旅空子の日本列島「味」な旅

再建天守閣60年 紀州藩の城下町・和歌山市

  • 文・写真 中尾隆之
  • 2018年5月30日

虎伏山山上に白亜の天守閣を見せる和歌山城

  • 内堀をとり込んだ水と緑の紅葉渓庭園

  • 紀伊徳川家から出て将軍として活躍した吉宗の像

  • マイルドな酢でしめた名物駅弁の「小鯛雀寿司」

  • 藩祖に従い移転した総本家駿河屋の「本煉羊羹」

  • かつて繁華だった商店街の「ぶらくり丁」

[PR]

 太平洋に突き出す紀伊半島の北西岸、紀ノ川河口にひらけた和歌山市は、江戸時代、徳川家康の10男・頼宣が55万5000石で入城以来、徳川御三家のひとつ紀州徳川家の城下町として栄えた街である。

 和歌山駅前からバスで7~8分、公園前で降りて最初にシンボルの和歌山城に足を向けた。大手門から10分ほど、なだらかな石段を上って行くと、虎伏山上に和歌山城天守閣が建っていた。

 この城は姫路城や松山城と並ぶ日本三大連立式平山城で、徳川御三家ならではの規模の大きさ。のぼりに“再建60年記念”とあるようにコンクリートの復元ながら美しく古城の風格が漂う。

 3階の展望台に立つと、紀伊水道や淡路島、紀ノ川、高野山など紀伊の山並みが四方にひらけ、1~2階の紀州家ゆかりの品や展示には藩祖・頼宣の孫にあたる5代頼方が、抜擢(ばってき)されて享保の改革など幕府中興の英主とたたえられた8代将軍・吉宗であることが書かれていた。紀州家の血筋が14代将軍まで続く。

 天守閣から裏坂を下った二の丸庭園や紅葉渓庭園(西の丸庭園)の緑と花に心洗われる。野面積みの石垣や復元の御橋廊下も見ものだった。

 城跡の西南角には馬上の徳川吉宗像があり、斬新な建築の県立近代美術館と県立博物館が隣接していて、和歌山の文化ゾーンである。

 繁華街は城の北方の市堀川の京橋かいわい。アーケードの「ぶらくり丁」はかつてのにぎわいの中心地。“ぶらくる”はぶらつくではなく、和歌山弁で“ぶら下げる”の意味。当時は衣料品店が多く、商品をぶら下げて売っていたことからの呼称という。

 周辺には飲食店も多く、クセはあるが塩漬けのサバにご飯を抱かせて発酵させた“なれ寿司”や小ダイを三枚におろして握った“小鯛雀寿司”、とんこつしょうゆの“和歌山ラーメン”など名物の店が集まっている。

 手土産には日本で最初の練りようかんといわれる総本家駿河屋の“本煉羊羹”がお薦めだ。これは徳川頼宣に知遇を得ていた京・伏見の駿河屋5代目が、藩祖として和歌山に入る頼宣に誘われ和歌山に移り住んだことからくる、由緒ある名品である。江戸時代は国替えによって食べ物や御菓子も移転したのである。

交通
・JR和歌山駅または南海和歌山市駅下車
問い合わせ
・和歌山市観光課 073-435-1234
・和歌山市観光協会 073-433-8118

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター

nakao takayuki

高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

風土47

fudo47

都道府県のアンテナショップの情報を集めたポータルサイト。全国的には知られていないけれど味も生産者の思いも一級品、そんな隠れた名品を紹介する「日本全国・逸品探訪」など様々な記事が掲載されている。

今、あなたにオススメ

Pickup!