京都ゆるり休日さんぽ

人気ブロガーの愛用品が並ぶ「器と暮らしの道具店 おうち」

  • 文・大橋知沙
  • 2018年2月16日

主婦業のかたわら、著書やブログ・SNSで暮らしのアイデアを発信する店主の田中千恵さん。手にしているのは阿部春弥(あべ・はるや)さんの器。

 桜の名所・平安神宮沿いの通りの一角に、まるでこの場所で暮らしが営まれているかのような一軒家の雑貨店があります。その印象のとおり、「器と暮らしの道具店 おうち」と名付けられたこの店は、暮らしまわりの人気ブロガー・田中千恵(たなか・ちえ)さんが手がける雑貨店。京都に生まれ育ち、育児と介護で忙しい日々を送りながらも、お気に入りの道具で家事を楽しむ様子をブログにアップすると、たちまち評判に。ブログを元に日々の暮らしをつづった著書を4冊発表し、累計9万部を売り上げるほどの人気ブロガーになりました。

岡崎通沿いにたたずむ一軒家の雑貨店。個人宅のようなアットホームな雰囲気が魅力。

 現在は発信の場をインスタグラムに移し、2015年7月、夢だったという雑貨店をオープン。田中さんが自身の暮らしの中で使用し、使い心地やたたずまいの良さを実感したものを中心に、さまざまな器や道具を扱っています。

レジ横のクッションが愛犬・心ちゃんの定位置。平日はお店に連れてくることが多いそう。

 玄関の小上がりをそのまま残した入り口を入ると、愛犬の心(こころ)ちゃんがちょこんとお出迎え。古い民家の雰囲気を生かし、レトロな古家具や作り付けのキッチンに田中さんの選んだ日用品が並びます。靴を脱いでスリッパに履き替え、生活の気配を感じる空間に迎えられる体験は、まさに友人の「おうち」を訪れたよう。

最新刊『忙しくても家事を楽しむ小さな工夫』(KADOKAWA刊)はじめ、田中さんの著書が並ぶ。

 「家族の記録を残したいという気軽な気持ちで始めたブログが、思いがけず多くの方々の目に留まり、本などを出させていただくうちに、20代の頃からの夢だった『お店を始めたい』という思いが強くなりました。そんな時、外観や間取りがとても好みのこの物件に出合って、決意が固まったんです。まずは週4日、自分のできる範囲でお店をやってみようって」

作家ものの品のほか、「辻和金網」「公長齋小菅(こうちょうさいこすが)」といった京都の手仕事の道具も並ぶ。

 とはいえ、販売員の経験がなかった田中さんにとって、店づくりは何もかも初めてのこと。オープンにあたり、ご主人と二人三脚で作家に連絡をとり、足を運び、その熱意に応える形で多くの作り手が作品を提供してくれることになりました。

茶こしと湯飲みをざるにセットするなど、田中さんが実践する暮らしのアイデアがあちこちに。

 「かごやざるが大好き」という田中さん。店内にはさまざまな素材やサイズ、地域や作り手によって意匠の異なるかご・ざる類が並びます。そのディスプレーにも暮らしに取り入れられそうなアイデアがたくさん。お茶の道具をひとまとめにしたり、おしぼり入れやお皿として使ったりと、ブログや著書で紹介している田中さん流の活用法を、実物で見て触れることができます。

自宅で愛用する器やこれから使いたいと思っている作家の品など、普段の食卓で気負いなく使える器がそろう。

 「手仕事の品には、プラスチックや金属の量産品にはないぬくもりや、使い込むうちににじみ出る味わいがあります。お手入れに少し手間はかかりますが、その時間も楽しみの一つ。手をかけることで、いっそう愛着がわくんです」

田中さんお気に入りの、編み目が美しい大橋重臣(おおはし・しげおみ)さんの竹ざる。店頭でも人気のひと品。

 そう話す田中さんの口調には、「家事=面倒」と捉えず、道具に愛情を持つことで楽しみへと変えてきた、自身の経験に基づく説得力があります。育児や介護といった時間の制約の中でも、暮らしの楽しみを見つけ、好きなことを実現する田中さんの姿に共感する人も多いそう。

のれんをくぐると土間があり、靴を脱いで店内へ。この「おじゃまします」感も楽しい。

 SNSやブログを通じて発信される、京都在住の一人の主婦の、暮らしを楽しむ知恵と道具。画面越しに見ていたその暮らしの風景に、小さなおうちの玄関をくぐって会いにきてください。器やかご、毎日使う茶こし一つ変わるだけで、暮らしがちょっと豊かになるかもしれません。(撮影/津久井珠美)

【器と暮らしの道具店 おうち】
075-751-7550
京都市左京区岡崎北御所町50-1
火・水・土・日曜のみ営業(10:30~16:00)
月・木・金曜定休
※営業日・時間ともに変更あり。詳細はインスタグラム(@ouchi_kyoto)を要確認。
市バス岡崎道停留所から徒歩2分

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PROFILE

大橋 知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブック、カフェ、雑貨などのムック本・書籍を中心に取材・執筆を手がけるほか、手仕事や印刷の分野でも書籍の編集に携わる。主な編集・執筆に『恋するKYOTO雑貨』(成美堂出版)、『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

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