旅空子の日本列島「味」な旅

「おくのほそ道」芭蕉の足跡 せんべいの街・埼玉県草加市

  • 文・写真 中尾隆之
  • 2018年4月16日

草加駅前にある、せんべいを焼く「おせんさんの像」

  • 古い面影を残す旧日光街道のたたずまい

  • 元祖といわれる「源兵衛せんべい」

  • 古い町家を改装した観光情報・休憩所の神明庵

  • 札場河岸公園の見返り姿の松尾芭蕉翁像

  • おくのほそ道の風景地に認定された草加松原

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 埼玉県南東部の草加は江戸時代に日光街道の宿駅として開かれた町である。本陣跡など参勤交代や日光詣での古い史跡や名物の草加せんべいの店が点在。元禄時代、松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で千住の次に立ち寄った足跡も残っている。

 そうした歴史に関心がありながらゆっくり訪ねたことはなかったので、先日、思い立って出かけてきた。玄関口の東武草加駅前はビルが並ぶ人口24万人余の都会の顔を見せ、駅前広場ではせんべいを焼く「おせんさん」とせんべいを食べる女の子「アコちゃん」の像に、せんべいの町を改めて印象づけられた。

 東へ3分ほど歩くと行き当たる旧日光街道は江戸開幕後、東側を迂回していたものを千住―越谷間で一直線に結んだ道で、千住―越谷の間の宿として草加宿が設けられたのは二十数年後。伊達藩、会津藩、米沢藩らの殿様や身分の高い人の休泊所だった大川本陣や清水本陣があったことを記す石碑が目に止まった。

 沿道には八幡神社、氷川神社、神明宮の古社や蔵をもつ藤城家、観光案内・無料休憩所の草加宿神明庵など古い町家も点在する。神明庵は大津屋を屋号にする古民家の久野家を観光案内やギャラリー、無料休憩所に改装。地元のボランティアのご婦人たちが詰めていて気さくに応対してくれた。

 旧街道を歩いていると草加せんべいの店を5、6軒見かけた。元祖の源兵衛で聞くと、最盛期には200軒ほどあったそうだが、現在は60軒ほどに減ったという。

 草加せんべいの始まりは江戸時代、「おせん」という女性が開いていた茶屋の団子が評判だったが、売れ残りを捨てていた。それを見た武士からもったいないから平たくして焼きもちにしたら長く売れるのではないかと勧められ、これが人気を呼んだという。おせん茶屋公園やおせん公園の名称や駅前の像がそれを物語っている。「おせんさんのせんべい」から「おせんべい」と呼ばれるようになったという説もある。

 草加せんべいはうるち米の粉を押し焼きして、堅く、香ばしいしょうゆ味が特徴である。

 “草加せんべい発祥の地”碑の向かいに右手を上げた銅像の河合曾良は、「おくのほそ道」の旅に随行した芭蕉の門人。信号を渡ると綾瀬川の川沿いに、五角形の黒い望楼がシンボルの札場河岸公園があった。

 深川からの舟を千住で降りた芭蕉は「漸く早加と云う宿にたどり着いた」と書いている。千住方面を振り返るような旅姿の芭蕉翁像が立っていた。

 ここから先が600本を超える松並木。「おくのほそ道」に関連する10県13件の風景地の1つで、“草加松原”の名称で4年前に国指定名勝に選定された。川べりに沿う松並木の道に立って、この先600里(2400キロ)、150日間の歩きを続けた遥かなる芭蕉と曾良の旅を思った。

交通
・東武鉄道スカイツリーライン草加駅下車

問い合わせ
・草加市観光協会(市文化観光課内)048-922-0151
・草加宿神明庵048-948-6882

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

※文中の施設名のリンク先は楽天トラベルの情報ページです。

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