クルーズへの招待状

ウェリントンとアールデコ様式の街・ネイピアを散策 ニュージーランド・クルーズ

  • 文・上田寿美子
  • 2018年3月2日

サン・プリンセス

  • イタリアンディナーのワゴンサービス

  • ウェリントンのケーブルカー博物館

  • ネイピアのアールデコ様式建築物

  • クラシックカーとモボ&モガのお見送り

  • タウランガののどかなビーチ風景

  • 映画鑑賞もできるプール

  • 「海シーフードバー」の握りずし

  • ラストナイトは星空の下でパーティー

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 サン・プリンセスのオセアニアクルーズも後半となりました。アカロアを出港した6日目の夜、メイン・ダイニングに行くとウェイターの姿がいつもの制服ではなく、しま模様のTシャツに首巻きチーフ。今夜の夕食テーマが「イタリアンディナー」なので、ベネチアのゴンドラこぎを模した服装でイタリアンムードを倍増する趣向だったのです。メニューには、プロシュートハム、ミランザーネ(ナスのパルミジャーノ焼き)、ミネストローネ、サルティンボッカ(肉、生ハムの香草焼き)、牛肉のバローロ赤ワイン煮込みなど、、代表的なイタリア料理のオンパレード。更に見逃せないのはイタリア人ヘッドウェイターが目の前のワゴンで作ってくれるペンネアラビアータです。迷わず注文すると「少し辛めにしましょうか?」と聞かれ、その結果、ピリ辛熱々のペンネアラビアータが登場。本格的なパスタを楽しみました。派手な演出ができるワゴンサービスは1970~80年代の船旅で流行していましたが、手間と時間がかかるなどの理由で最近のクルーズでは減少傾向にあります。しかし、サン・プリンセスでは、今もなお健在で、ファッションやプレゼンテーションなどの演出も加わって、料理を一段と楽しくおいしく提供しようという姿勢が伝わってきました。

 7日目の朝、サン・プリンセスはニュージーランドの首都ウェリントンに到着。ここでは、上陸オプショナルツアーに参加し、ニュージーランドで最大の国立博物館テパパトンガレワを訪問しました。テパパトンガレワとはマオリ語で「宝のある場所」を意味するそうで、内部にはマオリ(ニュージーランドの先住民)の匠(たくみ)が造り上げた美しい集会場、巨大なダイオウホウズキイカの標本、ニュージーランド特有の地形解説と地震体験館など、幅広い展示があり、しかも入場料は無料という点も驚きでした。

 海と丘に囲まれた町ウェリントンには1902年ケーブルカーが開通。赤い車体のレトロなケーブルカーは今も市民の足として、また観光アトラクションとしても活躍しています。さっそく乗車してみました。たくさんのLEDライトが点滅する美しいトンネルをくぐり、眼下に広がるウェリントンの街並みを眺め、約10分で頂上のケルバーン駅へ。すぐそばに無料のケーブルカー博物館もあり、昔使われていた車体や、ケーブルカーの歴史パネルなどが展示されていました。

 翌日はネイピア。19世紀にヨーロッパ人が入植し、温暖な港町として発展してきましたが、1931年の大地震で町の大部分が壊滅。そこで町の再建には当時流行していたアールデコ様式(1925年のパリ万博がきっかけとなり広まった様式で、直線的で合理的なデザイン、原色の対比などが特徴)を取り入れた明るい町並みを造り、アールデコシティーとしてよみがえりました。船の用意したシャトルバスに乗って町へ行くと、古風な街並みと山高帽子にロイド眼鏡をかけたアールデコファッションの紳士がお出迎え。商店街の女店主はチャールストンダンスを踊りだしそうなモダンガールの装いでした。さらに、サン・プリンセスが出港する時には、港の岸壁にモダンボーイ、モダンガール、そしてクラシックカーが勢ぞろいし、ジャズの演奏とともに見送ってくれました。時には寄港地の特徴を生かしたお見送りがあることもクルーズの面白い点でしょう。

 ところで、サン・プリンセスは外国客船なのにすしレストランがあります。その名は「海シーフードバー」。有料レストランではありますが、洋食続きの日々だったので、訪れてみました。まずは、枝豆と共にビールを一杯。さらに、刺し身盛り合わせ、マグロ、帆立ての握り、カリフォルニアロールなどを注文。すしレストランの存在はありがたく、良い気分転換になりました。

 9日目は、マオリ語で「カヌーの停泊場所」を意味するタウランガに到着。港のすぐ前には美しいビーチが広がり、その向こうにはこの地域のランドマークでもあるマウンガヌイ山がそびえています。小さな子供を連れたファミリーが多いビーチはのどかそのもの。今回は、ビーチを歩き、海岸沿いのベンチで本を読み、芝生に寝ころび、地元の人としゃべるという自由気ままなひと時を楽しみました。

 早めに船に戻り、テラスグリルでハンバーガー、ソーセージ、サラダのランチ。午後は泳ぎながら映画を見たり、温湯のジェットバス(水着着用)につかったりして、のんびりとプールタイム。何しろサン・プリンセスには複数のプールがあるので利用しない手はありません。

 そして、ラストナイトのビッグイベントは、「究極のデッキパーティー」でした。星空の下のプールサイドでバンドの演奏に合わせて踊ったり、アロハシャツコンテストが行われたり……。最後は百人を超える乗客が一列になり、プールサイドを一回り。つい10日前までは知らなかった乗客同士が肩を組み、笑いあい、お別れを言ったサン・プリンセスのラストナイト。温暖な気候に恵まれ、ニュージーランドの南島から北島へと回った船旅は、翌朝オークランドで終点となったのでした。

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PROFILE

上田寿美子(うえだ・すみこ)

sumiko ueda

クルーズライター、クルーズジャーナリスト。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて30年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社等のクルーズ講演も行う。著書に「豪華客船はお気に召すまま」(情報センター出版局)、「世界のロマンチッククルーズ」(弘済出版社)、「ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅」(産業編集センター)、「上田寿美子のクルーズ!万才」(クルーズトラベラーカンパニー)など。2013年からクルーズ・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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