楽しいひとり温泉

温泉+シンプルステイ 神秘の青い温泉と地獄蒸し 「大分県・由布院温泉」

  • 文・写真 温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト 石井宏子
  • 2018年6月26日

「束ノ間」の大露天風呂。奥へ行くと由布岳が見える

この温泉は何回通っても、立ち止まってうっとりと眺めてしまいます。こんな色の温泉が本当にこの世にあるのかしら。どうして、ここにこんな美しい色のお湯が湧いているのかしら、と。入ってみると、さらにうっとり。とろんとろんの感触です。

ここ由布院温泉「束ノ間」の、美しいミルキーブルーの色の秘密は、この温泉に豊富に含まれている「メタケイ酸」という成分です。空気に触れるなどした微細な結晶が光を反射させて青く見えるのです。泉質は、ナトリウム-塩化物泉、メタケイ酸が肌へと水分を運び込み、塩の成分が塩皮膜となってベールのように肌を覆いますので、湯上がり後もしっとりツヤ肌が持続。見た目の色が美しいだけでなく、美肌に導く実力派の温泉でもあるのです。

宿の敷地に湧く自家源泉。高温の蒸気は地獄蒸し料理に使用

敷地内にある源泉は高温で、ゴウゴウと音を立てて湯けむりを噴き上げています。この温泉蒸気を利用して調理する「地獄蒸し」の釜は、源泉の横と、調理場にあります。この宿で温泉は、つかるためだけでなく、料理にも使われています。

一晩かけて作る温泉卵でタンパク質と温泉ミネラルを補給

湯上がりの体へのごちそうは、温泉卵。一晩かけて地獄蒸しすると、中までしっかりミネラルが染み込んで、卵の殻をむくと、中の白身は琥珀(こはく)色。温泉の程よい塩味と芳しい香りで、お酒のおつまみにもなってしまいそう。

大露天風呂の入り口。白い空間がモダン

「庄屋の館」という名前で営業していた宿を先代の娘さん夫婦が引き継ぎ、コツコツと数年かけて白を基調にしたシンプルなデザインにリフォームしていきました。宿の男女別大浴場でもある大露天風呂のリフォームコンセプトは「todo湯ができる大露天風呂」。由布岳を眺めて湯につかり、「極楽、極楽」とつぶやいたり、湯船のふちでおしゃべりしたり、トドのようにぐたーっとくつろいだり、この宿に来たらどうぞ「ぐたーっ」としてください。という思いを込めたそうです。

敷地内にはタイプの異なる10室が点在する。ここは拾番の部屋

震災の影響で源泉の調子が悪くなり、本格的なメンテナンスが必要になったことをきっかけに、シンプルステイで由布院を楽しめる滞在型の宿「束ノ間」へと新しいスタートを切りました。一軒家タイプの10室が点在、温泉のある集落に暮らす感覚で過ごせます。ひとり旅で滞在した拾番の部屋。自分の家に帰るみたいでうれしくなります。

10畳の和室と10畳のリビングがある

2人まで泊まれる部屋は広々、ひとり用のソファがふたつあるリビングと、ミニキッチン、和室にはベッドがあります。

部屋専用の温泉。2人入っても十分な広さ

部屋には専用の温泉もあります。ここも同じ源泉かけ流しですが、透明でうっすらとブルーがかってみえるくらい。これは、新鮮な源泉を注いだばかりで、まだ誰も入っていない証し。「フレッシュな湯でラッキー!」と、自分だけのために注がれた温泉を楽しめます。

食事処とレセプションがあるメイン棟

築100年を超える豪商の家を移築した建物に、レセプションとダイニングがあります。1泊2食で泊まることもできるし、ダイニングは朝食、昼食、夕食の時間に営業していて、単品料理もコース料理もいつでもオーダー可能なので、素泊まり滞在にして、気が向いた時に食べたいものをいただくこともできます。その時のおなかにあわせて、好きなように利用できる。これは、できそうでできない、ありそうでなかなかない、旅人思いの食事処(しょくじどころ)です。

地獄蒸しで調理された、古処鶏蒸し丼コース

こよいの夕食は、古処鶏(こしょどり)蒸し丼のコース。古処鶏は福岡県朝倉市のブランド地鶏。広い場所で自然のままに、農薬を使わないトウモロコシや大豆、ハーブなどでゆっくりと育てられている「赤どり」です。温泉蒸気で地獄蒸しにすると、程よい弾力とふっくらジューシーなうまみ、ほんのり甘みも感じられて、ものすごくおいしい。温泉の塩加減で、甘さが際立つ蒸し野菜やピクルス、温泉卵など、温泉のミネラルも摂取できて内臓がポカポカと温まるお料理です。蒸し丼のコースは、この古処鶏、豊後牛、奥豊後豚が選べて、すごく悩みます。つまり、これは、連泊して明日は豊後牛蒸し丼にすればいいということ?と、次回は連泊することを心に誓ったのでした。

半日以上かけて作られる蒸し肉は絶品

大分県は日本酒も焼酎もワインもおいしい地酒がそろっています。お酒ものんびり楽しみたい派のひとり温泉なら、蒸し肉三種盛をおつまみに。これは、高温の温泉蒸気ではなく、お肉を塊で調理用パックに入れて、温泉水の中でじっくり低温調理をし、最後に地獄蒸しでさっと仕上げるという、この宿の源泉でなければできない特別メニュー。温泉の塩分とミネラルだけで、こんなにふっくら柔らかになり、なおかつお肉のうまみが際立つなんてと、驚愕(きょうがく)した逸品です。

ホカホカ湯気が食欲をそそる地獄蒸し朝食

朝食も地獄蒸し。豆腐や湯葉、古代米入りのごはん、野菜の煮物など、ほかほか熱々、ミネラル豊富な朝ごはんをいただいて、元気をチャージできます。

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1. 夢のようなミルキーブルーの温泉
2. 由布院でこんなシンプルステイがしたかった
3. 旅人思いの食事は心にも優しい

大分県 由布院温泉 束ノ間
https://tsukanoma.club/

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

石井宏子(いしい・ひろこ)

いしいひろこ

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が19日発売予定。公式サイトhttp://www.onsenbeauty.com

今、あなたにオススメ

Pickup!