世界美食紀行

フィリピンの本格ウェルネスリゾート「The Farm」で本気の体質改善

  • 文・写真 江藤詩文
  • 2017年10月16日

朝はたっぷりのフルーツと野菜からスタート。スイカときゅうりのジュースにハーブティ、10種類以上の野菜とナッツのサラダ、フルーツプレート(本来は盛り合わせですがマンゴーを注文)。自家製グラノーラやパンケーキも付きます

 朝いちばんで採血をして、主に赤血球から体調を調べ、2時間もかけて専属ドクターとマンツーマンのカウンセリングが始まりました。ここはマニラ郊外の「バタンガス」という地域にあるウェルネスリゾート「The Farm at San Benito(ザ・ファーム・アット・サン・ベニート)」。「食・環境・心身との対話」の三つのアプローチで身体を本来の健やかな状態に戻す、がコンセプトのフィリピンを代表する本格ウェルネスリゾートです。

光あふれるカウンセリングルームで私を担当してくれたドクター・ミシェル。日本語の資料も用意されていますが、日本語を話すドクターはいないため、症状を説明する簡単な英語をあらかじめ調べておくと、よりパーソナルなプログラムづくりに役立つそうです

 空港からマニラ市内の渋滞を通過することなく、直接こちらを目指せば送迎車で約1時間半。日本からの場合、到着は夕方から夜になるため、初日は軽い食事をとってのんびり過ごし、翌朝まずカウンセリングを受けてから本格的なプログラムがスタートします。カウンセリングでは現在の体質や体調を把握するほか、生活習慣から問題点を洗い出し、リゾート滞在の目的と達成したい目標を決めます。そして、日常に戻った後も継続できる自分に合ったセルフケア方法を見つけ出します。

「心が喜ぶから」と理由をつけてオーガニックの赤ワインでディナータイム。ビーガン料理とはいってもリッチな気分でリゾート滞在を楽しんでもらうため、見た目にも美しい日替わりのフルコースも用意されています。こちらはロウフードとクックフードの盛り合わせ

 リゾートの三つの柱のうち「食」はビーガン。つまり肉魚はもちろん牛乳、チーズ、卵なども使わない完全な菜食です。敷地内にはココナツプランテーションやオーガニックファームがあり、ココナツオイルやココナツウォーターなどココナツ系は100%、食材の約半分を自家農園から調達。そのほかは地域の契約農家からオーガニック野菜のみを仕入れています。

 野菜やフルーツ、ナッツといった食材で構成されたメニューは、ロウフード(加熱しない)とクックフード(加熱する)に分けられ、体質によって選ぶことになります。私は1日3食を推奨されましたが、人によっては1食をスムージーに置き換えることを勧められていました。

ジャングルに囲まれたプライベートヴィラ。私が滞在したのは温水のプライベートプール付き。室内は大きなデイベッドやソファ、テラスにもデイベッドとゴロゴロするスペースがたくさん。独立したシャワーとバスタブのあるバスルームも広々としています

 ふたつめの柱の「環境」は、リゾートの周囲ほぼすべてがまったく開発されていないジャングルということ。客室は独立したヴィラタイプが中心で、プライベートプールを眺めながらデイベッドでくつろいでいると、鳥やら子ねこやらトカゲやら、お客さんが多いこと。ペットとして飼われているクジャクやアヒルが人を恐れる様子もなく目の前を横切るのにも、虫やトカゲにも2日目には慣れました。

リゾート内には三つのプールのほか、観賞用の噴水や池が本来の地形を生かして配されています。水には心を穏やかにする効果があるそう。正面がヨガ用、左手は瞑想用のスペース。ヨガは1日4クラスほど行われ、ゲストは無料で参加できます

 三つめの「心身との対話」。これはちょっぴり複雑で、ドクターいわく「リゾートのスタッフは身体の疲れを取り除くことはできるけれど、心のケアはサポートまでしかできない」とのこと。ただしヨガやメディテーションなど多くのプログラムが毎日無料で行われ、敷地内には滝のプールの前やマンゴーの木の下など、瞑想(めいそう)するための場所がたくさんあります。ここでひとり静かに自己対話を重ねるのが理想ですが、Wi-Fiも完備されていて、スマホが気になってストレスになるなら見ていて構わないとか。

朝と夕方には敷地を出て、地元の村まで往復約6キロを1時間かけて歩く「パワーウォーク」が行われます。リゾートでは地元の雇用を促進するため、積極的に地元出身者を採用しているそうで、ガイドしてくれたスタッフもこの村の出身者でした

 そんなリゾートのコンセプトに共感して、毎年のように訪れるリピーターもいます。私が出会ったのは、毎年同じ時期に4週間(!)も滞在しているというオーストラリア人ご夫婦。ご主人が経営者で会食が多いため、ジュースファスティング(ジュースだけはOKのプチ断食)も組み込みながら10キロ体重を落とすのが目標だそう。毎回9〜10キロの減量に成功し、1年かけて6〜7キロリバウンドし、またここへ来て9〜10キロの減量に成功するという繰り返しですが、ここに通う前と比較すると10キロ近くやせたそう。

ランチはルームサービスでのんびり。いま話題の「糖質制限」とは正反対のメニューなのでドクターに尋ねると、このリゾートでは、オーガニックの穀物やイモ類は人間にとって消化しやすく、内臓に負担が少ないと考えているそう。不安な場合は低糖質のビーガン料理も用意できるそうです

 さて、私の血液の状態は5段階評価で4。飽食のわりに食べているものはさほど悪くなく、筋肉を動かすことで理想の状態に近づけるという先生の診断でした。実はここに来るにあたって禁酒も覚悟したし、苦手な運動にも取り組むつもりでした。私の生活習慣の最大の問題点だと自覚していたからです。ところが、我慢は精神を疲弊させるし、好きではないことは続かないから無理をせず楽しくセルフケアするというのがここの考え方。フィリピンでは「ラクで楽しい」ことが人生でもっとも大切とされているそうで、このリゾートでもそれを追求しています。

これまでのスパ施設に加えて、7月に新しいトリートメントエリアが増設。ヘアカットからネイルまでトータルで全身を整えて日常に復帰できます。私が受けたのは、ハーブ湯、ハーブ蒸し、ハーブマッサージの3時間コース

 自制心の強い方には軽蔑されそうですが、「ラクで楽しい」が最優先されるのって私にはとても心地いい。つまり私の場合、禁酒は不要。ただし心の声を聞きながら、心が喜ぶ上質なお酒を味わうのはOKですが、身体の声を無視して飲み続けるのはNG。要するに二日酔いになるほど飲むなってことですね。

 また、運動にいたっては、これまでの人生でたったひとつも続けられることがありませんでした。そんな私にドクターが見いだしてくれた解決法は、なんとマッサージ。マッサージで筋肉を動かしてもらうと意識するだけでも、身体の状態は改善されるそうです。マッサージなら大好き。「ドクターのお墨付き」を言い訳に、これからますますマッサージ通いにはまってしまいそうです。

新設したエリアにはこんなスペースも。カウンセリングで、私は水につかることも好きだとドクターに指摘されました。泳がなくてもこういったマシンを利用したり、温泉に行って反復入浴をしたりするだけでも、継続すれば体調の改善に役立つそうです

■トラベルデータ

日本からフィリピンのマニラへはLCC(格安航空会社)を含め複数の航空会社が直行便を運航している。成田からマニラへの飛行時間は約4時間50分。公用語はタガログ語、共通語は英語。時差はマイナス1時間。通貨はフィリピンペソで1ペソ=約2.7円。
*データは2017年4月と10月取材時のもの

■MEMO:旅と日程

「ザ・ファーム・アット・サン・ベニート」に、私は2泊3日で滞在しましたが、リゾートでは無理のないゆるやかな体質改善を行っているため、この日数では短すぎて数値で示せるほどの急激な成果は得られませんでした。ドクターいわく、はっきりした成果を求めるなら一週間以上の滞在が望ましいとのこと。せっかく行かれるなら、長めのスケジュールを組むことをおすすめします。

■取材協力:

フィリピン政府観光省

フィリピン航空

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PROFILE

江藤詩文(えとう・しふみ)トラベルジャーナリスト

江藤詩文

トラベルジャーナリスト、フードジャーナリスト、コラムニスト。その土地の風土や人に育まれたガストロノミーや歴史に裏打ちされたカルチャーなど、知的好奇心を刺激する旅を提案。趣味は、旅や食にまつわる本を集めることと民族衣装によるコスプレ。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~」シリーズ3巻。「江藤詩文の世界鉄道旅」を産経ニュースほかで連載中。

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