旅空子の日本列島「味」な旅

歴史と詩情豊かな自然と城をたたえる町・盛岡

  • 文・写真 中尾隆之
  • 2018年3月6日

玄関口の盛岡駅と駅前広場に立つ啄木歌碑

  • 市内散策に便利な循環バス“でんでんむし号”

  • 明治の郷愁を誘う中の橋たもとの岩手銀行

  • 小麦粉と片栗粉のシコシコ麺の盛岡冷麺

  • 200余年前創業で今も現役の茣蓙九の建物

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 岩手山を仰ぎ、北上川、中津川、雫石川が市街を流れる盛岡は江戸時代、南部氏20万石の城下町。以来、岩手の中心都市として人口29万7000余を数える県都である。石川啄木や宮沢賢治が青春を過ごした町としても知られている。

 「ふるさとの山はありがたきかな」と刻んだ啄木歌碑のある駅前から、早速、都心循環バス“でんでんむし号”に乗車。最初に開運橋を渡る左回りコースで、盛岡城跡公園はすぐだった。堀伝いに石垣の城跡を上がった盛岡(不来方)城は天守閣も隅櫓(すみやぐら/城郭の角に設けたやぐら)もないが古城の趣が残り、林立するビルや緑の木立や川の市街地が見下ろせた。

 盛岡城の二の丸跡には「不来方のお城の草に寝転びて空に吸われし十五の心」の啄木歌碑と「願はくばわれ太平洋の橋とならん」の新渡戸稲造記念碑があった。

 城跡から歩いて水が清く流れる中津川にかかる中の橋を渡り、たもとにそびえる重厚で壮麗な赤レンガの岩手銀行を、感動しながら見上げる。東京駅を設計した辰野金吾らの手になる107年を経た国の重要文化財である。

 情報や物産を集約する「プラザおでって」でひと息ついて、明治の銀行建築を活用した「もりおか啄木・賢治青春館」に寄って紺屋町の通りを歩く。江戸末期の広壮な建物で今も荒物雑貨を商う「茣蓙(ござ)九」や大正2年の木造洋風建築の消防署だった「紺屋町番屋」の町並みとともに、名物のわんこそばや南部せんべい、和菓子、南部鉄器の点在する老舗も町歩きを楽しませる。

 サケも遡上(そじょう)する清流の中津川沿いには、盛岡出身の画家「深沢紅子野の花美術館」や、青銅の擬宝珠の欄干がある上の橋など。ここには歴史、文化、風物など盛岡の魅力のエッセンスが集まっていた。

 “でんでんむし号”のルートからは石川啄木が新婚の3カ月ほど暮らした、盛岡で唯一残る武家屋敷の「啄木新婚の家」や宮沢賢治のモニュメントのある「いーはとーぶアベニュー材木町」が近く、バスと歩きで3時間の市内散策が楽しめた。

〈交通〉
・JR東北新幹線盛岡駅下車

〈問合せ〉
・盛岡市商工観光部 019-613-8391
・観光文化情報プラザ 019-604-3305

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

※文中の施設名のリンク先は楽天トラベルの情報ページです。

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PROFILE

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター

nakao takayuki

高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

風土47

fudo47

都道府県のアンテナショップの情報を集めたポータルサイト。全国的には知られていないけれど味も生産者の思いも一級品、そんな隠れた名品を紹介する「日本全国・逸品探訪」など様々な記事が掲載されている。

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