旅空子の日本列島「味」な旅

白壁土蔵や蔵屋敷が立ち並ぶ町並み 芸術・文化が香る倉敷

  • 文・写真 中尾隆之
  • 2018年2月20日

白壁土蔵の美しい米蔵を活用した倉敷考古館

  • 美観地区にやわらぎを与える倉敷川

  • 柳並木と調和する白壁、格子窓の家並み

  • 魚介豊富な冬季限定のカモ井の「ぬく寿司」

  • 皮とあんがフィットした橘香堂の「むらすずめ」

  • 赤レンガ工場を活用したアイビースクエア

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 倉敷川の両岸に白壁土蔵、蔵屋敷が立ち並ぶ美観地区。久しぶりに訪ねた倉敷は相変わらず、まぶしいほど明るく、観光客でにぎわっていた。猥雑(わいざつ)さがなく、俗化されていないのは、歴史の重さをにじませる建物や柳並木の水辺の空間、文化施設、地元民の意識の高さのせいだろうか。

 ご存じのように倉敷は江戸時代に幕府直轄の天領とされ、米や綿花、塩、砂糖など物資の積み下ろしで栄えた一大商都。明治時代は紡績産業、戦後は文化観光都市を目指し、今は工業地帯を含めて人口48万余の町である。

 駅前から中央通りを7~8分、人の流れに従うと、おなじみの蔵の町の風景がパッと開けた。掘割のような川のほとりにはギリシャ神殿風の大原美術館、重要文化財の旧大原家住宅、黄や緑に見える屋根瓦の大原家別邸(有隣荘)、白壁・格子窓の料理屋・旅館、なまこ壁の倉敷考古館、洋風建物の倉敷館など趣深い建物が連なる。

 この一角は倉敷紡績の大原家が昭和5年に日本初の私立西洋美術館を開設するなど文化に目覚めた町。終戦のわずか5年後、江戸時代の土蔵造りの米蔵を改造して考古館や民芸館を開館。砂糖などの問屋は旅館や料理店などに。のちに旧倉敷紡績のツタのからまる赤レンガの工場がホテルや記念館、陶芸工房などに生まれ変わった。

 重く分厚い蔵の扉を開けて新しい風を入れ、芸術や文化の香る魅力ある町づくりを進めたことが飽きさせない魅力を保っている秘訣(ひけつ)なのだろう。

 そんな蔵屋敷を改装した食事処・カモ井で瀬戸内のエビやアナゴ、ママカリなどを盛って蒸し上げた名物の「ぬく寿司」を食べた。気持ちが温まるちょっとしたごちそうだった。橘香堂では銘菓「むらすずめ」を買った。

 本町・東町を歩けば、職人や商人の格子窓の住まいが並び、川沿いとはまた違った庶民的な暮らしが思い浮かぶ。

 そういえば倉敷出身でプロ野球の投手や監督での活躍をたたえた星野仙一記念館が目新しかったが、その直後に訃報(ふほう)に接して、倉敷がまた気になる町になった。

交通
・JR山陽本線倉敷駅下車

問合せ
・倉敷市観光課 086-426-3411
・倉敷観光コンベンションビューロー 086-421-0224

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」

※文中の施設名のリンク先は楽天トラベルの情報ページです。

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PROFILE

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター

nakao takayuki

高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

風土47

fudo47

都道府県のアンテナショップの情報を集めたポータルサイト。全国的には知られていないけれど味も生産者の思いも一級品、そんな隠れた名品を紹介する「日本全国・逸品探訪」など様々な記事が掲載されている。

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