京都ゆるり休日さんぽ

一汁三菜からあつらえる、自分好みの和食「御食事処乃 福松」

  • 文・大橋知沙
  • 2018年4月13日

 京都の旅の夕食に、頭を悩ませる旅行者は多いはず。京都らしい和食を楽しみたいけれど、料亭や割烹は気後れする。かといって、定食屋やカフェでは特別感がない。そんなとき、気取らない雰囲気と上質な料理を兼ね備えた店を知っていたら、選択肢はぐっと広がります。

「御食事処乃 福松」で最初に出されるのは「一汁三菜」(1,620円・税込み)。ここに好みの料理をプラスしていく

 「御食事処乃 福松(おしょくじどころの・ふくまつ)」は、そんなリクエストに応えてくれる和食店。京都の中心部・烏丸御池から徒歩数分の路地裏に店を構える、隠れ家的な人気店です。

地元の人でも「こんな路地あった?」と思うような、閑静な場所にある

 リピーターやお一人様客も多いという福松の人気の秘密は、「一汁三菜」をベースに、自分でコースを組み立てていくというスタイル。懐石料理さながらの献立が最初に提供され、あとはアラカルトで焼き物、揚げ物……と追加してコース仕立てにしても良し、ごはんものとデザートで定食のようにそろえても良し、という自由度の高さが魅力です。

カウンターには甘口から辛口まで日本酒がずらり。540円・税込み均一という価格もうれしい

 この日の一汁三菜は、ホタルイカや桜鯛など旬を取り入れた7品を盛り合わせた八寸(はっすん)に、唐草どうふ(青のりの卵どうふ)とタコの酢の物、しめじとほうれん草のごま和え、そして汁物はれんこん餅の白味噌仕立て。一汁三菜と言いながらも、10種類もの多彩な料理が食事のスタートを盛り上げてくれるのです。

彩り豊かな「八寸」をメインにおかずが3品、汁物が1品。手間をかけたものばかり

 「八寸」は、懐石料理の中でも、季節を代表する味覚で客人をもてなすコース料理の華。茶懐石では、亭主と客が杯(さかずき)を交わす時に出されるひと皿のため、お酒の肴(さかな)となる品々が並びます。その八寸が一汁三菜のメインとして出されるのが、福松の食事の上質感の決め手。旬の素材をさまざまな食感、香り、風味で少しずつ味わえるので、自然とお酒が進みます。

料理人として20年経験を積んだ大将・近松真樹さん。話上手で、カウンター越しの会話を楽しみに来る客も多い

 この一汁三菜のスタイルは、オープン当初、ひとりで店を切り盛りしていた大将の近松真樹(ちかまつ・まさき)さんが、食事を出すのに時間がかかることが心苦しく、「最初の料理をゆっくりいただきながら次のメニューを選んでもらえたら」と考案したのが始まり。「コース料理しかない店だと、特別な日にしか来られません。その日の気分で献立を組み立てられたら『また行こか』と思ってもらえる。おかげさまで、観光の人も地元の人も通ってくれはります」と近松さんは話します。

「しめ鯖」(1058円・税込み)。余韻の残るうまみにうなる

 一汁三菜で、ほどよくおなかを満たしたら、京和食の定番や季節のメニューをアラカルトで。鯖(さば)のうまみと酢と塩の絶妙な案配が三位一体となった「しめ鯖」は、一年を通して人気のメニュー。「その時一番力のある素材を使います」という近松さんの言葉通り、旬の“はしり”より、風味も量感も増した“さかり”の食材を取り入れたお品書きが並びます。

奥には小さな坪庭と縁側があり、秋には紅葉も楽しめる

 旅の食事に必要な、その土地ならではの味やムード、日常から少し背伸びした特別感。京都でそんな望みを叶えるなら、おまかせの一汁三菜に自分好みのひと皿をプラスして、とっておきの和食コースをあつらえてはいかがでしょう。(撮影/津久井珠美)

【御食事処乃 福松】
075-741-7138
京都市中京区衣棚通六角上ル了頓図子町475-6
11:30~13:00 L.O/18:00~23:00 L.O
不定休(月ごとの休業日はtwitterを確認)
https://twitter.com/fukumatsukyoto

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PROFILE

大橋 知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブック、カフェ、雑貨などのムック本・書籍を中心に取材・執筆を手がけるほか、手仕事や印刷の分野でも書籍の編集に携わる。主な編集・執筆に『恋するKYOTO雑貨』(成美堂出版)、『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

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