原田龍二の温泉番長

由布院温泉も良いが、知ってもらいたい「湯平温泉」

  • 2018年6月4日

“温泉番長”こと俳優の原田龍二さん(撮影=岡村智明)

 これまで訪ねた温泉の数は、約200カ所。「温泉との出合いは一期一会ならぬ“一期一湯”」と話す“温泉番長”原田龍二さんにとって、特に印象深かった温泉をご紹介します。

 今回は、有名な温泉地が多いことで知られる大分県の中でも抜群の知名度を誇る由布院温泉……から約13キロ離れた場所にある「湯平温泉」。

大分県・湯平(ゆのひら)温泉

ゆのひらおんせん

湯平の湯は、五つの共同浴場(金の湯、銀の湯、中の湯、砂湯、橋本温泉=写真は銀の湯、湯平温泉観光協会提供)か、宿泊施設(全21軒)で楽しめる。開湯は約800年前で、石畳の道が作られたのは300年ほど前のこと。夜になると赤提灯(ちょうちん)が石畳を照らし、幻想的な雰囲気に包まれる。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉。俳人・種田山頭火が立ち寄ったことでも知られる。
住所:大分県由布市湯布院町湯平356-1
電話:0977-86-2367(湯平温泉観光案内所)
営業:午前6時~午後10時
HP:http://www.yunohira-onsen.jp
入浴料:各浴場で200円(宿泊者100円)

由布院温泉に負けず劣らずの良い温泉

大分県・湯平温泉にある、約500メートルの石畳の坂道(写真=湯平温泉観光協会)

 “温泉俳優”としてのイメージからか、全国津々浦々の温泉に入り尽くしているんじゃないかと思われるかもしれませんが、僕はいわゆる有名どころの温泉にはほとんど行ったことがありません。道後温泉(愛媛県)すら、“未湯”です。“王道より獣道が好き”っていう性格も関係しているのかな。ついつい秘湯に足が向いてしまうんですよね。

 今回ご紹介する湯平温泉は、JR湯平駅から車で10分ほど。アクセスも悪くないので秘湯ではないのですが、“おんせん県”大分の中でも絶大な知名度を誇る王道温泉・由布院の存在感に比べると、やや影が薄い。それが残念なくらい良い温泉なので、知ってほしくて取り上げることにしました。

 それにしても、湯平が由布院ほど全国的に知られていないのはなんでなのかなぁ。この二つの温泉地は、たった13キロほどしか離れていないんですよ。湯平の方が由布院よりも歴史は古いし、泉質だって遜色ないと思うんですが……。まぁ、僕には理由がわからないのでそれは気になった方に調べていただくとして、僕は自分が思う湯平温泉の魅力についてお話ししますね。

石畳の坂道の中ほどにある共同浴場「中の湯」。湯船からは山と川が望める。浴槽が一つのため、奇数日は女性専用、偶数日は男性専用となる(写真=湯平温泉観光協会)

 湯平は山に囲まれた静かな温泉地で、街の中心部には約500メートルの石畳の小さな坂道があります。街の印象としては、同じく石畳で有名な群馬の伊香保温泉(王道温泉ですけど、僕、ここは行ったことがあります)が近いのかな。湯平の石畳の方が伊香保より道幅が狭いんですが、それがかえって風情ある良い雰囲気を醸し出していて、僕の好みです。

15年ぶりの再訪、人との出会いも旅のだいご味

 僕が初めて湯平温泉を訪れたのは、20代後半の頃のことでした。あるドラマの撮影のために滞在していたのですが、結構空き時間があったので街の散策をしていたら地元の人たちと仲良くなりまして。湯平の人はみんな、気さくなんです。特に僕が入り浸っていた「嬉(うれ)し乃食堂」の“しょうちゃん”とは、一緒に食事に行ったり、彼の知り合いの旅館の露天風呂にこっそり入らせてもらったり。短い間でしたが、楽しい時間を過ごしました。「嬉し乃食堂」でいただいた川魚料理も、おいしかったなぁ。

 再訪したのは、それから15年後の2013年冬。旅番組のロケで近くまで来たときに、「そういえば湯平のみんなはどうしているかな」と気になって立ち寄ることにしました。突然の訪問でしたが、湯平のみなさんが連絡を取り合ってくださったおかげで、会いたい人には全員会うことができました。そうそう、僕と撮った写真をずっと飾ってくれているお店もあったんですよ。変わらない温かさで迎え入れてくれて、すごくうれしかったです。

 別れのとき、雪が舞っていたのも印象的でした。自分が出演した番組は全てオンエアを見ているんですけど、バスに乗り込んだ僕と、車窓から遠ざかっていくみんなの姿が映し出されているシーンのBGMが「なごり雪」でね。しみじみ、「いい旅だったな~」と思いました。

日が暮れると赤提灯(ちょうちん)が石畳の道を照らし、幻想的な雰囲気に包まれる(写真=湯平温泉観光協会)

 旅に出ると、絶対に誰かと関わることになりますよね。一人旅だとしても、食事をしたり宿に泊まったりするわけで、最初から最後まで一人で完結する旅なんてありえない。たまたまその日、その時間、その場所に行ったからこそ出会えた人たちが、人生の彩りを豊かにしてくれる。だから、人と積極的にふれあうことも僕にとっては旅の楽しみの一つなんです。

 ずっと昔に一度だけ訪ねた場所だとしても、結んだ縁や絆は残るもの。再訪の楽しみを作るために、行ったことがない場所を訪ねてみる。それもまた、旅の動機としてアリなんじゃないかと思います。

(聞き手・渡部麻衣子)


◆連載「原田龍二の温泉番長」では、この5~6年の間、旅番組で数々の温泉を巡った温泉情報の猛者・原田龍二さんにとって特に印象深かった温泉を隔週で一カ所ずつご紹介します。次回は潮の満ち引きに合わせないと入れない、鹿児島県の温泉を予定しています。

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PROFILE

原田龍二(はらだ・りゅうじ)

俳優。1970年10月26日生まれ。近況は、ブログインスタグラムで。

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