絵本のぼうけん

世田谷文学館「いきものたちの音がきこえる」―ミロコマチコの世界へ出かけよう

  • 文・長嶺今日子
  • 2018年1月30日

『けもののにおいがしてきたぞ』作・絵:ミロコマチコ(岩崎書店)

 今、世界で注目されている画家ミロコマチコさん。絵本作家としてのデビュー作『オオカミがとぶひ』(イースト・プレス、2012年)の日本絵本賞大賞をはじめ、『てつぞうはね』(ブロンズ新社、2013年)、『ぼくのふとんは うみでできている』(あかね書房、2013年)、『オレときいろ』(WAVE出版、2014年)と、4作連続で国内外の主要な絵本賞を受賞しました。でも子どもたちは当然ながらそのようなことは知らず作品に出会います。絵の迫力に目をまんまるにして、じっと息をひそめる子、お話の途中から勇ましい顔で足踏みする子、きょとんと不思議そうな顔をしている子。子どもたちの感情や内に秘めているパワーと、ページからあふれんばかりのミロコさんのエネルギーがつながる時、その瞬間こそがミロコワールドの魅力なのです。

『オオカミがとぶひ』(イースト・プレス)、『てつぞうはね』(ブロンズ新社)、 『ぼくのふとんは うみでできている』(あかね書房)、『オレときいろ』(WAVE出版)全て著:ミロコマチコ

 2016年から京都、静岡、長崎と全国を旅してきた展覧会「いきものたちの音がきこえる」が、2018年1月20日より東京・世田谷文学館(世田谷区)ではじまりました。展示は、動物たちの息づかいが伝わる「大地をふみならす」、鳥や虫たちを描いた「そらを吹く」、ヘラジカを描いた大型作品を含む「ひびく夜」、力強い草花の成長を表現した「芽生えのうた」、そして身近な生き物を捉えた「庭のこえ」の5つの章で構成。絵本原画、立体作品、人形など多彩な作品約150点以上に最新作を加えて展示されています。絵本の原画は上記作品の他、ブラティスラヴァ世界絵本原画展2017金牌を受賞した『けもののにおいがしてきたぞ』(岩崎書店)、『つちたち』(学研)、最新作『まっくらやみのまっくろ』(小学館)も展示されています。

『つちたち』(学研)、『まっくらやみのまっくろ』(小学館)著:ミロコマチコ

 絵本の原画を大きなスケールで目のあたりにすることは、子どもたちにとってはとびきりの体験です。ぜひ絵本のページを飛び出して、迫力ある原画の世界を冒険してみてください。展示の中に小さな部屋があり、そこでは会期中にミロコさんが制作活動もされるようです。世田谷文学館の一階には、伊勢丹クリスマスキャンペーン(2014年)で制作された大きなクマがお出迎え。一緒に写真を撮ることもできます。ミロコさんが日課にしている“ネコ散歩”の主役たちも、建物入口で待っています。「私たちも動物たちと同じように生きていることを感じてもらえたらうれしい」と話すミロコさんの思いが会場のいたるところに感じられる展覧会です。

『オレときいろ』(絵本原画)2014年

<旅のメモ帳>

展覧会「ミロコマチコ いきものたちの音がきこえる」
会期:2018年1月20日(土)〜4月8日(日)
会場:世田谷文学館(東京都世田谷区南烏山1-10-10)
展覧会詳細は世田谷文学館のHPにて。
世田谷文学館へは京王線「芦花公園」駅下車、徒歩5分。昨年、館内にオープンしたライブラリー「ほんとわ」は世田谷ゆかりの文学者や作品に関する本が集められた空間。ミロコさんの絵本も楽しめます。少し足を伸ばして、季節の花々が楽しめる都立蘆花恒春園もおすすめです。

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PROFILE

長嶺今日子(ながみね・きょうこ)

子ども一人ひとりの個性に合わせて絵本を選び届ける「ブッククラブえほんだな!」主宰。子育て支援のイベントやライブラリーの選書も手がける。また、多言語による読み聞かせ活動にも長年携わっている。「ブッククラブえほんだな!」

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