私的台北好味帖

料理研究家による台北「食」ガイド、とっておきの朝ごはん

  • 2018年10月12日

料理研究家の内田真美さんが自らの友人を案内するような気持ちで書いたという、台北の「食」ガイドブック『私的台北好味帖』(アノニマ・スタジオ)から、厳選したお店や料理を全6回でご紹介します。初回は、「台北早餐(ザオツァン)」の章から……。

私的台北好味帖

私的台北好味帖

内田真美(著) アノニマ・スタジオ

15年以上前から魅了され、何度も台湾へ足を運んでいる料理研究家の内田真美さん。旅の目的は、たしかな素材を使った味わい深い台湾の「食」。エリアを台北に絞り、「朝ごはん」「湯(スープ)と麺」「冷菓と氷菓」などのカテゴリーごとに厳選したお店やおすすめ料理、甘いものをじっくりとご紹介します。1728円(税込み)

デザイン:渡部浩美
写真:新居明子
翻訳協力:蔡奈欧子
編集:村上妃佐子(アノニマ・スタジオ)

内田真美さんInstagram(インスタグラム):@muccida

台北早餐

台北での朝食は、豆漿(トウジャン)と粉ものが決まりごと。

  

何はなくとも、台北で食べる朝ごはんが好きで、台北の街中にある豆漿屋さんに、毎朝行けるのが楽しみでなりません。

大鍋に温められた豆漿、鉄板ではジャーという音と共に葱(ねぎ)入り卵焼きが焼かれ、手早く蛋餅(タンビン)が巻かれる。

炭が赤く燃える窯では、焼餅(シャオビン)が香ばしい香りを放ち、横では焼餅の生地を成形する人が、休みなく手を動かしている。

台北の人たちも旅行者も、同じ光景を見ながら待ち、自分の番になると注文して席に座る。

日本の豆乳とは違う、豆の香りがしつつも喉(のど)ごしのよい豆漿をひと口すすると、「台湾に来たのだ!」蛋餅をひと口齧(かじ)ると、「毎朝この楽しみが待っているのだ!」と、喜びをかみしめることになります。

朝、外に出たら、台湾の美味(おい)しさの入り口を確かめに、台北の街角にある活気ある豆漿屋さんにまずは出かけてみてください。

永和豆漿大王(ヨンホードウジアンダーワン)

待つのも楽しい活気ある台湾式の朝ごはん

鹹豆漿(シェントウジアン)

復興南路二段(フーシンナンルーアルドワン)から、瑞安街(ルイアンジエ)に入る道の角に活気があるお店が見えたら、そこが永和豆漿大王です。同じ名前で数店舗ありますが、各店舗ごとに経営が違うらしく、わたしが好きなのは、大安駅からほど近くにあるこちらです。

入り口近くに作業スペースがあり、お店の方がきびきびと動くのを眺めながら、順番を待ちます。朝ごはんの時間には多くの人で賑(にぎ)わっていて、必ず並びますが、作業しているお店の方の姿が見えるので、待つのも楽しいものです。タイル張りの清潔な店内と外にも席があり、混んでいても意外とすぐに座れます。

手前では、焼餅の生地をこねて成形し、すぐ向こう側にあるドラム缶のような丸い窯では、焼き専門の方が、生地の焼け具合を見ながら手早く次々に焼いています。右側では、冷たい豆漿に米漿(ミージアン=米とピーナッツの飲みもの)が特注であろうステンレスの容器にたっぷりと入り、注文ごとにそこから注いでくれます。

台湾での朝ごはんのメインである、大好物の鹹豆漿(シェントウジアン)は、少し奥にある大きな熱い鍋から注がれます。碗(わん)に、具を目にもとまらぬ速さで入れると、そこに分離を促すように、高い位置からザーッと豆漿を注ぎ入れます。盆に置かれ、席に着くころには、鹹豆漿は、おぼろ豆腐のように分離していて、「毎朝食べたい!」と思う豆乳のスープに仕上がっています。こちらのは、塩分しっかりめで大豆の風味が確かで、搾菜(ザーサイ)の代わりにめずらしい生姜(ショウガ)の甘酢漬けのようなものが入っています。スープ然とした趣が強く、粉ものと合わせるのが楽しみな豆漿です。

左から蛋餅(ダンビン)、焼餅夾蛋(シャオビンジアダン)

こちらの焼餅は、丸窯で香ばしく両面焼かれているもので、油分は少なく、ハラハラと生地が落ちる層がたっぷりあるタイプの焼餅。台湾の人に倣い、葱蛋(ツォンダン=葱入り卵焼き)を挟んだ焼餅夾蛋(シャオビンジアダン)にすれば、台湾式朝ごはんの完成です。各店舗で焼き方が違う個人的に好きな蛋餅(ダンビン)は、もちもちしっとりタイプで、必ず注文してしまう一品です。どの品もバランスよく美味しく、店も清潔で広く、瑞安街を通って散歩を開始する始点にぴったり。

さあ、台湾のとっておきの朝ごはんでお腹(なか)がふくれたら、台北の街に繰り出します。

■永和豆漿大王

住所:大安區復興南路二段102 號
電話:02-2703-5051
営業時間:24 時間
定休日:第2、4日曜
最寄り駅:大安駅

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PROFILE

内田真美(うちだ・まみ)

料理研究家。長崎県生まれ。夫と娘の3人家族。雑誌、書籍、広告などで活躍している。台湾の食、人、土地に魅了され、台湾に長年通い続けている。著書に『私的台湾食記帖』(アノニマ・スタジオ)がある。本書『私的台北好味帖』は台湾ガイド第2弾。Instagram(インスタグラム:@muccida)も人気です。

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