京都ゆるり休日さんぽ

京都の手仕事を体験!「金網つじ」でマイ・とうふすくいを作ろう

  • 文・大橋知沙
  • 2018年1月12日

一念坂に面した直営店。定番の調理道具などのほか、コーヒードリッパーなどモダンな品もそろう。

 目にも美しい手仕事の技と使い勝手の良さで、国内外から評価される京都の職人の工芸品。家事や食事は毎日のことだからこそ、お気に入りの道具があるだけでグッとモチベーションが上がります。そんな京都の手仕事の品を、現役の職人に習いながら自分で作ることができる「手仕事体験」なら、仕上がった道具への愛着もひとしお。外国人旅行客の増加にともない多彩な体験が各地で開かれるなか、23年前から実施されているという「金網つじ」の製作体験を訪ねました。

美しい網目にうっとりする盛り網。花のような中央の編み方は「菊出し」と呼ばれる技法。

 高台寺にほど近い一念坂に店舗を構える「金網つじ」は、手編みで編み立てる京金網の専門店。茶こしや焼き網といった調理道具から、京料理に欠かせない揚げ物用盛り網、とうふすくいなど、丈夫で美しい金網工芸がそろいます。

菊の紋と八角形が美しい「とうふすくい 八角」(7560円・税込み)は、プロならではの技術が光る逸品。

 店舗の2階で実施される製作体験で作ることができるのは、湯どうふや鍋物に重宝する「とうふすくい」。窓からは「八坂の塔」が見える絶好のロケーションで、金網つじの2代目・辻徹(つじ・とおる)さんをはじめとする現役の職人に教わりながら、自分の手で編んでいきます。

製作体験を行う部屋の窓からは、情緒あふれる町並みと八坂の塔が見える。

「この体験をはじめて23年になりますから、京都の“体験もの”のなかでもかなりの古株やと思います。難しそうに見えるかもしれませんが、小学4年生くらいからできる基本的な作り方。自分で手を動かすことで、僕ら職人がどんなふうに道具を作っているのかを知ってもらえたら」。明るい口調でそう話す辻さんは、京都の伝統工芸に携わる職人6人によるグループ「GO ON(ゴオン)」の一人として国際的に活躍する金網職人。レゲエを愛し、ヒップホップ系のアパレル会社やジャマイカ滞在を経て家業を継いだという、異色の経歴を持つ職人でもあります。

体験で作るとうふすくいは、最もシンプルな亀甲編みで仕立てるもの。細い針金を交差させて編んでいく。

 そんなアットホームな雰囲気で作ることができる体験ですが、作業を進めていくうちに自然と集中し、気づけば黙々と手元を見つめているなんてことも。あらかじめ用意されたとうふすくいのフレームに、針金を交差させながら亀甲(きっこう)の網目を作っていくのですが、均一に、たわむことなく仕上げるためには、力や角度に絶妙なさじ加減が必要だとわかります。

所要時間は1時間ほど。編み終わりの処理は工房で行い、完成品は後日郵送となる。

「こうして作業をしていると、いつのまにか没頭しているでしょう? そういう時間を体験することで、ものづくりのおもしろさや大変さを味わえる。『京都でこういうもんを作ったな』って記憶は、子どもでも忘れませんから」と辻さん。小学生でも取り組めるシンプルな技術を用いながらも、プロの職人の集中力を味わえ、京都らしいみやびな道具ができあがる。この体験が長く愛されている理由は、そんなところにあるのかもしれません。

繊細な網目の影まで美しい照明。洋のインテリアにも優しく溶け込む。

 1階の店舗には、台所や食卓まわりの道具のほか、現代のライフスタイルにも合う雑貨やインテリア小物も多数。工房直営だからこそできるお手入れや修理など、長く使い続けるためのアフターケアも引き受けています。自分の手で作る楽しさを体験した後は、プロの手仕事の素晴らしさをより実感するはず。新しい年の毎日を、丁寧に作られた京都の手仕事の品とともに、歩んでみてはいかがでしょう。(撮影/津久井珠美)

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【高台寺 一念坂 金網つじ】
075-551-5500
京都市東山区高台寺南門通下河原東入桝屋町362
10:00〜18:00(とうふすくいつくり体験は10:00〜17:00の間で要予約)
体験料:4320円(税込み)
不定休(夏季6/22〜8/31・冬季1/18〜2/15は水曜定休)
市バス清水道または東山安井停留所から徒歩5分

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PROFILE

大橋 知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブック、カフェ、雑貨などのムック本・書籍を中心に取材・執筆を手がけるほか、手仕事や印刷の分野でも書籍の編集に携わる。主な編集・執筆に『恋するKYOTO雑貨』(成美堂出版)、『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

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