすぐります。

 本館からは京都の街を見下ろせる眺望も楽しめます。天気のいい日は大阪のあべのハルカスや梅田スカイビルなど高層ビル群が見えることもあるそうです。その他、開設当初に建てられた歴史館も敷地内にあり、博物学的に意義のある古い観測装置や天体観測資料などが展示されています。もともと時刻を正確に測るための子午線館(しごせんかん)として使われて、大正から昭和の洋式木造建築としても貴重な建築物です。

京都大学花山天文台にある屈折望遠鏡

京都大学花山天文台から見える景色

【文化財特別公開 京都大学花山天文台】
住所:京都市山科区北花山大峰町
時間:10:00~16:00(受け付け終了)
料金:大人800円(小学生400円)
アクセス:地下鉄東西線「蹴上駅」下車、1番出口からタクシーで約5分・地下鉄東西線「東山駅」から花山天文台間の無料シャトルバス(運行スケジュールはhttp://www.kyokanko.or.jp/natsu2017/jikoku.html

日本最初のモダニズム建築、本野精吾邸

本野精吾邸

 日本のモダニズム建築の先駆けとされ、大正から昭和にかけて活躍した建築家・本野精吾(1882-1944)の元自邸です。本野氏は、第2次世界大戦前のドイツで建築を学び、京都市考古資料館(京都市上京区)や京都工芸繊維大学3号館(京都市左京区)などを手がけたことで知られています。

 今回公開となっている本野氏の邸宅は、立命館大学の東門すぐそばにあります。自ら設計して1924年に建てたもので、日本最初のモダニズム建築作品とも言われています。コンクリートブロックをそのまま使用した外観や玄関ポーチ、ブドウをデザインした暖炉や明かりとりの天窓など随所に見どころがあります。

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【文化財特別公開 本野精吾邸】
住所:京都府京都市北区等持院北町
時間:10:00~16:00(受け付け終了)
料金:大人600円(小学生300円)
アクセス:市バス50系統「立命館大学前」下車徒歩約4分

 今回の文化財特別公開の詳細はこちらでご確認いただけます。

「第42回京の夏の旅」

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PROFILE

五月女菜穂 (そうとめ・なほ)

そうとめ・なほ

 1988(昭和63)年生まれ。東京都出身・在住。朝日新聞記者として地方を転々とした後(新潟→青森→京都)、2016年からフリーライター。2017年1~3月に弾丸世界一周。  公式HP

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