京都ゆるり休日さんぽ

桜の名所・鴨川畔にたたずむ本格ビストロ「レ・ドゥ・ギャルソン」

  • 文・大橋知沙
  • 2018年3月2日

窓の向こうに鴨川の桜並木がのぞく。お花見シーズンは、夜桜はもちろん金〜日曜のランチも大人気。

 京都の人々にとって、街の東を流れる鴨川は季節のしるべ。川沿いの桜たちが南から順に開花しはじめる鴨川の景色は、京都の桜前線そのものです。桜の便りが北上してくるまでに、いち早くチェックしておきたいのが北大路橋の川岸にたたずむ「レ・ドゥ・ギャルソン」。まるでパリの街角にあるようなブルーの外観が目を引く、本格派ながらカジュアルにフレンチを楽しめるビストロです。

「自家製スモークサーモン」(1,000円・税込み)は花椒(ホワジャオ)が隠し味。メインは2〜3人でシェアできるボリュームがうれしい。

 赤いチェックのテーブルクロスやクラシカルなバーカウンター、気候の良い季節にはテラス席のように開け放たれるガラス張りのドアなど、本場フランスのビストロを訪れたことのある人なら「そうそう、この感じ」とうなずいてしまうような雰囲気。しかし、すみずみまで目をやれば、古びた梁(はり)や急な階段、2階席には床の間があるなど、この建物が古い日本家屋だということがわかります。

パリのビストロ風のしつらえが心地よい店内。天井の梁や和室の雰囲気を残した2階席など、日本家屋の面影も残る。

「元は油問屋だったと聞いていますが、その後何度かオーナーが変わり、僕たちが着手したころはボロボロの一軒家でした。京都は、絵に描いたような京都らしさに出合える一方で、世界中からさまざまな文化が集まり、影響しあっているのが魅力的な都市。パリの風景を切り取ったような定番のビストロがこの街にあるといいなと思って、イメージを形にしていきました」

この日合わせたワインは「オマージュ・ア・ロベール」(グラス1000円・税込み)。すっきりと飲みやすく、上品な香り。

 そう語るのは店主の長谷川琢馬(はせがわ・たくま)さん。友人だったフランス人シェフのウエ・フランクさんと一緒に、2014年にレ・ドゥ・ギャルソンをオープン。大工の友人や地元の木工作家などの力を借りつつ、古びた一軒家を自分たちの手で改装し、鴨川畔に小さなパリを築き上げました。

主菜のメニューから「紀州うめどり骨つきモモ肉のロースト」(2,100円・税込み)。ローズマリーとニンニクの香りが食欲をそそる。

 空間のイメージ通り、メニューもパテやリエット、エスカルゴ、ニンジンのサラダなど、ポピュラーでベーシックなビストロ料理が並びます。2〜3人で取り分けるのにちょうど良い、ボリューム満点の主菜は、定番の肉・魚料理からカモや子羊、時には鹿肉が入ることも。フォンドボーから作る肉料理のソースや、フランクさんの出身地・ロワール地方のワインを使ったブールブランソースなど、フランス料理の醍醐(だいご)味とも言える多彩なソースの味わいに魅了されます。

オーブンでふっくらと焼き上げた後、たっぷりのオイルをかけることで皮がパリパリに。

「フランクは、ヨーロッパのさまざまなレストランやホテルで経験を積んできた、国際色豊かな料理人。シンプルな料理にも、細やかなテクニックや手間ひまがかけられています」と話す長谷川さんの言葉からは、フランクさんの感性への大きな信頼を感じます。「仕事が終わって、ワインのテイスティングや食材の味見をするのが楽しいよね」と笑うフランクさん。二人の絆が育んできたこの店に、いつしか地元のおいしいもの好きたちが集うようになりました。

ウエ・フランクさん(左)と長谷川琢馬さん(右)。「二人で店を開いたら?」という長谷川さんの兄からの助言が後押しとなり「レ・ドゥ・ギャルソン」をオープンした。

 ワイン好きの2人が日々研究(という名の晩酌?)しているワインの数は、100種類以上。最近では、無農薬や無添加の自然派ワインが充実しています。食事や予算に合わせてぴったりのワインをおすすめしてくれるので、ぜひ相談を。カウンターでの立ち飲みスタイルで、バーのように時間を過ごすこともできます。

ずらりと並ぶグラス類。100種類以上そろうワイン(グラス700円・税込み〜)のほか、カクテルやビールもあるのでバー使いもおすすめ。

 窓の向こうに見える川辺の景色は、3月末ごろから桜の色に染まりはじめます。桜のトップシーズンに食事を楽しむなら、早めの予約がおすすめ。もちろん、京都の街に溶け込むパリさながらの空間と2人の給仕(ギャルソン)のもてなしは、いつ訪れてもきっと心を満たしてくれるはず。(撮影/津久井珠美)

煌々(こうこう)と明かりがともる店内と窓の向こうでグラスを傾ける人々の笑顔に、思わず足を止める人も。

【レ・ドゥ・ギャルソン】
075-708-7500
京都市左京区下鴨上川原町3
平日18:00〜24:00、金土日のみランチ営業あり(11:30〜14:00)
木曜定休
地下鉄烏丸線北大路駅から徒歩5分

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PROFILE

大橋 知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブック、カフェ、雑貨などのムック本・書籍を中心に取材・執筆を手がけるほか、手仕事や印刷の分野でも書籍の編集に携わる。主な編集・執筆に『恋するKYOTO雑貨』(成美堂出版)、『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

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