京都ゆるり休日さんぽ

小さな春の訪れを見つける、京都・梅の名所めぐり

  • 文・大橋知沙
  • 2018年2月9日

 長い冬を越え、一番に花を咲かせて春の訪れを予感させてくれる梅の花。梅にも桜同様、早咲きや遅咲き、珍しい色の花など、さまざまな種類があることをご存じですか? まだ寒さの厳しい2月の京都に春一番を告げる、梅のたよりを探しに出かけましょう。

早咲きから遅咲きまで。咲き継ぐ梅を楽しむ「梅宮大社」

京都・西の梅の名所「梅宮大社」。猫の神社としても知られ、境内のあちこちに看板猫たちがくつろぐ姿も見られる。(画像提供:梅宮大社)

 子宝・安産祈願の神社としても知られる右京区の「梅宮大社(うめのみやたいしゃ)」は、境内に約35種・450本もの梅が咲く名所。さまざまな品種の梅が咲き誇る梅林の西神苑、「芦(あし)のまろや」と呼ばれる茶室や咲耶(さくや)池を梅が彩る東神苑など、小さな春の姿を見つけながら散策したいものです。

早咲きから遅咲きまでさまざまな品種が咲き継ぐ梅林。紅白を咲き分ける「想いのまま」、「春日野」など珍種も。(画像提供:梅宮大社)

 12月末ごろから咲き始めるという極早咲きの「冬至梅」を皮切りに、2月中旬ごろには多くの梅が開花し、遅咲きの品種では3月下旬ごろまで楽しめるものも。3月の第一日曜日に開催される「梅・産(うめうめ)祭」では、子宝・安産祈願のほか、神苑の梅で作った梅ジュースがふるまわれます。

東神苑の咲耶池(さくやいけ)の島は、梅津の情景をしのばせる『百人一首』の源経信の歌にちなみ「芦のまろや」と呼ばれる。(画像提供:梅宮大社)

【梅宮大社】
075-861-2730
京都市右京区梅津フケノ川町30
9:00〜17:00(16:30受け付け終了)
拝観料:境内無料(神苑は大人550円、小人350円)
阪急嵐山線松尾大社駅から徒歩10分
http://www.umenomiya.or.jp

ゆったりと春の訪れを味わう、小野小町ゆかりの寺「随心院」

遅咲きの八重紅梅に囲まれたこみちを歩く、「随心院」の小野梅園。ほんのり梅の香りに包まれる。(画像提供:随心院)

 平安時代の歌人・小野小町(おののこまち)の史跡が境内に残る「随心院(ずいしんいん)」。「はねずの梅」と呼ばれる薄紅色の梅をはじめ、約200本もの八重紅梅にほんのりと染まる小野梅園は、遅咲きの梅の名所として知られています。開園は、梅の開花する3月1日から。

地元の子どもたちによる「はねず踊り」の一幕。2018年は3月25日(日)開催。(画像提供:随心院)

 3月最終日曜日に開催される「はねず踊り」は、小野小町の元に百夜通ったという深草少将とのエピソードを題材にした踊り。薄紅色の衣装に身を包んだ子どもたちが童謡を歌いながら可憐(かれん)に舞い、観梅(かんばい)客の目を楽しませてくれます。

梅のモチーフに小野小町の歌がつづられた絵馬。恋愛成就などを願う参拝客も多い。(画像提供:随心院)

【随心院】
075-571-0025
京都市山科区小野御霊町35
9:00〜17:00(16:30受け付け終了)
拝観料:本堂大人500円/梅園大人500円(はねず踊りと観梅:大人1000円)
地下鉄東西線小野駅から徒歩5分
http://www.zuishinin.or.jp/

世界遺産「元離宮 二条城」を彩る梅の園

「元離宮 二条城」城内南西部の梅林には、約130本、さまざまな品種の梅の花が咲き誇る。(画像提供:元離宮 二条城)

 徳川幕府の栄枯盛衰(えいこせいすい)を見守ってきた「元離宮 二条城(もとり きゅう・にじょうじょう)」。早春に訪れるなら、その歴史的遺産とともに多彩な品種の梅が咲く梅林もぜひ鑑賞したいところ。1本に紅白の花を咲き分ける「源平(げんぺい)咲き分け」をはじめ、紅梅、白梅、桃色梅と美しいグラデーションが梅林を包みます。梅林からは内堀や天守台も望め、この季節ならではのフォトジェニックな景色を描き出します。

1本の木に紅白2色の花を咲き分ける「源平咲き分け」に、多くの観梅客が足を止める。(画像提供:元離宮 二条城)

 また、大政奉還(たいせいほうかん)の舞台となった二の丸御殿の大広間一の間・二の間をはじめ、江戸時代の武家風 書院造りの建築美、狩野派の障壁画など、城内も見応え十分。当時の武人たちの文化を知る貴重な手がかりとなっています。

15代将軍・徳川慶喜(とくがわよしのぶ)が大政奉還を発表した、二の丸御殿の大広間ほか、城内には見どころがたくさん。(画像提供:元離宮 二条城)

【元離宮 二条城】
075-841-0096
京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
8:45〜17:00(16:00受け付け終了)
休城日は要問い合わせ
入城料:大人600円、中高生350円、小学生200円
地下鉄東西線二条城前駅から徒歩5分
http://www2.city.kyoto.lg.jp/bunshi/nijojo/

 現在のように「春の花=桜」というイメージが定着するのは平安時代以降で、奈良時代までは、貴族を中心に梅が春を象徴する花として好まれていたそうです。一足早く春を迎えに行くつもりで、「梅見」に出かけるのも粋なものですね。

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PROFILE

大橋 知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブック、カフェ、雑貨などのムック本・書籍を中心に取材・執筆を手がけるほか、手仕事や印刷の分野でも書籍の編集に携わる。主な編集・執筆に『恋するKYOTO雑貨』(成美堂出版)、『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

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