クルーズへの招待状

極上のオールインクルーシブでくつろぐ地中海クルーズ

  • 文・上田寿美子
  • 2018年5月25日

「セブンシーズ エクスプローラー」(撮影=すべて上田英夫)

 通常、クルーズ代金の中には、運賃、客室使用料(1室2人使用時の1人分)、食事代(一部レストランを除く)、主なショーやイベントの参加費用が含まれています。今回紹介する客船「セブンシーズ エスプローラー」は、その上シャンパンを含む飲み物代(一部銘柄を除く)、船上の全てのスペシャリティー・レストランの食事代、寄港地観光、Wi-Fi利用、チップまで含まれた“スーパー・オールインクルーシブ・シップ”。贅(ぜい)を尽くした船上で、いちいち財布を気にすることなく、おおらかに船旅を満喫できる仕掛けです。

 「セブンシーズ エクスプローラー」の運航会社「リージェント・セブンシーズ・クルーズ」は世界有数のラグジュアリー・クルーズラインとして知られています。同社で最も新しい客船「セブンシーズ エクスプローラー」は全客室がバルコニー付きのスイートという高級仕様。部屋に入るとウェルカム・シャンパンとコチョウランに迎えられました。大理石張りのバスルームには「ロクシタン」のアメニティー。独立した小部屋のようなウォークイン・クローゼット。居住性の高いスイート客室がこの船の特徴になっています。

スーペリアスイート客室

 今回のコースはスペインのバルセロナからイタリアのチヴィタヴェッキア(ローマ)までの8泊9日。2日目の朝、船はバレンシアに到着しました。地中海西部に位置するスペイン第3の都市バレンシアは、新旧の顔を持つ魅力的な場所。旧市街にある「ラ・ロンハ・デ・ラ・セダ」は15世紀後半に建てられた絹の商品取引所で、1996年にユネスコの世界遺産に登録されました。「柱のサロン」「海の領事の広間」など、交易に栄えた往時をしのばせる建物です。また、13世紀から建築が始まり繰り返し増改築が行われた「サンタマリア大聖堂」の内部は、ゴシック様式、バロック様式、新古典様式などが混在。隣に立つ高さ50mほどの「ミゲレテの塔」が目印になっています。

 一方、バレンシアの新しい顔としては、科学教育と芸術のための施設の複合体「芸術科学都市」があります。恐竜の骨をモチーフにデザインした建物の「フェリペ皇太子科学博物館」、オペラハウス「ソフィア王妃芸術宮殿」、プラネタリウム・IMAXシアター「レミスフェリック」、バレンシアの固有種植物などがある庭園「ルンブラクレ」、ヨーロッパ最大の水族館「オセアノグラフィック」というユニークな五つの建物群で構成された施設は、まるでSFの世界のよう。筆者は、水族館「オセアノグラフィック」に入場し、ジェンツーペンギンのいる南極ゾーンや、サメやエイの腹を見上げながら歩くトンネルなど、世界の海の生態を学びました。

バレンシア芸術科学都市

 船に戻ると、夜は船長主催の歓迎パーティー。しかし、「セブンシーズ エクスプローラー」では正装する必要がありません。なぜなら14日以下のクルーズでは、タキシードなどを着るフォーマルナイトを設定せず、ドレスコードは連夜エレガントカジュアル。男性は襟付きのシャツと長ズボン(ジーンズは不可)、女性はブラウスとスカートなどでOK。ラグジュアリークルーズなのに、服装が気楽な点も人気の理由です。

青いシャンデリアが美しいメインダイニング

 海を想起させる青いシャンデリアに照らされたメインダイニングルームの「コンパス・ローズ」は、日替わりと定番料理のメニューで構成され、好きなものを選べますが、その質の高さは特筆もの。例えば定番料理の海鮮メニューには、ロブスター、舌平目などの高級素材が並び、ソースも選べるので、毎晩ロブスターを食べることも可能です。

ロブスター料理

 翌日はマジョルカ島。バレアレス諸島最大の島でスペインの王室一家が夏のバカンスを過ごすことでも有名です。シンボルといえば、海に面して建つ「パルマ大聖堂」。今回は船上からもその荘厳な姿を望むことができました。色鮮やかなステンドグラスのバラ窓とそこから差し込む陽光の美しさは格別。1601年に完成しましたが、20世紀初頭にはアントニオ・ガウディが修復に携わったことでも知られています。

パルマ大聖堂

 ところで、食を重んじるこの船にはクッキングスタジオがあることも特徴です。そこで、午後は、船上の料理教室に参加しました。課題は、スペインの名物料理「パエリア」。コメ選びからサフラン液の作り方まで教えてもらい、トマトを刻み、玉ねぎを炒め、大エビ、ホタテなどの高級食材を惜しげもなく使う豪華パエリアが完成。特製サングリアを飲みながら調理し、スペインの白ワインを飲みながら試食するという、優雅な料理教室となりました。

クッキング教室でパエリア作りをする筆者(右)

 その夜スペインに別れを告げた「セブンシーズ エクスプローラー」は、翌朝、フランスのセットに入港。トー湖と地中海にはさまれた水の町で、カキの養殖が盛んです。郊外には、“ワイン修道院”の異名を持つ「ヴァルマーニュ修道院」があります。1138年ベネディクト会の修道院として建てられましたが、1159年にシトー会修道院に変わり、フランス革命後は国に没収され競売にかけられました。買いとったグラニエ・ジョワユーズという人が、礼拝堂に大きなワイン樽(だる)を置き貯蔵庫にしたことがワインと深いつながりを持つはじまりで、さらに、1838年テュレンヌ伯爵に売却され、現在は、その子孫が修道院やそのワイン畑を保有管理しているそうです。見上げるようなワイン樽が並ぶ、うす暗い礼拝堂は、摩訶不思議(まかふしぎ)な世界。売店ではワインの販売も行われていました。

ヴァルマーニュ修道院、ワイン樽(だる)のある礼拝堂

 船に戻って上陸ツアーの疲れをいやすならスパがおすすめです。この船には全米最大級のヘルスリゾートクラブ「キャニオンランチ・スパクラブ」がプロデュースするスパ施設があるのです。しかも通常、他社の船では有料のサーマルスイート(体を温めるタイル椅子が並ぶエリア)も無料。さらに5階船尾には海とつながっているように見えるインフィニティー・プールがあり、こちらも無料。水着になってプールにつかり、地中海に描かれた白い航跡を見つめていると、あたかも珠玉の寄港地を結びあげる白糸のよう。道中で、これまでの思い出を振り返り、今後へ思いをはせる、ゆったりとした時の流れもクルーズの魅力です。そして、明日は、いよいよフランス最古の都市といわれるマルセイユ。どんな歴史の舞台が待っているのでしょうか。

夕暮れのインフィニティー・プールから航跡を望む

このクルーズの問い合わせ先

https://jp.rssc.com/

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PROFILE

上田寿美子(うえだ・すみこ)

sumiko ueda

クルーズライター、クルーズジャーナリスト。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて30年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社等のクルーズ講演も行う。著書に「豪華客船はお気に召すまま」(情報センター出版局)、「世界のロマンチッククルーズ」(弘済出版社)、「ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅」(産業編集センター)、「上田寿美子のクルーズ!万才」(クルーズトラベラーカンパニー)など。2013年からクルーズ・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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