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ゴッホ、フェルメール、レンブラントの名画をめぐる アムステルダム・アート旅

  • &TRAVEL編集部
  • 2018年3月22日

アムステルダム国立美術館は中世から現代までの絵画作品、アンティーク陶芸、工芸品などが展示されるヨーロッパ有数の美術館

 日本人を魅了し続ける傑作のふるさとへ――。
 オランダが名画の宝庫だということをご存じですか。日本での展示会は必ず長蛇の列になるゴッホやフェルメールといった人気画家の有名作品がオランダにはそろっています。世界最大のゴッホコレクションを有する「ゴッホ美術館」、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」やレンブラントの「夜警」などを所蔵する「アムステルダム国立美術館」、フェルメールの傑作「真珠の耳飾りの少女」の「マウリッツハイス美術館」……。美術に詳しくなくても1度は鑑賞したいと思う名画ばかりです。さらに、美術鑑賞の合間には、クラシック音楽の殿堂ともいわれるコンサートホール、コンセルトヘボウで音楽鑑賞も楽しめちゃいます。そんなオランダ芸術旅をご案内します。
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“黄色”に隠された秘密を知る「ゴッホ美術館」

 オランダのアート旅は、アムステルダムにある「ゴッホ美術館」からスタート。アムステルダム中央駅からトラムに乗って町を流れる運河をいくつも渡り、約3キロ先のミュージアム広場を目指します。ミュージアム広場はその名の通り、ゴッホ美術館やアムステルダム国立美術館などが集まる場所です。

青々とした芝生のミュージアム広場は市民の憩いの場。日光浴をしたり、読書をしたり。子供たちは裸足で走り回っていた。奥に見えるのはアムステルダム市立近代美術館。ピカソやウォーホルなど19世紀後半から現代までの絵画やモダンアートのコレクションを誇る

 フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~90年)は世界で最も有名な後期印象派の画家の一人。芸術家として活躍したのは10年ほどで生前はほとんど評価されませんでしたが、後世になり、大胆な筆遣いや色使い、そしてドラマティックな人生が注目を集め、人々を魅了してきました。日本でも人気は高く、ゴッホ自身も浮世絵や日本に関する文献を集めるなど日本に高い関心を寄せていたことも知られています。筆者も、黄色の色使いが印象的な「ひまわり」を「いつか彼の生まれ故郷でじっくり鑑賞したい」と思っていました。

 ゴッホ美術館に到着すると、建物の外壁に描かれた麦わら帽子をかぶった自画像が出迎えてくれます。同館はゴッホの経済的、精神的な支援をした弟テオが集めたゴッホのコレクションを元にテオの息子が設立。「ひまわり」「アーモンドの花咲く枝」といった傑作を始め、テオへの書簡や同年代を生きた画家たちの作品も展示され、世界中から年間200万人以上の観光客が訪れます。

 この美術館の最大の魅力はやはり、そのコレクション数の多さ。油彩画200点以上、素描画約500点、書簡約750点。多くの作品を所蔵しているからこそ、ゴッホの人生や心情、彼の人柄や作品からのメッセージをより深く感じることができます。

ゴッホ美術館。ウェブサイトから事前にチケットを購入しておくとスムーズに入館できる

 ゴッホ作品は明るい色彩のイメージがありますが、初期の作品「馬鈴薯(ばれいしょ)を食べる人々」は深く暗い色使い。小さな明かりが照らすじゃがいもを囲む、人々の顔や手の表情が印象的です。日常の物事や人々に光を当て、その感情を丁寧に描いていることがわかります。

 また、何枚も並ぶ「自画像」を見比べると、時代によっての変化がわかります。例えば、麦わら帽子をかぶった姿は、自分が田舎の人間であるという表現。一方、パリ時代は「街の象徴」としてフェルト帽をかぶっています。目の色も変えることで感情表現を試していたといいます。

 そして館内でひときわ大勢の人が集まっている作品が「ひまわり」。黄色と黄色の連続で、絵の具が重ねられ、別々な方向にむくひまわりは躍動感あふれています。よく見ると、薄い青色や白の線など、黄色の中に様々な色があることに気づきます。地味であか抜けない花・ひまわりを題材に選び、自身に重ね合わせたというゴッホ。彼の描いた「ひまわり」は素朴でありながら、圧倒的な輝きを放ち、多くの人たちをひきつけていました。

 鑑賞の際のアドバイスとしては、時間がない方こそ、マルチメディアガイド(5ユーロ)を借りることをおすすめします。ハイライト作品だけを鑑賞できる45分コースもあり、効率よくそして最大限ゴッホの世界を楽しむ工夫がされています。手元の液晶画面でクイズ形式で制作過程を学ぶといったインタラクティブな内容もおもしろいです。

ゴッホ美術館のミュージアムショップ。ゴッホの代表作を用いたマグカップやマグネット、エコバッグなど豊富な品ぞろえ

 同館では、浮世絵などの日本の芸術がゴッホに与えた影響に着目した特別展「ゴッホと日本」が3月23日~6月24日まで開かれています。入場は混み合うことが多いため、事前にオンラインでチケットを購入した方がいいでしょう。

オランダ黄金時代を飾る2大巨匠 アムステルダム国立美術館

アムステルダム国立美術館そばを流れるシンゲル運河

 ゴッホ美術館から徒歩数分の場所にあるのが「アムステルダム国立美術館」。1885年に開館したオランダ最大の美術館で、10年にわたった改修工事が2013年に終了し、再オープンしました。

 美術館の前には「I amsterdam」の大きなモニュメントがあり、いつも記念撮影をする人たちでにぎわいます。入り口へと歩いていると、自転車が横をびゅんびゅん走り去っていきます。辺りを注意深く見ると、美術館を自転車道がつらぬいていて、トンネルのようになった建物の下を自転車が行き交っていました。なんともオランダらしい風景……。

アムステルダム国立美術館では、アムステルダム市民の足として定着している自転車が建物を貫く道(写真ではトンネルのように見える)をさっそうと行き来する。改修時、この通路をめぐっては、美術館側とサイクリストの間で議論が巻き起こった

 リニューアルした館内は、天井や壁など随所に描かれた装飾画やステンドグラスが美しく見応え十分。各フロアが中世から現代まで時代ごとに分けられ、それぞれの絵画や工芸品などが展示されています。

 しかし、この美術館の主役はやはり、オランダが生んだ2人の巨匠、レンブラント・ファン・レイン(1606~69年)と、ヨハネス・フェルメール(1632~75年)。オランダが交易を広げ繁栄を極めた17世紀の黄金期と同時期に活躍した彼らの代表作「夜警」や「牛乳を注ぐ女」は必見です。17世紀の作品群が集まる2階にあるので、このフロアから鑑賞をスタートするのもいいかもしれません。

 バロック期を代表する画家の一人、「光と闇の魔術師」と呼ばれるレンブラントは、肖像画や歴史画で知られています。壁一面に展示された「夜警」の前に立つとその迫力と力強さに圧倒されます。明暗を巧みに使って人物を表現したドラマチックな構図がよくわかります。学生のグループが作品の前に座り、ディスカッションをしながら鑑賞していたのも印象的でした。

アムステルダム国立美術館を代表する作品、レンブラントの「夜警」の前は、鑑賞するひとたちで常にごったがえしている

 もう1人の巨匠、フェルメールは日本でもファンが多い画家。「光の画家」と呼ばれるフェルメールの現存する作品は、わずか三十数点といわれていますが、そのうち、「牛乳を注ぐ女」「青衣の女」など4点をここアムステルダム国立美術館が所蔵しています。柔らかな光が差し込み、ゆったりとした空間、荘厳な雰囲気の館内で観るフェルメール作品は、より繊細に神秘的に感じました。「全点制覇したい」という人も、そうでない人も、ここで鑑賞する価値ありです。

 このほか、精巧に作られたドールハウスや、国内最大の美術史本の蔵書を誇る壮麗な雰囲気のカイパース図書室も必見です。

お土産に買いたい!ミッフィーとのコラボグッズ

 ゴッホ、レンブラント、フェルメールに負けない、オランダ生まれの有名人といえばミッフィー。オランダではあちらこちらで、かわいいミッフィーグッズを見かけますが、せっかくのアート旅、美術館とミッフィーのコラボグッズをお土産にいかがでしょうか。

オランダを代表するキャラクター・ミッフィーとコラボしたミュージアムグッズはマストバイのお土産品。ゴッホミュージアムでもミッフィーと「アーモンドの花咲く枝」がコラボしたバッグなどが売られていた

 昨秋の取材時には、ゴッホ美術館、アムステルダム国立美術館、それぞれのミュージアムショップでミッフィーとのコラボグッズが。名画に身を包んだミッフィーや、美術館オリジナルのマグカップなど思い出の一品がきっと見つかるはずです。

クラシック音楽の殿堂「コンセルトヘボウ」で無料コンサート

 最高の名画の数々を満喫した後、最高の音楽も味わえるのが芸術の街・アムステルダム。美術館が並ぶミュージアム広場の西側にあるコンサートホール「コンセルトヘボウ」に足を運んでみましょう。

ゴッホ美術館やアムステルダム国立博物館から数分の場所にあるコンセルトヘボウ。周辺は古い建物も多く、市内でも落ち着いた雰囲気のエリア

 コンセルトヘボウは1888年に設立。内装はすべて木造で、素晴らしい音響効果で世界的に知られている音楽の殿堂です。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の拠点ですが、クラシックからジャズやポップスまで、様々なコンサートを年間を通じて行っています。

 ここでは毎週水曜日(7、8月を除く)に無料のランチタイムコンサートが開かれています。滞在中、日程が合ったため、鑑賞してきました。この日は小ホールでの開催。こぢんまりとしたホールですが、天井が高く、音響効果は抜群。演奏者の表情も間近に感じられ、臨場感あふれる美しい音色を1時間弱、じっくりと味わいました。

水曜日のランチタイムに開かれる無料のコンサート。リサイタル・ホールも音響が素晴らしい

 ランチタイムコンサートは開演1時間前からエントランスホールで整理券が配布されます。人気のため、あっという間に整理券がなくなってしまうこともあるそう。詳しい開催日はホームページで確認して下さい。また、バックヤードを見ることが出来るガイドツアー(10ユーロ)も開かれています。

コンセルトヘボウのメインホール。内装は木造で、音響効果のすばらしさで有名

「真珠の耳飾りの少女」に会いに 「マウリッツハイス美術館」

 フェルメール作品をもっと味わいたい人はアムステルダムから電車で約1時間の街、デン・ハーグの「マウリッツハイス美術館」へ。傑作「真珠の耳飾りの少女」に会うことができます。

オランダで最も美しい建物のひとつと称されるマウリッツハイス美術館。ビネンホフの一角にある

 同館は13世紀から17世紀にかけて建てられた建物が集まる「ビネンホフ」に隣接。オランダ王室の系譜の貴族の邸宅で、ルネサンス風の美しい建物が際立っています。内装も美しく重厚で、所蔵作品も珠玉の名画ぞろい。フェルメールだけでなく、レンブラントやルーベンスの傑作もあるので、貴族の邸宅でコレクションを楽しむ気分でじっくりと作品の世界にひたってみてはいかがでしょうか。(&TRAVEL編集部)

■取材協力
オランダ政府観光局

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