絵本のぼうけん

江戸の町へ、絵本でタイムトラベル!

  • 文・長嶺今日子
  • 2018年3月13日

  

 昨年3月からスタートした連載「絵本のぼうけん」も残すところあと2回となりました。これまで絵本と一緒に訪ねることのできる国内外の旅や小さな冒険をご紹介してきましたが、今回はついに江戸時代にタイムトラベル! 江戸時代が舞台の絵本は「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズ(全10巻:福音館書店)、「落語絵本」シリーズ(クレヨンハウス)、『知らざあ言って聞かせやしょう』(ほるぷ出版)など、子どもたちに人気のロングセラー作品を思い浮かべる方も多いかもしれません。江戸時代の人々の暮らしぶりや町の様子を伝えてくれる絵本は、この他にもまだまだおすすめがありますよ。絵本を片手に今の東京を探検すると、意外な発見が待っていることでしょう。

空から江戸を見てみよう

『江戸のまち』作:太田大輔(講談社)

 『江戸のまち』(講談社)は、雲に乗った妖怪小僧が江戸の町をくわしく案内する絵本。にぎやかな盛り場として知られた両国や浅草、人々が行き交う東海道の起点である日本橋、多くの船が行き交う江戸の海(江戸湊)……。ページをめくっていくと、江戸時代の風景が広がっていきます。正月の長屋でたこ揚げやコマ遊びをする子どもたちや、現代よりも雪が多かった江戸時代の雪遊びの様子、勇壮な火消しの場面、高輪の月見の様子など、季節もおりまぜながら、活気ある江戸の町がページいっぱいに描かれています。ページのどこかに隠れている妖怪小僧を探しながら、江戸っ子になって町を探検してみてください。巻末の詳細な解説も読み応え十分です。

『江戸のまち』作:太田大輔(講談社)

 品川宿の御殿山では江戸時代の人々もお花見を楽しんでいたようですね。落語に、花見団子に、ゆかいなお面をかぶって踊る人たち……。今も昔も変わらない日本人のお花見文化に心が和みます。御殿山では、江戸の花見を再現した現代のお茶会など「御殿山桜まつり2018」が開催予定です。

江戸時代のウィンドーショッピング

『江戸のお店屋さん』作:藤川智子(ほるぷ出版)

 さて、次は江戸時代のいろいろなお店屋さんをのぞいてみましょう。『江戸のお店屋さん』(ほるぷ出版)は、小間物屋(こまものや)、薬種屋(やくしゅや)、人形屋(にんぎょうや)、地本問屋(じほんどんや)など、江戸時代後期の江戸・京都・大阪の商店を参考に、当時の様々なお店屋さんを描いた絵本です。地本問屋は現在の出版社と本屋がひとつになった店で、作家に本を書いてもらい、職人に作らせて売っていたとのこと。浮世絵、絵草紙(えぞうし)、読本(よみほん)など、江戸時代の出版文化の高まりがうかがえます。シリーズ全3巻を通して、20以上のお店の店構えと商品が詳しく描かれ、子どもたちの興味を誘います。

猫と一緒に芝居見物!

『どこじゃ? かぶきねこさがし かぶきがわかるさがしもの絵本』文:瀧 晴巳、 絵:吉田 愛、協力:松竹株式会社(講談社)

 江戸時代に隆盛を極めた代表的な文化の一つといえば、歌舞伎。小学校で「日本の伝統文化」を積極的に学ぶ機会も増え、歌舞伎にまつわる絵本を探しているという声もしばしば聞きます。『どこじゃ? かぶきねこさがし かぶきがわかるさがしもの絵本』(講談社)は、そんな歌舞伎入門にぴったりな一冊。「勧進帳」「義経千本桜」など、代表的な5演目について、あらすじやみどころをわかりやすく解説してくれます。猫が扮する登場人物を探しながら、江戸時代の歌舞伎をたっぷり味わってください。それぞれの演目をもっと詳しく知りたくなったら、「かぶきがわかるねこづくし絵本」シリーズ(講談社)もぜひ。ユーモアたっぷりに演じる猫たちの舞台は見逃せません。

「御用だ!」名探偵、江戸を走る

『くものすおやぶんとりものちょう』作:秋山あゆ子(福音館書店)

 江戸時代のタイムトラベルをしめくくるのはこの一冊、『くものすおやぶんとりものちょう』(福音館書店)。江戸にそっくりな虫の町でくりひろげられる、くものすおやぶんこと、鬼ぐもの「あみぞう」とハエとりの「ぴょんきち」の物語。老舗菓子店「ありがたや」の蔵のお菓子をねらう盗人を退治するスリリングなストーリー展開に、小さな子どもから大人まで盛り上がります。「んん、まてよ…。かぜも ねえのに、やけにさくらが ちるじゃねえか」(本文より)―桜の季節にぴったりのこの作品は、大型絵本で読み聞かせするとさらに迫力アップします!

 もっと江戸時代のことが知りたくなったら、まもなく4月1日にリニューアルオープンする江戸東京博物館(墨田区)へぜひ。江戸東京たてもの園(小金井市)も見どころいっぱいです。

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PROFILE

長嶺今日子(ながみね・きょうこ)

子ども一人ひとりの個性に合わせて絵本を選び届ける「ブッククラブえほんだな!」主宰。子育て支援のイベントやライブラリーの選書も手がける。また、多言語による読み聞かせ活動にも長年携わっている。「ブッククラブえほんだな!」

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